3話 神威結界
マフは、完全に鈴に言い負かされ
意気消沈であったが
「あの・・・鈴ちゃん」
「ん? 何?」
「もう一個、お金を稼ぐ方法が有るんだけど・・・」
「言いたい事は分かってる
賭け事でしょ?
でも賭ける資金がないんだよね・・・。」
「いや、賭け事は成人になってからだから」
「ぎ・・・偽善者・・・・。」
「・・・僕が偽善者なら
鈴ちゃんは犯罪者だよ・・・。」
「ばれなければいいの!」
「それは、犯罪者の考え方だから
それに、僕が言いたいのは
冒険者に成ったらどうだろうかと思って。」
「あ、そっか
私は、冒険者なんて無理だから考えなかったけど
マフ君なら、その方法があるね!」
「ちょっと待って!」
「ん?」
「どう考えても、僕より鈴ちゃんの方が強いんだけど・・・。」
「強いとか弱いとか関係ないの
か弱い私は戦っちゃあダメなの!
こはくくんも、優しい子だから
本当は戦っちゃぁダメ!だけど
お母さんが作った家訓である
三千風家家訓が1つ
【やられたら倍にして、やり返せ!】ってのが在るから
反撃は許される!
なんで、たまには、こはくくんは攻撃することはあるのだぁ~~」
「まぁ、どっちにしろ
僕より強い、お二人は冒険者登録するきはないと?」
「うん
そもそも、こはくくんは猫(使い魔)だからね。」
・・・僕より強いってのは、否定しないんだ・・・。
「まぁ、この体に慣れる為にも
冒険者になって魔物の討伐でもしようかなって
ついでに、お金も入るだろうしね」
「それには賛成だね!
マフ君は王様になるんだから
もっと強くならなきゃ!」
「その話・・まだ続いてたの・・」
「うん、当然!
私はマフ君がすごいって知ってるし
王様に成れるって信じてるからね!」
「その期待が一番怖いんだけど・・・。」
鈴は気弱そうな顔のマフを見つめ
未来のマフの姿、王となった姿を夢見る
ただ、断罪の間で、マフの呟いた言葉を思い出し
もしかしたら、マフ君は人の・・・人間の上に立つ王では無いのかもしれないと
在り得ないだろう、王の姿が脳裏によぎるのだった。
そんな中、冒険者と聞いて
鈴の頭の中に、とある企みが浮かんでくる
もとより、近所の幼馴染2人と、変態の兄と4人で遊んでいたのだ
悪だくみとも言える発想は、元より得意である。
「よし!
冒険者になって世界征服をするぞーーー
当然マフ君が。」
「鈴ちゃんが言うと、冗談に聞こえないんだけど・・・。」
2人は、楽しそうな会話をしながら
貴族や上級神官が住む上層のエリアを抜ける
目指す場所は、神都の南、下層にある冒険者ギルドであった。
物珍しいそうに、中層を歩く2人
その態度や変わった服装に
他所から出てきた田舎者と
上層から今まで差別的視線を送られてはいたが
ゲーム内ではない、現実の蔑視など理解できないマフに
双子の兄のせいで、差別的視線に慣れている鈴では
その視線に対し感情を揺すぶられる事は無く
中層と下層をつなぐ、大通りでもある
【審判の回廊】にたどり着くのだった。
鈴とマフは、楽しそうに会話をしながら下層を目指す
だが、その時、鈴の足元に姿を現した琥珀が
鈴を止める為
「にゃぁーーー」と鳴いた
「え?」
それは、大通りを目の前にして
「とまれ!」と言われても
すぐには止まれない人間のサガでもあったのだろう
鈴は頭からぶつかる様に
見えない壁に阻まれ、その場に尻餅をつき
「ぃったーーーーーーい」と、さほど痛くない痛みを可愛く発する。
だが、マフは鈴がぶつかったであろう壁など気にする事無く
一度鈴を追い越したのち、鈴に振り向くのだった。
「鈴ちゃん?
どうしたの?」
「何かに当たった・・・。」
鈴はそれを何か確認するかのように
ゆっくりと立ち上がりながら
見えない壁に手を当てるのだった。
「なんだろう?
結界? それもかなり高度で堅そう・・・・な?」
結界、その言葉で、マフは有る事を思い出すのだった
「あ、たしか魔物が侵入しないように
唯一神が張った【神威結界】っていうのが
この下層と中層に跨る【審判の回廊】から内側に張ってあるって・・・。」
マフ君の視線が・・・ある事を訴えかけている・・・。
「なにか・・・言いたげね・・・マフ君」
「鈴ちゃん・・・魔物だったり・・・。」
「誰が魔物よ!!
化物の子供ではあるけど
魔物って!ひどすぎない!」
もーーーーぷんぷんだ!!
「でも、なんで鈴ちゃんが
結界に弾かれるんだろう?
これって、上位魔物や魔族
かなり強い存在じゃないと弾かれないって聞いてたんだけど・・・。」
ほんと、誰が魔物ですか!!
こんなに可愛い女の子を捕まえて!!
まぁ、思い当たる節はある
私の持つ【アレ】
そう、双子の兄から譲り受けた【アレ】が
結界に反応したんだと思う
でも、きちんと封印して
99.999%以上力を抑えてるはずなんだけどな・・・
唯一神が張った結界って言ってたから
さすがに騙せなかったのかな?
・・・・
もしかして、ここから出れなければ
一生この結界の中で暮らす・・・
あ・・・
在り得ない!・・・と
ペタっと・・・地面に座り込み
頭を抱える鈴のすがたに
「鈴ちゃん?
泣いてるの?
どうにかしたいんだけど
僕、結界が存在する事すら感じられない
だから干渉しようにも・・・できないみたい・・・
きっと神の加護を持つ勇者には
干渉されない物かもしれない・・・
でも、どうにかするから・・・
どうにか・・・でも、どうやって・・・」
鈴の落ち込む姿に
僕がどうにかしないと!と
一人悩むマフであった・・・が
「あ・・・
在り得ないんだけど
結界が張って会って
海に行けないって
出汁は!
鰹節は!
わかめに海苔は!
料理がつくれないじゃん!!!」
「あーー・・・・・
鈴ちゃんは、鈴ちゃんだぁぁ・・・・・・。」




