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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
1章 勇者召喚の儀式
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2話 巨大な女

 



 第6の塔で勇者召喚が成功した次の日である

勇者キュロスの召喚から、2日後の出来事。


 第3の塔で勇者召喚が成功した

召喚された【彼女】も又【普通】ではなかった

いや、そもそも【人間】ではなかったのだ。


 彼女は、この世界では亜人と呼ばれる

【巨人族】の【女性】であった。


 身長4メートルは有る女性

深い緑のくせ毛の長髪

戦場から直接召喚された様な戦装束から見える

鍛え抜かれた筋肉と、ソレに刻まれた多くの古傷は

彼女が生粋の戦士で有る事を想像させる

そして自身の身長は有ろうかと思わす巨大な大刀を

無造作に床に突き刺し

小さき人間である召喚術師達を一瞥し

真上に視線を送ると

そこにいるだろう存在に対し

怒鳴る様に叫びだした


「小人族の争いなど、知ったことか!!

 さっさと、元の世界に戻しやがれ!!

 まだ、トカゲ野郎との決着がついてないんだ!!

 出てきやがれ、バカ天使!」


 その巨体に

その態度に

神をも恐れぬ発言に

神官達は度肝を抜かれた


 巨人族とは、人間ではない

人間の亜種であり【亜人】と呼ばれる存在

それは人族にとって敵である。


そもそも、これから亜人、獣人、魔物と戦う為に

勇者の召喚を行ったのだ

敵であるはずの【巨人族】を召喚してどうする、と言うものだ。


 これには、神官達も逃げ出した

残ったのは、腰の抜けた一部の神官達、数名と

勇者召喚の儀式に本腰をいれた、塔神官長だけである。


 第3の塔それは7人の神天使の1人

【アシャ・ワヒシュタ】を祀る塔であり

神天使アシャ・ワヒシュタが司るのは【秩序】と【正義】である

それを重く準じるのが、この塔の塔神官長

秩序、そして正義、そのどちらにも亜人である巨人族には該当しない。


 本来なら塔神官長自 (みずか)ら排除する対象ではあるが

彼が信じるものは、絶対神であり唯一神である【神】と

自身が仕える、アシャ・ワヒシュタだけである


 そう、神と神天使が

この巨人を勇者と認め召喚したなら

それに従うこそが、己が使命と

目の前の【巨大な化物】に対し

その命を投げ捨てる覚悟で説得を試みるのだった。



 それと、同時刻

大神殿の傍にある神殿騎士の演習所に

勇者キュロスの姿と

神殿騎士団・第一騎士団・副騎士団長である

【鉄槌のガイエン】と呼ばれる、32歳、独身の

神殿騎士団の中では5本の指に入る小太りの英傑が

見合って立っていた。


 実は、キュロスは

この日の朝から、第5の塔、塔神官長の案内で

神殿を案内してもらっていた

そこで、神殿騎士団の事を聞き

宿舎に寄った所

食事中のガイエンと顔を合わせ

遠慮を知らない男として有名な、ガイエンに捕まり

なぜか、手合わせをする運びとなってしまっていた。


 ただ、キュロスも

自身の事を、神の様に扱う神官長や

勇者様・勇者様と近寄ってくる

下心丸出しの神官や

目をハートにする、女性の信者達に

距離を置きたかった所に

全てを笑い飛ばす様な

気風のいいガイエンと、馬があったのだ。


 鉄槌のガイエンと、勇者キュロスの模擬戦を見ようと

多くの神殿騎士が集まってくる

平民の出でありながら

強さだけで栄光の第一騎士団・副騎士団長までなった

【鉄槌のガイエン】

その強さは本物

10メートル級の地龍を

その鉄槌で叩き潰したほど

そのガイエンと、勇者がどれほどの戦いを見せるか!


期待が膨れる中


 一人の神殿騎士が

2人の間に立ち大きく右手を上げる


 ガイエンは、自分の体重より重いだろう鉄槌を肩に担ぎ

いつでも飛び出せるように、膝を曲げ腰を少し落とし

ニヤリと口元を緩める。


 キュロスは、右足を引き

すこし体を斜に構え、自身の聖剣ではなく

刃を落とした、訓練用の長剣を右手に持ち、ダラリと下げたま

まるで距離を測るように、左手を開いたままガイエンに向けた。


 緊張の時は

審判である神殿騎士の

「はじめ」の言葉と同時に振り落とされた右手で

今まさに解き放たれ・・・


いや・・・


その言葉は【大きな爆発音】にかき消された


キュロス、そしてガイエンの視線が

その音源に向く!


キュロス「あの塔は?」


ガイエン「第2の塔だ!」


すでに、走り出していた2人

キュロスは、一気に真剣な表情になり


キ「嫌な予感がする

 悪いが、先に行く。」


一気に加速する、キュロスに


ガ「頼むぞ、キュロス!

 お・・・俺は走るのは苦手なんだ!」


 キュロスに置いて行かれた、ガイエンだったが

第2の塔に急ぐ、他の神殿騎士にまで

置いていかれるのだった。



 時を同じくして第3の塔


 今にも暴れだしそうな巨人族の女性だったが

その肌で感じた、爆発音と、その衝撃!

いや、感じたのは

誰一人、知った存在が居ないはずの異世界でありながら

懐かしいとも感じられた・・・

いや、違う!

この世界に召喚される瞬間まで

目の前に居ただろう存在の【魔力】

彼女が【彼】を、彼の放つ【魔力】を忘れるわけがない!


 喜びに似た感情が湧き上がり

突き立てた【巨刀】を再び握り締め

魔力の存在する方向へ向かう!

だが、巨人族の彼女にとって

この儀式の間の出入り口は小さすぎた

いや、魔力の感じられる方向と

儀式の間の出入り口では、全く方向ちがい

魔力の感じられる方向には

第3の塔の厚く分厚い壁が存在するだけである

彼女はその先を見据え

【巨刀】を3度、大きく振るう!


 出来上がったのは

三角形にくり抜かれた塔の壁

ただ、この場所は塔の上層部であり

地上からは20メートルはあったが

その穴から、彼女は飛び降りていった!


塔の下では、沢山の悲鳴があがるが

儀式の間に残された

第3の塔神官長は

巨人族の女性の行動に歓喜し涙を流す。


「アレこそが、我等が塔の勇者

 【正義】の前に壁は無い

 正義とは進む力

 真っ直ぐに、常に真っ直ぐに

 回り道など許されぬ

 曲がる事も許されぬ

 唯一神の御心のまま

 目的を達成する真っ直ぐな力こと正義!

 正義の通った道に出来るのが【秩序】

 アレこそが、我等が勇者!

 【アシャ・ワヒシュタ】様の使わせし勇者なり!!」



 

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