17話 グラム
鈴は、アールマティーの話を終えた
その後は、神天使が姿を現したり
ドラゴニーズが皇帝に喧嘩売ったり・・・
そんな事には興味はなく
鈴は話を終え
周りの視線が自分以外に向くやいなや
突撃した
そう
気になって気になって仕方が無かった存在
第6の塔の勇者に!
鈴はドレスを着ている事すら忘れ
ドタバタと走り
まるで、やる気もなく、ダルそうに
猫背のまま、だらしなく両腕を下げ
彼の着る、小奇麗なタキシードは
その異質な雰囲気を際立たせる
そんな、第6の塔の勇者の目の前に立ち!
「お兄さん、かっこいい!!!」
鈴に手を引っ張られ
連れてこられていたマフが
鈴の「カッコイイ!!」 の言葉に
「え?!!!」と、びっくりしたのは仕方のない事だろう。
鈴は、まるで新しい食材を料理を目にしたかのように
その瞳を輝かせ、第6の塔の勇者に滲みより
その不気味でだらしない姿を観察していく・・・。
マフはため息交じりに
鈴を止めるのは自分には不可能と
第6の塔の勇者に
「初めまして
僕はマフ、この子は鈴
えっと・・・名前聞いてもいいですか?」
だが、第6の塔の勇者は
周りをうろつく鈴も、マフにも興味を示すことはないが
マフの質問に
「どうでもいい・・・。」と返す・・・
彼は、この世界に来て
その発した言葉の殆どがソレでしかない
それは、その言葉通りなのか
本来は何の意味を持つのか
誰にも理解できていなかった・・・。
加護を受けていない鈴の耳に入ってくる言葉
それは、ある言語に似た言葉だった
ただ、鈴は、その言葉が脳裏に引っ掛かりはするが
それが、何に似た言語か理解はできない
鈴は日本人ではあるが
双子の兄の異質な存在の為
異世界の言語すら鈴の脳裏に刻まれている事で
第6の塔の勇者が口にした言葉が
地球の言語か? 異世界の言語か理解できていないし
言語に関して、あまり興味のない鈴には
どうでもいい事でもあるのだが・・・。
鈴「マフ君 なんて?」
マ「あ、うん、どうでもいいって」
鈴「どうでもいいって事は
どうでもよくないって事だね!
あ、煎餅あげる。」
鈴はドレスのスソから2枚の煎餅を取り出し
無理やり第6の塔の勇者の手に握らす。
マ「煎餅って、さっき【出来損ないのパンケーキ】って言ってなかった?」
鈴「きのせいです!
マフ君、この人に
「勇者とか、訳の分からない呼び名で呼ばれるのは効率悪いから
共通認識できる、貴方の名前を教えて」って聞いてみて」
マ「勇者とか、訳の分からない呼び名で呼ばれるのは効率悪いから
共通認識できる、貴方の名前を教えてください。」
マフは、すでにこの人物とは
会話と言うものが成り立たないと聞いていた
だからこそ、鈴の言う内容で
彼の返答が変わる事など有りはしないと思っていたが
鈴の煎餅を食べきった存在は
マフの問から少し遅れ
「グラム。」と返してきたのだ
マフ「グラム?」・・・
鈴「ぐらむさん?
なら、ぐっさん!
よろしくねーーー!!」と
また煎餅?を3つほど渡す
日本語が理解できない、グラムではあったが
小さな少女が自分の事を「ぐっさん」と呼んだ事だけは理解したが
それに対して、リアクションを取ることはなかったが
素直に煎餅を受け取るのだった。
マ「でも、なんでグラムさんは
返事をしてくれたんだろう?」
鈴「そんなの、見たらわかるでしょ?」
マ「わかんないって」
鈴「ぐっさんの、カッコイイ姿勢はね
(お兄ちゃんみたいに)完全に身体を脱力させた形だし
(幼馴染の子みたいに)すり足に近い歩き方も含めて
何が起こっても瞬間的に対処できる姿勢でもあるのね
それを見れば
ストイックな完璧主義者なのはわかるでしょ?」
マ「いや、わかんないって」
グ「・・・・なんて言ってる?」
今まで、何にも興味を示さなかったグラム
それが初めて、目の前で嬉しそうに語る少女に興味をもった
ただたんに、煎餅がおいしかった・・・訳ではないが・・・
マ「え?
グラムさんは、ストイックな完璧主義者だって・・・。」
鈴「それにね
どっちでも良いって、言うのは
どっちでも良くないって事でもあるのね
でも、バカに言っても説明しても意味はないって
相手に希望も期待もしてない言葉だよ
マフ君も、VRMMORPGの説明を
この世界でするのって、いやでしょ?」
マ「あ~~~それは、あるね
アムリ(タート)に召喚された時に
僕の記憶を覗いたみたいで
僕が100を超える世界で勇者だったと勘違いしてね
あれはVRだって言っても理解してくれなくて
説明するのは、もう諦めたよ。」
鈴「それと、一緒だよ
理解できない人に言ってもね~~
ある程度、同等の知識と知能が無いと
会話って成り立たないしね
ぐっさんが求めてるのは
1を聞いて10を理解しろとは言わないけど
1を聞いたら、2くらいは理解しろってね
それに完璧主義者は無駄な事はしたくな人種だし
お兄ちゃんと一緒で効率厨だろうしね!
後は、文化の差がありすぎて
会話にならないのは理解できる!
まず出汁の文化が無いって!!
・・・まぁ
出汁ってほぼ日本独自の文化でもあるんだけどね~~」
鈴のコロコロ変わる表情と
その愚痴に近い言葉が止まると
グラムの視線が鈴からマフへと変わる
マ「効率厨かぁ・・・
それなら僕にもわかるなぁぁ・・・
あっと、
鈴ちゃんはね・・・と
マフは鈴との会話をグラムに伝えるとグラムは
グ「なぜ・・・。」
マ「鈴ちゃん、グラムさんが「なぜ?」って」
鈴「なぜ?
う~ん、最近気が付いたんだけどさぁ~~
私の居た世界なんだけど
私の周りの人って、ケタ外れのスゴイ天才ばっかりだったの
頭の良いのは当然だけど
なにより、その道のプロ、その頂点とも言える人がいっぱい居たの
世界最先端の脳科学の科学者だったり
日本建築に置いて人間国宝をもらった現役の宮大工だったり
世界で数人しかいない最高峰の格闘家だったり
世界一の変態になると豪語するバカとかね
みんな性格も考え方も違うけど
ただ、その道では、一様に【完璧主義者】だよね!
ぐっさんにも、同じ雰囲気がある
きっと、すごい天才だよ!!
ちなみに、マフ君もとっても天才!」
鈴の言葉を、グラムに伝えていたマフが
「え?僕も?」と驚くのだった。
鈴は自信満々に
「当たり前でしょ!
昨日の今日で、自力でアノ動きが出来るだなんて
びっくりだよ!!
そうだ、ぐっさん、良い事教えてあげる
この世界は、魔法世界
魔法に、物理法則なんて意味はない!
アレ(神天使)みたいに空を浮遊する事も
何も無い空間を歩く事もできる
すべては想像と意志、それを現実できる心
魔法は想像力だって
お兄ちゃんが言ってた!」
マ「・・・だって。」
グラムの死んだような目が鈴に向く・・・
グラムもある程度の説明は【ハルワタート】や
塔神官長から聞いていたが
誰もグラムの人間性に気が付くことはなかった
それは、グラムが口を閉ざしていた事も原因でもあったが
鈴は、グラムの姿を見ただけで
その人間性を見抜き
その上で
グラムの居た世界に魔法と言うものが無い事を理解し
物理法則で縛られていたグラムに
そんな物など関係ないのだと
魔法と言う概念を口にしたのだった。
そんな時
皇帝ザラシュトラ
キュロス、ドラゴニーズ、D
異世界からの召喚者【スティングレイ】達
全員の視線がマフに集まっていくのだった。
周りの雰囲気が変わったことで
周囲を見渡したマフは
自分に視線が集まっている事で
「え? 僕?」とまた怒られる?と緊張するが
アムルタートは上機嫌に笑い
「マフ、皆に説明を
貴方がどれだけの世界を又にかけ活躍してきたかを!」
だが、マフは・・・ため息を付く
またこの話かと
アムルタートには説明したが
アムルタートがVRを理解できてる訳もなく
また、この世界の人間が、ソレを理解できるとも思わないのだった。
ただ、そんなマフを鈴は
ニッコリ悪い笑みを向け
小さな声で
「お兄ちゃんなら
ブラフとハッタリで、見栄を張る!
マフ君、ガンバ!」
一瞬にして鈴の言いたい事を理解したマフ
そして、鈴に対して口元の口角を少し上げ
「ムリ!」と
そして、アムルタートに視線を向け
「もうその話は
もう終わったことだから
忘れて。」
・・・と
VRの説明をするのを諦めたマフは
思った事を言ってしまったのだった。
やっと
第6の勇者の名前が・・・
でも、未だに、この名前に納得がいかない作者!
もっと相応しい名前は、ないものかと・・・。




