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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
1章 勇者召喚の儀式
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1話 勇者の中の勇者・無気力な勇者

 



 ある世界に

人族が収める国があった


世界を創りし【原初の三王】


その【3人の王】が1人【全王】と呼ばれる


【唯一神】を迎え


【人族】最大国家となった国


その王国の首都には【唯一神】を讃える【巨大な神殿】が存在し


神の子でもあり、天使でもある【7人の神天使】を祀る


7つの巨塔が神殿を囲むように建てられていた。


 ある日の正午に

神殿を守護する7つ全ての塔で


【勇者召喚の儀式】と呼ばれる物が


ほぼ同時刻で開始された。


【勇者召喚の儀式】


それは【世界を変えうる事のできる存在】である

数多ある世界に、ひと握りしか居ない

【特異点】とも言える【勇者】を探し出し

ソレを召喚する儀式である。


 これには、神天使が主動し

その神に近い力で異世界から【勇者】を探すのだが

これには時間が掛かるのだ

その間の魔法陣への魔力供給に

多くの神官が常に魔法陣を囲み

魔力を流し続ける

この儀式は最悪、数十日に及ぶ

その為、神官は交代制で魔力を供給し続けなければならない。



 そして

7つの塔で、ほぼ同時に開始された

勇者召喚の儀式だったが

儀式開始から数時間後

一番初めに勇者召喚に成功したのは

神天使【クシャスラ】を讃える第5の塔【王権の塔】と呼ばれる

7つの塔の中で、最も権力を持つ塔だった。



 神天使を祀る祭壇を前に

勇者召喚の魔法陣が光り輝く

その目を焦がすほどの閃光が

その空間を占領した。


 直径5メートルがあろう円形の魔法陣の中心に現れたのは


黄金の髪を携える青年


ゆっくりと開かれた瞳はその美しい髪と同じく金色 (こんじき)


容姿端麗 (イケメン)のうえ


見る者の心をも引き付けるほどの


カリスマと呼ぶに相応しい魅力を兼ね備える


一目見て、まさしく【勇者】と呼ぶに相応しい【人間】



 その青年は

まわりの神官の目が自分に集まった事を理解し、口を開いた。


「私の名前は【キュロス】

 神天使【クシャスラ】様からの

 勇者召喚に応じ」


 キュロスと名乗った勇者は

腰にある剣を鞘から抜き

頭上に掲げ


「【聖剣クレイヴ・ソリッシュ】と共に

 この世界の人類の救済をここに誓う!」


 キュロスの言葉に応えるように

聖剣クレイヴ・ソリッシュは光り輝くのだった。


 その場に居た全ての人間が膝を付き

両手を組み頭上にあげ、そのまま頭 (こうべ)を垂れるのだった。


 キュロスは、それを目に入れると

神官達の行動に満足したのか

それとも自身の行動に照れたのかは分からないが

早々と聖剣を鞘に仕舞い


「あ・・・もうしわけない・・

 どなたか、事情の解る方か

 責任者の方はおられますか?」と・・・


 そこには、格好良く威厳があり

誰も寄せ付けない品格を備えた【勇者】ではなく

どことなく、人懐っこい一面をのぞかせた

人間味をもつ親近感を抱かせた【勇者】が存在した。


 この場にいた副塔神官長の男が

「私が・・・・」と

まるで神天使を迎えたように

神の御使いに仕える事の出来る感激に感謝し

涙を流しながら進み出るのだった。



 この勇者の中の勇者の話は

瞬く間に神殿に伝わり

第5の塔以外の6つの塔に広まった!


 6つの塔の塔神官長は、この話に影で顔を歪める

(5の塔が、当たりを引いたか

 これで、神殿の大神官の椅子に近づいたのは

 第五の塔の塔神官長

 奴を蹴落とすには、更なる勇者を・・・)と

そう、まだ【当たり】は存在するはず、と

勇者キュロスを上回る存在を召喚すべく儀式に取り込む

そう、キュロスまで行かなくとも

キュロスと同等な勇者を召喚するために。


 塔神官長達の思惑とは違い

勇者キュロスの召喚で

神殿は、神官や司祭は、大いに歓喜した!


 彼こそが勇者だと

そして、彼に続く残り6人の勇者に期待が膨らんでいく。




 キュロスが召喚された次の日の正午

第6の塔が勇者召喚を成功させた。




 第6の塔の勇者である【彼】は

色々な意味で、キュロスとは真逆な存在であった・・・。


 光り輝く召喚陣の中に、無造作で立つ存在

身長は高く2メートルは有るだろうが

体の線は細く、風が吹けば飛びそうなほど

見た目は、骨と皮だけの痩せた男性でしかなく

その上、猫背で、光の無い眼 (まなこ)は


人生を捨て【生きる意味を無くした人間】としか見えなかった。


 すでに、キュロスを鑑みた神官達には

この男から受ける印象は、異質でしかなかった

この時、この場に居合わせた第6の塔神官長は

勇気を振り絞り、召喚された勇者に声を掛けるも

帰ってきた言葉は


「どうでもいい・・・。」


何度か話しかけ、名前を聞くが

帰って来た言葉は


「どうでもいい・・・。」


 このままでは、拉致があかないし

勇者召喚の儀式をやり直す事など出来るはずもないと


「異世界から来られた勇者様

 まだ、状況の把握が追いつかないのでしょう

 まずは、応接室に宜しいでしょうか?

 あちらで寛いで頂いている内に

 食事の準備と

 勇者召喚の儀式について

 私がご説明を・・・・」と


 これには、召喚された勇者も

ココに居ても、する事は無い・・・と判断したのだろうか

塔神官長の言葉に視線を送り

足をひこずるように動き出した

それは

彼の時間だけがゆっくりと進んでいるかのように

ゆっくりと、ゆっくりと

亀が歩くか・・・

スライムが流体移動するかの如く

塔神官長の後をついていった。


 第6の塔の召喚も成功はした

ただ、キュロスが絵に書いたような勇者だったが為

第6の塔の勇者が

キュロスより格下・・・いや

勇者に相応しくないとも取れたかもしれない


 第6の塔神官長は

まともに会話すら交わせない勇者に頭を抱えた・・・


(外れだ・・・この勇者はダメだ

 何故だ!

 我等が塔が称える神天使【ハルワタート 】様は

 【完璧】を司る!

 本来なら、勇者キュロスが我が塔に相応しくあるはずが・・・

 それなのに・・・

 こんな意味不明な勇者が召喚されようとは・・

 この責任を取らされれば・・・降格・・・

 せっかく、塔神官長にまで上り詰めたのに・・・)と


だが、第6の塔神官長は

この次の日、第2の塔と第3の等で

ほぼ同時に召喚された勇者を見て


(自分の塔の勇者は【人間】だ・・・アレよりマシだ)と・・・


 肩にのしかかった重い失態を

第2の塔と第3の塔の塔神官長に

なしり付けるのだった。



 ただ、コレは始まりである


第6の塔の勇者が始まりだった・・・と


錯覚するものは多く存在するが・・・


最初に召喚された勇者【キュロス】が本来の始まりである


そして、まさしく勇者と呼べる存在に


に浮かれきった神官


いや、大神殿の大神官や


この国のトップである【教皇】までもが


喜びに震えた!


キュロスに続き、次に召喚される勇者も


まさしく【勇者】か?


または【英雄】か?


それとも【騎士】か?・・・と


期待が膨らむ中の


第6の塔の勇者の存在である


そう、誰も思ひ寄らなかった・・・


【神天使】の【加護】を受けた


世界を変えれる力を持つ勇者


いや世界を【変革】できる【特異点】


それぞれが大きな力を持つ存在


そんな存在達が


この世界の【普通】な訳が無い


7人の勇者が召喚される中


誰1人【普通】ではなかった


ただ、普通でないはずの6人の勇者達ですら驚くほどの


【非常識】な勇者が、存在した


神天使に召喚された【勇者】であるにも関わらず


神天使の【加護】も無く


その小さな体は【無力】で、戦う事など出来るはずもなく


【弱者】と呼ぶに相応しい【少女】


ただ


誰よりも【非常識】で


誰よりも【わがまま】で


何よりも【母親が大好き】で


ついでに【双子の兄が好き】な


そんな、かわいい少女は


自身の【あたりまえの常識】の中で生きていた


少女が【非常識】な訳ではない


少女の家族が、より【非常識】なだけである


そう6人の【非常識】な勇者達からも


【非常識】と呼ばれる【もっとも非常識】な少女が


その頭を抱えるほどに。



 

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