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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
2章 脱・勇者
43/50

19話 蘇生魔法

 



 鈴の目の前で

ドラゴニーズは、殺された・・・。


 そして、動く事の無い、ドラゴニーズの死体が床に転がる。


 ドラゴニーズは人間ではないが

エルフやドワーフなど亜人も、人と考えるなら

ドラゴニーズも人だと言えよう


いや、それ以前に鈴にとって

相手が、エルフだろうと

巨人族だろうと

ドラゴニーズだろうと

種族など関係なしに

全員友達だった。


 言ってしまえば

その【見た目】などに左右されない

その【存在】の本質

その【有り方】が一番大事だと理解しているからだ

そう、人間であろうと

人間、最低最悪な存在はいるからだ。


 何よりも

鈴の【母親】や【双子の兄】と比べれば

ドラゴニーズや、クラリスや、グラムなど

かわいい存在だった。



 だが何よりも、家族を友達を大切にする鈴

その鈴が、友人と、友達と、認めた存在が

目の前で殺された・・・。




 鈴は、至って普通の現代世界の人間であり

普通の小学生でもあった。


 至って平和な、日本において

人の死などに対面することはない

ただ、不幸な事故はあるだろう

そう、鈴がまだ4歳だった頃

不幸な事故とも言える事で

鈴の目の前で【母親】が死に直面した事があった

どうにか一命は取り留めはした・・・のだが

おかしな事に、その母親は、その日の夜には仕事に復帰し

その事を、笑い話にして、笑い飛ばしていた。


 ただ、物心着く前の鈴にとって

その、事は心に刻まれた【トラウマ】となった。


 大切な物を失う、喪失感

命の大切さを知った鈴にとって

人の【死】は

大切な家族、そして大切な友達の【理不尽な死】は



もっとも許されない事だった。



 そう



何よりも、非常識な存在は


静まり返る審判の間とも呼べる大空洞に

皇帝ザラスシュトラ・ゾロアスターの笑い声が響く中


その足を、すでに動くことを辞めた

ドラゴニーズに向けて踏み出した・・・。


誰も、動くことをしない中

ドラゴニーズの死体に近づく鈴の姿に

ザラスシュトラは視線を向け、笑いを止めた

そう、自身の楽しみを壊す、神天使の加護を持たない

何かの間違いで、この世界に迷い込んだと言える

幼き少女の姿に、不快感を感じた!


 鈴は仰向けに倒れ

怒りと苦痛で見開いた

ドラゴニーズの顔を覗き込むと

この世界の言葉を口にした


「ヤッホーー、ドラちゃん

 見えてる?」


   と


 ドラゴニーズの前で

手をふりながら、笑顔で話しかけ


「ドラちゃん弱いんだから

 あんまり、無茶しちゃだめだよ~~」


 鈴はドラゴニーズの傍らに

両膝を抱えながら、可愛くしゃがみこむと

ドラゴニーズの左胸に、ちょこんと手を当てた。


 その姿に・・・

いや、鈴を知る、勇者達や

鈴を知る、塔神官長達は

鈴がこの世界の言葉を話した事に驚きを隠せきれない!


 鈴が、この世界の言葉を話せる事をしってるマフは

別の意味で驚いたのだが・・。


 さほど、ソレを理解できない、皇帝ザラスシュトラは

不快な幼き少女の、その仕草とも言える

死んだ事も理解できていない

まるで、寝ている人間に話しかける様な

馬鹿げた行動に


「理解出来ていないのか?

 ソレは今、ワシが殺した事を

 これだから、常識をも理解できない子供は・・・

 知識・・・いや、知性が足りないのか?

 どこの世界から来たかは知らんが

 この程度の存在しか居ないとは

 しょせん低レベルの世界か・・・」


蔑む視線で、不快な存在を

その存在が元居た世界をも見下していく・・・。


 鈴はドラゴニーズの胸に手を当てたまま

顔をザラッスシュトラに向けると


「バカじゃないの?

 【死】と言う状態を医学的に理解できてないから

 たかが心臓が潰れただけで、死んだって思うんだよ

 それに、殺した?って

 頭悪いの?

 気に喰わないから殺した?

 そんな事して許されるのは

 私の【お兄ちゃん】だけだよ 

 私の世界では人は殺しちゃいけない

 これは、4歳の子供でも知ってる常識だよ

 それを、そんな【おっさん】になっても知らないなんて

 その知性を疑うね!!」


【おっさん】・・・その言葉は

この場を凍てつかせた

この世界、人類の長たる、3000年を生きてきた

皇帝ザラスシュトラに向かって

【おっさん】発言は

【知性を疑う】の言葉は

ある意味、人類に、皇帝に喧嘩を売っている発言と足られた!


そして、おっさん発言よりも

【知性を疑う】発言は

3000年を生きてき

人類の王とも言える【皇帝】である

ザラシスシュトラを怒らせた!


「小娘・・・

 お前の罪は

 常識を、礼儀を、敬意を知らぬ事だ!

 ソレと一緒に

 この場で死ね!」


ザラシスシュトラは、ドラゴニーズの動きを封じた様に

鈴に手を向け

その力とも言える、神力で圧を掛け

鈴を押し込んでいく!


が!


鈴は、まるで気にもせず

バカは相手にするだけ無駄と

そうそうに、相手をするのをヤメ

ドラゴニーズに向き直ると


「こんなもんかな?」と


 ドラゴニーズの胸に置いていた手で

ドラゴニーズの左胸、心臓の上を


「ペチ!」と叩き


「はい、起きてドラちゃん」


その言葉に反応するかのように

ドラゴニーズの瞼が一度閉じられ

再び開かれた視線は鈴を映し出し

上半身を起こしながら

その場にアグラをかき座り込む

そして、ざわめく周りの事など完全無視で


「ちっちゃいの・・・

 お前は【何】だ?」


鈴は可愛く両膝を抱えたまま

ニッコリ笑い


「私は【三千風鈴】だよ

 鈴でも、リーンでもいいから

 いいかげん、ちっちゃいのはやめてよね~~」


ドラゴニーズは

自身の心臓が潰れ、死んだと思われた瞬間からも

全てをその目で見、全てを聞いていた

だからこそ鈴の行動も全て見ていた

そして、鈴がドラゴニーズに発した

「ドラちゃん見えてる」の言葉も聞いていた

だからこそ、鈴に問うた

だがその回答は問うた【何】の答えではないが


 ドラゴニーズに対して鈴が行ってきた事は

ドラゴニーズの理解を超えた物であった

だから理解した

【何】ではないのだ

この、ちっちゃいのは【ミチカゼ・リン】なのだと

其れこそが【真理】なのだと。


「そうか【リン】だったな・・・

 我は【ニー


「なぜ、動ける!

 なぜに、生きている!!!」


怒鳴るように響き渡る、ザラスシュトラの声が

ドラゴニーズの声を遮った!



 ザラスシュトラは、ドラゴニーズを殺した!

だが、それは後で生き返らせる算段が有ってこそだ

この場は神の力が満ちている神域であり

不死を司る、アムルタートが居る

そうなれば蘇生は可能だった。


 そもそも

この魔法世界では【蘇生魔法】は存在する

たが、術式が複雑なため、使える人間は限られる上に

いくつもの条件を満たせていないと成功率は下がっていく。


ザラスシュトラも蘇生魔法を使える1人ではあるが

その魔法の成功率を考えるなら

神天使の方が確実であり

その中でも

不死・長寿を司る、アムリタート

今は存在しないが、献身・信仰を司る、アールマティー

が、もっとも得意とする

次で言えば

聖霊を司る、スタンプ・マンユ

完璧を司る、ハルワタートであるだろう。


 そう、ザラスシュトラは

圧倒的な力を見せつけ

ドラゴニーズ達、勇者を手駒にするため

生き返らすことを前提に

一度、ドラゴニーズを殺したのだった。


 だが

まるで死んでいなかったかの様に

動き出した、ドラゴニーズに


神の加護を持つザラスシュトラの神力でも

抑えきれなかった、幼女に驚く


そう、神天使の加護を持たない幼女が


唯一神アフラ・マズダーの加護を持ち

世界最高クラスの神力を持つザラスシュトラが

唯一神の領域、神域で発揮したその力を

まるで何もなかったかのように普段通り動く幼女に・・・。


ザラスシュトラは驚き叫ぶと同時に

その力を、ドラゴニーズにも向ける!


ドラゴニーズの言葉が止まったのもその為だが

鈴は、何があったかも分からず

何かに抗うように、全身に力を込めるドラゴニーズの・・・


ほっぺたに人差し指を突きつけ

「うわ!

 ほっぺたまで硬い!」と

ウロコ状に覆われた顔をつついて遊ぶ!



そう、周りの緊迫した状況などお構いなしに。




*******




 【蘇生魔法】


 それは、神の奇跡とも呼ばれる【魔法】である。

この神とは【唯一神】の事であり

世界を創りし【三王】の1人【全王】の事でもある。


だからこそ【蘇生魔法】は

【神】を信仰、崇拝する人間の為の魔法とも言える。


 これが、亜人と呼ばれる

エルフやドワーフなどは別となる。


人は、全王が創造したと言われるが

亜人や魔物は【三王】が1人【闇の王】が創造したと言われ

亜人が崇拝するのは【闇の王】なのだ

魔法を得意とする【エルフ】なども

人族の知識を取り入れ

蘇生魔法を使える者も居るかもしれないが

それが【神の奇跡】と呼ばれる

亜人にとって【邪神】と言える神の奇跡なら

禁忌に近い魔法である事は確かである。


 事実、エルフの【D】も

蘇生魔法を使える技術も知識も保有するが

Dは、その魔法を、使った事も

練習の為に使用した事もない。



また、人にとって【死】は恐怖の1つであった

1つの種でいうなら、その数は世界最大であり

いくつかの王国も存在し、一番文明が進んでいると言えた

そこにおいて、寿命70年と言われる人族において

権力者は、何よりも欲にまみれ

手に入れた、金銀財宝に性欲を満たすソレ等を失う

【死】と言う存在を恐怖した。


 死から逃れる為、少しでも長く生きる為

アムルタートの加護にすがり、寿命を延ばし

唯一神の恩恵を受けるため、その元に下った。



亜人、エルフ、ドワーフにとって

生と死は巡り回る物であり

大切にするのは、家族や、技術だった

そして、魔法技術や、造形技術とは

伝え、受け継ぎ、後世に巡り

新しい知識、技術によってより洗礼され

寄り良き物になっていくと言い伝えられていた。


 だからこそ、死とは悲しき事ではあったが

病気で死すことも、寿命を全うし死す事も

そこに恐怖する事は、ほぼなかった。


 また、魔物や魔族、そして一部の獣人とも呼ばれる存在は

死して命は魔力は世界に循環し

新しい命と魔力が生まれると考える。


 自分達は世界の1部であり

世界を循環させ

死した命を巡らせ

新しい命を生む

そんな仕組みを作り

歯車を回している存在こそが【闇の王】

だからこそ

生きるために生き物を狩り殺しても

それは、世界を循環させるために必要であり

必然と考える

そして

殺す権利がある以上

殺される事に対しても結果、必然と


他を殺す存在は、他に殺されるのも道理と


そこに恐怖はない。


魔物、魔族とは、本能で世界を理解する。



 そう、欲にまみれた人間こそが

欲に執着し、その権利を広げ

世界さえ征服しようと

欲に欲を重ね続け

欲に満たされる事なく、さらなる欲を求める。


だからこそ、ソレが終わることを恐れ

蘇生魔法を作り出した。


 そこに、慈悲も献身もない

他人を思いやる心もない

私利私欲の魔法

ソレこそが、蘇生魔法といえよう。



******



 動けないドラゴニーズ相手に

好き勝手につついて遊ぶ鈴だが

ここで、肝心な事は

鈴は【蘇生魔法】を使っていないという事だ。


人間にとって最大の急所と言うものが2つある

【脳】と【心臓】の事であるが

鈴や、その母親、兄とって

ソレは間違いである

人間にとって急所とは脳に刻まれた【記憶】である。


 1人の人間という存在の死とは

【記憶の欠落】それに限る

脳死や、重度の認知症ともなれば

心臓が動いているだけの人形とも言えよう

それを【生きている】と言うのは

当人ではない、周りの家族や人間達だけである


その当人にとって、それは【生きている】とは言わない

ただ、その事さえも当人は理解出来てはいないのだが・・・。


 また脳が破壊された後

回復させても、壊された場所に記録した記憶は回復されない

だからこそ、脳の完全な破壊は【死】に繋がる。


そして、心臓は血液を循環させる為の

もっとも大切な臓器ではあるが

心臓が停止しても

それは死ではなく、心肺停止である。


心臓を潰された、ドラゴニーズはまさにその状況

心肺停止状態だった・・・。


 鈴にとって

心臓の破壊、それはある意味、処置の楽な状態であった

これが、他の臓器、特に肺が潰れたなら

鈴だったとしても、真剣にならなければならかっただろう。


肺が潰されれば、その細かな細胞や肉片が

心臓によって体全体に運ばれてしまう

そうなれば血管が詰まり

本格的に脳細胞が壊死する可能性があったが

心臓が潰れたなら

血流が止まっただけと言うことである。


 そして、心肺停止から3分以内なら

脳は酸素がなくても、壊死することはない

それに、この世界ならもう少し猶予があるだろう。


だからこそ

ドラゴニーズの心臓が潰されても

驚いて取り乱す事もなければ

その光景に

(ドラちゃんなら、一回死んだら多少性格よくなるかな?

 お兄ちゃんは、1000回死んでも無理だけど・・・。)

ただ、それは

全てにおいて、鈴が対処出来る状況だったからだ


そう、鈴はドラゴニーズの胸に手を置くことで

ドラゴニーズに魔力を流していく

脳が死んでいない事で

ドラゴニーズは体に感じられる魔力を使い

破壊された心臓の再生に力を注ぐ

もともと、ドラゴニーズは体の再生能力を持っている

ただ、心臓の様な複雑な臓器ともなれば

完全に壊れた状態から完全再生までは時間が掛かり

それまでに、完全に死んでしまうのだが・・・。


 鈴の魔力はドラゴニーズの再生を後押しする

元より鈴の魔力は、回復や再生と相性がいい

だからこそ、ドラゴニーズの心臓の自己回復は

信じられない速度で回復していき

完全破壊された心臓は30秒もかからず完全には回復した

ただ、回復しただけで動くととはないが


鈴は、その魔力操作と感知を使い

ドラゴニーズの身体をスキャンし

異常の無い事を確認し

ペチっと・・・

心臓に衝撃を与え

動かした・・・


いうならば、心肺停止における


心臓マッサージ!



鈴のしたことと言えば

少しだけ、ドラゴニーズを手助けし

心臓を動かしただけ。



そう、たった、それだけだ

魔法を使ったわけではない

魔術を使ったわけではない


使ったのは、ただの知識

すでに、ドラゴニーズが腕を回復させた自己再生は見ていたし

人間の死と言う、医療医学知識は

母親や双子の兄によって叩き込まれていた

だからこそ

鈴は冷静で、子供じみた馬鹿げた喧嘩を傍観した

そしてドラゴニーズが心臓を壊されても

ソノ存在が消滅しさえしなければ

目の前で何が起きても

どうとでも対処出来る

その自信と力があった。


だが、その力を発揮する以前に

皇帝ザラスシュトラが

ドラゴニーズを殺した、と言う現実に対し

鈴は魔法すら必要としなかった。



それが、鈴の現実



だが、周りの人間にしてみれば

魔法すら使った形跡も無く

ドラゴニーズを生き返らせた、その事実は

その目を疑う現実


何よりも

ドラゴニーズを殺したと

いや、ドラゴニーズを殺した

皇帝ザラスシュトラは

その存在を恐れた・・・

人類でたった1人の、唯一神の子である

ザラシスシュトラは

神の加護を、神の知識を有する存在

その知識に存在しない

神の奇跡【蘇生魔法】を超える奇跡

それも、神の力も、魔法すら使用しない

世界の理も常識さえも

全て無視した存在を無意識に恐怖した


まだ小さな、幼き少女を・・・。



そして、ドラゴニーズと同じく


人族の王でもある

皇帝【ザラスシュトラ・ゾロアスター】は

大声で叫ぶ!



「お前は【何】だ!!!」



と・・・



 鈴は、その言葉に

ドラゴニーズとは全く違った対応を取る

静かに立ち上がると

最上段に居る、ザラスシュトラを見上げ

足を肩幅に広げ

左手を腰に当て

右手を上げ、その指でザラスシュトラを指差すと

全くもって堂々と言い放つ!



「私はね

 馬鹿に対して自分を名乗のったり

 会話の成立しない相手と話を交わすほど

 【お兄ちゃん】みたいに優しくはないの!

 私と話がしたかったら

 この場まで降りてきて

 私の前に立ちなさい!!

 そうすれば

 文句でも悪口でも聞いてやる!

 常識も、礼儀も、敬意も無い

 馬鹿で無知なおっさん!」


それは、この世界の存在を驚愕させた。




 鈴の家には

その母親が作った家訓とも呼べる物がある。


その1つに

【目には目を、歯に歯を・やられたら、やり返せ!】

と、言うものがある。


だからこそ、鈴はザラスシュトラの言葉を引用し

同じ言葉で言い返したのだった。



 

《゜Д゜》・・・

遅くなった上に

ほぼ説明文・・・

だって、時間がないんです

これ以上睡眠時間けずれない。

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