6話 ■勇者会議・その2 Dの災難
今回の災難は、あのエルフがって
タイトルに名前出てるし Σ(゜д゜lll)
キュロスから、先程までの軽いノリが消え
人知れず真剣な表情になっていく。
鈴は、その見た目同様に
幼い子供が、はしゃいでいるかのように、ドラゴニーズにちょっかいを出すが
子供相手など、したことがない、ドラゴニーズは
どう対応していいのか
その顔を引きつらせ
マフに「どうにかしろ!!」と
マフもマフで
(僕関係ないのに!)と
鈴に振り回せれるのだった。
マフとドラゴニーズ相手に、好き勝手に暴れまくる鈴
そんな、馬鹿達に
ほっといても拉致があかないと
今まで傍観していたDが、口を開いた。
「ねぇ、マフ
貴方達の世界に魔法が無いと言うのは本当なの?
そして魔法を使えないと言っていたけど
リーンは、回復魔法を使っていたわよね?
その説明をして欲しいわ。」
マフは、ドラゴニーズを蹴ろうとする鈴の手を引っ張りながら
顔だけ、Dに向け説明をしだした
「僕達の居た世界の国
その国は、日本って言うんだけど
鈴ちゃんと、僕の世界は、並行世界って言うのかな
同じようで、違う世界って事は前に話したよね?
僕達の世界には、魔法や魔術って言うものは無いんだ
だから、僕は魔法が使えない
ただ、神天使の加護が有るから
練習しだいで、魔法が使える可能性はあるのかな・・?
鈴ちゃんの世界は魔法が無いらしいけど
化学魔法って言う
こっちの世界で言う【魔道具】って言うので
擬似的に魔法を使えるみたい。」
Dは、残念そうな顔で
D「それは、前に聞いたわ
その化学魔法と魔道具が何かを知りたいのよ。」
エルフと言う種族は、長寿の種族であり
特に勇者として召喚されたDは、そのエルフの祖とも言える
純血種のエルフであり、その寿命は1000年を超えるとも言われる
その純血種のエルフの里で、次世代の族長と呼ばれるほど
里の中で他を寄せ付けない魔力と実力の持ち主であった
また、Dは長い時を魔法の知識を得ることに使う傾向があり
その一端で、魔道具に対しても、深い知識をもっていた
だが、鈴が使った魔法及び、魔道具をDは知らなかったのだ
だからこそ【化学】と言う、未知の言葉が付く魔法と
それが魔道具を通して行う魔法に興味があった。
いや、そうではないかも知れない
【7人の勇者の物語】に出てくる
第4の塔の勇者リーンはと・・・
その本当の実力を知りたかったのかも知れない。
そして、マフも
日本に在るはずの無い魔法
ソレであろう化学魔法に興味が有った事もたしかであり
マ「鈴ちゃん
説明できる?」
その言葉に
鈴の脳裏に、面白いことが閃く!
そして、鈴の興味が
ドラゴニーズからDに向き
鈴はニヤリと、悪い笑みを見せるのだった。
ただ、鈴の母親がそれを見たなら
「やっぱり双子か、兄と同じような悪ガキの顔だな!」と鈴を笑い
鈴も鈴で嬉しそうに
「一緒にしないで~~~」
と抗議していただろう。
鈴は、そんな母親の口癖だろう
魔法に対するその理念を口にする。
鈴「お母さんが言うには
魔法とは【未知の化学】と【洗練された技術】
そして【おちゃめな手品】!
そして、ここに未知の化学の結晶
【スマホ】がある!」
鈴は、右手にスマホを持ち
全員に見えるように、その画面を向け
鈴「ひかえ~~~ひかえおうろう!
この方こそ、未知の化学、スマホ様であらせられるぞ~~~」
ただ、まだ稼働していない為、画面は何も映し出していない
そして、そんなネタが分かるのは1人しかいない
マ「うん、鈴ちゃん
そのネタ僕以外わからないからね。」
すでに、鈴の行動に冷静に対処するマフに
鈴は「え~~~~~~~」と不満をぶつけるが
マフはどこぞのアイドル並に「無駄だから。」と塩対応。
鈴「まぁいいや
こないだダウンロードした【MV (ミュージックビデオ)】
【B・B(Beautiful・Beast、美しき獣)】の【CrossDead (クロスデッド)】
このバンド、お兄ちゃんが、大好きなんだよね~~
ドラムとギターが最高なんだって
でも、絶頂期で解散しちゃって
今じゃ伝説のバンドとか言われてる~~」
鈴は、全員の視線を集めながら
ポケットから、双子の兄が作った
【小型の魔改造、外部ステレオスピーカー
(ルルクス鉱石魔力電源式、プリアンプ機能付き60w×60w
エレキギターアンプとして可動可能
最大音量での稼働時間20分)】を取り出し
スマホに取り付け
スマホを操作し音量を最大まであげて
音楽を再生させるのだった。
その楽曲は
デストレーションが効いたギターの爆音のリフから始まる
バリバリのハードロックであった!
その音楽に
キュロスは飛びのき
クラリスは、戦闘態勢を取り
Dは防御魔法を展開させた
ドラゴニーズは、腕を組んだまま
その場に踏ん張ったが
目を見開き顔を引きつらせた。
塔神官長や神官達は
あまりの事で、椅子ごと床に倒れ
腰を抜かしたまま震えだすのだった。
この世界にも音楽はある
吟遊詩人の唄や
バロックや、クラシックに近い音楽で
その全てがバラードある。
そして
とうぜん、ロック以前に
現代世界にある音楽など聞いたことも無いだろう
そして、音を録音出来る魔道具も無ければ
音、そのものを出す、魔道具も存在しないのだ
そう、いきなり
大音量の爆音が
音楽と言う振動が
空気を震わせ
耳を貫き
脳に振動をあたえ
生まれて初めて
ロックと言う洗礼を受けたのだ
その衝撃は
キュロス達、4人の勇者にとって
常識では・・・いや
非常識を通り越して
脳が考えうる概念の域を超えた
計り知れないモノだった。
特にDは
瞬間的に、対魔法系防御魔法を自身に展開させたが
それでも、耳に届く音を
体を揺らし突き抜けていく爆音に
「く!」と
再度、左右の腕を振るい
物理系防御魔法を
6属性対抗防御魔法を、展開させる!
だが、ソレは音なのだ
Dが展開した防御魔法では防ぎようがない
外部との情報を全て絶つ
固有結界や完全隔離に近い魔法なら防げたかもしれないが
戦闘に置いて、周りの音が聞こえないと言うのは
メリットより、デメリットが多く発生し
それを理解しているDだからこそ
防御系魔法を展開させたのだが
それが裏目に出てしまった。
Dは、いつでも魔法を撃てる様に
右手を鈴に向けてはいるが
左手は頭を抑え
その美しい顔を苦痛に歪め
D「く・・・防御魔法を抜けて
頭と身体にに直接?
精神系・・・
それとも古 (いにしえ)の【呪法】だとでも・・・いうの?」
爆音のロックが流れる空間で
キョロス・D・クラリス・ドラゴニーズ達、4人の勇者の反応の中で
最もDが、大きく反応してしまった
いや、今風に言い換えるなら
リアクションが一番デカかった!
そして、鈴がそれを見逃す筈はない!
スマホのスピーカーをDに向け走り出した!
そう、まるで
小学生の男の子が、カエルを手に持ち
大好きな女の子が嫌がり逃げるのを
それはまるで嬉しそうに追いかる
その様をまさに体現させた!
Dは【スマホ】と言う未知の魔法の前で
防御系魔法が意味を成さない事を理解し
防御ではなく、範囲外へ逃げる事を選択する。
そして逃げると同時に
自分を守る盾にクラリスと言う肉を選択し
Dはクラリスの影に隠れるように
空間転移を発動させ転移し
鈴の目の前から姿を消したのだった。
転移魔法と言っても
その種類は数種あるが
Dが今使ったのは
視認できる範囲に転移する
高位に位置する転移系統の魔法ではあるが
転移系魔法の中では初歩の魔法の1つである
目に見える範囲の為
長距離や視覚外の転移の様な高度で複雑な魔法ではなく
簡易であり、その魔法の発動は早い。
Dが転移の魔法を使い
その姿が一瞬にして消える
そして、転移先であるクラリスの背中に出現する。
もし、これが、鈴以外
キュロスや、ドラゴニーズや、マフなら
Dの姿を完全に見失っていただろう
だが、鈴はその眼 (まなこ)は見逃さない
Dが転移する一瞬前
Dの視線がクラリスの居る方向に動いた事を
【転移する場所に視線を落とした】
そんな仕草を読む相手と対峙した事も
そんな話すら聞いたことのないD
魔力感知で出現位置を感知する
そんな話は事実あるが
そんなヘマをDがするわけがない
ただ、知らなかったのだ、視線で先読みする存在など・・・。
鈴はDが姿を消す一瞬前から地面を蹴り方向を変えた
転移開始から転移終了までの時間は約0.3秒
そう、それだけの時間さえ有れば・・・
いや、転移で消える一瞬前から
すでに視線で出現する方向は見えた鈴
なら、Dの視界が切り変わる瞬間を狙い
Dにイタズラを続行するために地面を蹴ったのだ!
そして
Dの転移先であるクラリスの居る方向へダッシュする。
鈴にとって、視線を読み先読みする
それは、普段の遊びで培った技術である
そして、フェイントも無い視線の動きなど
分かって当然と言ってもいい。
近所に住む幼馴染の兄妹など
視線も動かさず、テーブルの上のオカズを、かっさらって行くのだ
その上、視線のフェイントや、箸のフェイントで
鈴や、その双子の兄を翻弄する
そんな相手と遊び学んで来たのだ
駆け引きの欠片すら無い、Dの視線の先を見るなど
鈴にとって意識してなくても出来るといってもいい。
そして、最近増えた家族の1人である
居候の【メイド】など
姿を消すわ、転移はするわ
大好きな兄の風呂を覗こうとするわ
【料理が出来ないわ】
【皿洗いすら出来ないわ】
掃除が出来ないわ
役立たずと言ってもいい
そして、その、メイドの使う【転移魔法】と比べれば
Dの使った転移魔法は、子供の遊びと言ってもいい不完全な魔法
それを見極める事など
兄の拷問とも言えるあの時間の中で学んだ事の1つでしかない。
Dは、転移した瞬間クラリス越しに鈴を確認する
いや、本来ならDの居る場所は先ほどの鈴からしたら死角になるであろう場所
なのに、鈴は嬉しそうに、スマホ魔法を手に持ち
すでにDに向かって走ってきていた!
「な・・なぜ!」と・・・
Dは驚きを隠せず
その視線を左右に振り
苦い顔をし、鈴に対抗できうる唯一の人物に視線を向け
(人族の力を借りるのは嫌ではあるけど・・・
彼しか、彼女を操作出来ないのも事実・・・)と・・・
再び転移で姿を消した。
そして、鈴もその視線を読み
一瞬にして後方を向き
走り出したのだった。
鈴の向いた方向、そこにいた人物
それは、鈴に唯一対抗できる人物【マフ】
Dは、マフの少し後方に転移したのだった。
そんな事は、鈴には関係ない!
大音量のハードロックをスマホで流しながら
それをDに向けて走り出す!
呆れ顔のマフは
横を通り抜ける、スマホを握る鈴の手を取って
鈴の動きを止めるのだった。
「え?」っと
何より驚いたのは鈴だった。
そんな鈴を見て
「マフ、リーンをどうにかしなさい!」と・・
鈴は、マフに手を取られて
「はなせーーーー」と暴れるが
マフは、鈴を無視し、スマホを取り上げ
音量を下げていくのだった。
力のないマフから、鈴はいつでも逃げ出す事も
マフを投げ飛ばすことも出来る
ただ、今は暴れながら、マフの手から伝わる違和感を感じていた。
鈴は、キュロスだろうと
ドラゴニーズだろうと
その手を掴まれたり動きを止められる事など有り得ないのだ
その気になれば絶対に逃げおおせる自信があった
だが、マフに手を取られたのだ
気配など感じられない鈴ではあるが
手を握られるまで
まったく気がつかない事など
近所に住む幼馴染の兄妹や、その父親を抜けば初めてと言ってもいい。
いや、まるで無機質のロボットの様な
その動作を命令づけられた動きだけをする
機械の様な無駄の無い動きだからこそ
鈴は気づけなかった。
ただ、鈴に体ごと振り回される今のマフに
その鱗片も無いのだが
Dは、スマホから解放され
その顔は、落ち着いていくのだった。
ただ、鈴が起動させたのは
VM (ミュージックビデオ)だけではなかった事もたしかであった。




