19話 お仕置き!
ドラゴニーズが放った魔力の塊
それは、この地を、この場所を、神殿騎士団の宿舎を
消滅さすに十分な魔力!
それが、30cmほどの猫
使い魔である【こはく】に放たれた!
全てが吹き飛び、消滅すると・・・
キュロスや、クラリス達は
その衝撃を、少しでも緩和するために
自分に防御魔法を展開する。
ただ、目の前に居る
綺麗な長く青い髪をなびかせ
大きなリボンを付ける幼き少女と
数日前まで歩く事も出来なかった
病弱で、ひ弱で
その肌も髪も真っ白な
今にも倒れそうな少年に
防御魔法を掛ける時間も
2人を助けだすだけの時間も
そこに存在しなかった。
巨大な魔力が圧縮された、魔力の塊
それが、こはくに近づいていく!
蒼い髪の少女は、気にもしない!
全く逆だったのは白い髪の少年
彼は興味津津だった
少年にとって
この世界で初めて見る
攻撃魔法の【グラフィック】
それが【Lv1のファイア】なのか
【Lv99のメテオ】なのか
どの、ゲームの
どの、魔法に酷似しているのか・・・
そんな事で、頭がいっぱいでああり
その属性は?
その威力は?
そのダメージは? と・・・
そこに、なんら恐怖はなかった。
そんな魔力の塊が
大きさにして約20cmだろう、ソレが
こはくに、ちかずいていく
魔力の塊と、こはくの間に
突如、現れた魔法陣
それに、魔力の塊が接触すると
強大な魔力の塊は圧縮されていく・・
そう、その魔力の塊は
圧縮され小さくなっていき
さらに、凶悪なほど魔力を秘めた
3cmほどの塊になっていく
それが、爆発すれば
被害は、さっきの塊より甚大
この神殿騎士の宿舎はもとより
大神殿にまで・・・・
ぱくり
ごっくん。
それは、まるで
おやつを貰った子猫が
一口で、くわえ込んで
飲み込んだかの様な・・・・。
そんな仕草で
こはくは、その魔力を飲み込んだのだった。
それは、信じられない光景
それを見たキュロス達は目を疑った!
いや、その後も、その目を疑い続けた・・・。
鈴が【こはくくん】と呼ぶ【子猫】
ソレは、鈴の使い魔では無く
鈴の双子の兄が生み出した使い魔である。
そう、鈴の双子の兄が
【魔力を喰らう者 (マジック・イーター)】として
生み出した2匹の使い魔、その先に生まれた1匹
【孤高の帝王】
その生息する島の生態系の頂点に立つ肉食系動物
否、頂点に立つために生まれた王たる資格と力を持つ男をと
時には、その体より大きな動物を殺し食らう、比類なき力の絶対者
単独で行動し、他に媚びる事はない
その瞳は鋭く、立つ姿は気品が溢れ
何者も寄せ付けない気高さを兼ね備える
そんな、全ての頂点に立つ、孤高の帝王をイメージした使い魔
タイプ【西表山猫 (ヤマピカリャー)】
後に【琥珀】と名付けられた
この【子猫】である。
そして、今
その本来の力を使い
ドラゴニーズの放った魔力を喰らった
それは、普段と変わりもしない
【こはく】や【鈴】の
日常にある、何時もの光景
ただ、それだけの事である。
鈴「それで
ドラちゃん!
謝るの?
謝らないの?
あやまるなら、ご飯つくってあげるけど!
どうするの?
・・・?
ねぇ聴いてる?
ん?
マフ君、ちゃんと通訳してよ。」
マ「あ~・・・ちょっと
待ってあげて
何が起こったか理解できてないみたい。」
マ(あ~~~あの魔法どんなのか見たかったな・・・
そうだよね、キュロスさん達は皆魔法が使えるなら
今度見せてもらお! リアル魔法・・・憧れる~~~~)
マフのガッカリとは別で
その魔力を放った
ドラゴニーズは、全てを吹き飛ばすほどの魔力が
この小さな使い魔に喰われた事が・・・
いや、今までどんな敵であっても
ソレを吸収された事が無いのだ
突如起きた理解不能な出来事に
その動きも、その思考をも、とめてしまった。
その無様な姿に、琥珀は
魔素の枯渇状態だった
魔素量0と言う、戦うことも出来ない状態でなければ
お前なんて、相手にも成らないと
舌で、汚れてもない口の周りをペロリと舐め
まるで
「弱き存在よ
その立場を理解し
我が主が妹様の話を聞け」と
アゴで指示する。
「バカするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ドラゴニーズは吠えた!
そして、その手に魔力を纏わし
その感情のまま、こはくに攻撃を繰り出すのだった!
だが、ひらりと飛んでよける、こはく。
それに、鈴は堪忍袋の緒が切れた。
鈴「もういいや!
きっちりお仕置きして
みんなに謝らせるんだから!
こはくくん、攻撃していいよ!!」
そうなのだ、基本、こはくは敵を攻撃しない
鈴が【命の危機】に陥れば別ではあるが
やさしい鈴と、いる限り
こはくは、鈴の許可無しで
攻撃に移ることはない。
だからこそ、この世界に来て
鈴に害なすだろう存在に対しても
攻撃せず、苦手な結界魔法で
鈴を守り通したのだ。
もしも、これが
本来の【琥珀】の主たる【鈴の双子の兄】だったなら
この国は、すでに存在しなかった・・・などはない
鈴の双子の兄であったなら
ドラゴニーズを、バカにするだけ、バカにして
笑いながらドラゴニーズに負けていただろう・・・。
マ「攻撃って?
でも、完全武装って言ってた
アノ鱗の様な皮膚には
物理も魔法も通じないって」
鈴「知らない!
わかんないけど
完全武装って言ってもただの【装甲】でしょ?
壊せばいいじゃん!
こはくくん
【主砲】準備!」
「ニャ!」
こはくは、ドラゴニーズと距離を取るように
後ろに飛びのき
空中に停止すると
その4つの足を、空中だろう場所に固定し
その体の数倍ではあるが
本来の1/3サイズしかない
長さ1メートル程の鉄の筒を魔力で【具現化】させた!
鈴「APCR装填♪」
マ「え!?
硬芯徹甲弾(Armor Piercing Composite Rigid)?」
そう、マフのゲーム脳に引っかかった鈴の単語
戦争ゲームには、まだ手を出して無いが
いつかは、やってみたいと
知識だけはあったマフだからこそ
理解した言葉!
そして、ファンタジーではない
リアル世界の武器に
その威力を知るマフは
さらに興味を惹かれ
その目を輝かせ、くみいるように見つめるのだった。
その行動すら、気づかないキュロス達は、身動きすらしない
鈴は、笑顔で叫ぶ
「はっしゃーーー♪」
至近距離での、1/3戦車級の主砲の砲撃!
【は】で点火された砲弾は、鈴の言葉が終わる前に
何も理解できない、ドラゴニーズの左腕上腕部に当たり
その腕を完膚なきまでに吹き飛ばした!
いや、リアルの武器であるなら
ただの物理攻撃など、ドラゴニーズには効かなかっただろう
だが、これは、リアルの武器を模した
【琥珀】がその【高密度の魔力】で【具現化した武器】
そう
【力】の絶対者であり
全ての頂点に立つ、孤高の帝王である【琥珀】が
その比類なき絶対である【力】と
この世界に来る前に、手に入れた知識を使い
【魔力】で【力】を【具現化】した【形】
それは、琥珀本来の性能である【魔力吸収】ではない
琥珀が自ら手に入れた【能力】であった。
攻撃魔法とは
精霊の力を借りたり、魔術で施行する物もあるが
大きくは、術者の魔素と魔力で
【火】などを【具現化】して攻撃するのが攻撃魔法である
だからこそ、魔力の具現化は、初歩の初歩の魔法
手のひらの上に、小さな炎を作り出す作業みたいなものである。
それを、属性系でもなく、精霊系でもなく、精神系でもなく
それを【力】のみに【特化】させたのが【琥珀】と言う使い魔である
だからこそ、こはくの持つ、高密度の魔素を使い
最凶密度の魔力で具現化された武器は
ドラゴニーズの魔力程度で対抗できるはずもない。
*******
余談ではあるが
この琥珀の力、鈴と共に作り上げた為
本来の主である鈴の兄には【内緒】だったりする。
そして、この力を試す相手は鈴だった為
琥珀の力加減は【対・鈴】に設定されている
それでも、過剰攻撃?かなと
鈴の指示で、何時もより
1/3まで、縮小された大きさで
威力で言えば、1/10も無いAPCRだったが
この有様だった。
*******
鈴「あれ?
思ったより柔かった!!
マフ君!
全然固くないよ!!
マフ君の嘘つき!!」
関係無い所で怒られるマフだが
吹き荒れる、爆発の威力の中
鈴の髪が爆風で暴れながら発した言葉は
嵐の様な轟音で
その声は、マフには届かなかった・・・
そもそも、その爆風でマフは吹き飛んでいたのだ。
そうなのだ、ドラゴニーズも吹き飛んだが
本来の1/3スケールに抑えた威力でも
食堂は
まるで、台風が通り過ぎたかの様であり
マフを始め
キュロス達も吹き飛んだ・・・
どうにか、残ったのは
爆風の威力なんて、関係無しな、少し髪が乱れた鈴と
その巨体で吹き飛ばなかった巨人族のクラリスだけだった。
鈴はマフの姿が消えた事で
マフを探すように周りを見渡し
その惨状が自分がしでかした事だと理解し・・・
「ごめんなさい!
ごめんなさい!!
やりすぎました!!」と
ドラゴニーズに皆に謝らせるはずだったはずが
最後には、その当人である、鈴が
何度も頭を下げるはめになったのだった。
その後も
集まってきた神官達に頭を下げる鈴
非力な鈴では、片付けの邪魔でしかなく
鈴は、片付けに来る神官達に謝りながら
中庭に調理道具を持ち出し
コック達と一緒に
【なんちゃって冷しゃぶ】を作り
神官達にふるまっていた。
何故か、噂を聞いた非番の神殿騎士や神官や
第4の塔の片付けをしていた神官や
または、普段、神殿騎士の宿舎に寄り付かない
人間まで集まり
大賑わいでもあった。
第2の塔の悪魔と言われた
【ドラゴニーズ】
彼は今、食堂から見える中庭
その中心で料理をする鈴の視界の中
中庭の片隅で
左腕を無くした状態で
地面にうつ伏せで寝ていた
それを見た、神官達は何事かと・・・。
近づいて、よく見ると、男の背には
ちいさな【魔物(子猫)】が存在し
男は、苦しそうに唸っていた。
そして、そこには
立札があり、この世界の文字で
【第4の塔を壊したのはこの人です!
只今、お仕置き中!】
と・・・・
魔物 (こはく)に驚けばいいのか
第2の塔の勇者(悪魔)の姿に驚けばいいのか・・・。
ただ、その魔物 (こはく)が
あの
【世界一可愛いく、料理の腕も世界一の、勇者リーン様】の使い魔と聞けば
こはくに対する恐怖など、ふきとんでいくのだった。
|д゜) 1章のメインの話は一旦終わり。
知ってる人はお馴染みの
それからシリーズなんて物が始まります。




