18話 ゲーム脳
「ドラちゃん!
そっちに出入り口あるでしょ!
なんで、そっちから入ってこないの!
どれだけ
お腹が減ってるのか知らないけど!!
壁を壊すことは無いでしょ!
そんな事するなら、ご飯作ってあげないよ!
あ!
さっき皆から、聞いたけど
私達が居た塔の上の方を壊したんだって!
下に居た神官さん達が、いっぱい怪我したんだからね!
後で謝ってもらうからね!」
だが、その日本語は、ドラゴニーズには通じない
ド「さっきは遅れを取ったが
もう許さん!
本気で、相手をしてやる!
我に逆らった事を後悔しながら死んでいけ。」
ドラゴニーズの身体が変化していく
先程までは、まだ、人間の姿ではあったが
その皮膚が全て、ウロコ状に変化していく。
キュロスは、ある意味、死を覚悟した
いや、本気で逃げようとも・・・考えた。
そう、ドラゴニーズが腕だけの【獣化】だろう変化でも
クラリスと2人がかりで、傷1つ付けれなかった
それが、全身ともなれば
きっと、使い魔の、こはくでも
あの外装を傷つける事は無理・・・だと。
ドラゴニーズは怒りを顕にして
鈴に足を一歩ふみだした!
だがそんな、ドラゴニーズに対して鈴は
ドラゴニーズに、右手を向け
その右手を開き、まるで
「ちょっと、まって」と言わんばかりに
「うるさい!!
怒ってるのは、私なんだからね!
マフ君、ちょっと通訳おねがい。」と
「えええええぇぇぇぇーーー!!!!」と
嫌がるマフを呼びつける。
だが、弱者の遠吠えなど関係なし!と
攻撃しようとする、ドラゴニーズに鈴は
「待ってって、言ってるでしょ!」と
伝わらない日本語で怒るのだった。
ドラゴニーズに対して
そんな事を、そんな態度をとった存在は居はしない
ましてや、上から目線で・・・
「も~~~、ぷんぷん!」と・・
可愛いらしく上目遣いで怒られた事など
有りはしなかった
だからこそ、ドラゴニーズは
意味が解らない異世界の言葉を耳にし
すでに開始された戦いの中
緊張も無い、目の前の可愛い存在に
何かを言われる、その度に
何故か動きを一瞬止めてしまうのだった。
キュロス、クラリス、Dは
魔力感知ができ、相手のある程度の強さを測れる
そして、Dが口にしたように
この世界で、ドラゴニーズが最強だと
3人は理解してしまっていた。
だが、本来【魔法が存在しない】世界である
日本から召喚された【鈴】は
魔力感知で相手の強さなど測る事が出来ないし
マフなど、魔力すら扱えれない。
そう目の前に
世界最強と言うに等しいドラゴニーズが存在しようと
日本人独自の感覚とも言える物で
これって【オーラ】?とか
ちょっと【威圧感】が・・・
なんか【怖い】・・・ていどの事しか解らない
だからこそ
マフは、ドラゴニーズに怯える事はなかった
ただ、怖そうな人
全身が鱗に覆われた姿を見ても
フルダイブ式のRPGに、慣れ親しんでいるマフ
そのゲームの中で
自分の数十倍はある【ドラゴン】や【神獣】と戦ってきたマフにとって
その強さや怖さに怯える事は無い
ドラゴニーズの姿など
(ずこいカッコイイ、超リアル3D映像!)
に近い感覚でしかなかった。
そう、マフにしてみれば
全身が鱗に覆われ
その力が、先程より増したドラゴニーズだろうと
(もぅ・・・怖いなぁ・・・
僕は通訳してるだけだから
コレいったの、鈴ちゃんなんだから
僕に怒らないでよ?)
と、怖いより、怒られる事が苦手なマフだった。
そして、まだ、この世界に来て
10数日、いや、意識を取り戻してからは
10日程しか暮らしていないマフにとって
その自身の目で見た物こそ【真実】であり
ドラゴニーズを止めた、鈴や
吹き飛ばした、こはく、の方が
ドラゴニーズより強いと、当たり前の様に思っていた。
言ってしまえば、ただのゲーム脳
マフに見えた【真実】は
対戦格闘ゲームで
パワーキャラ(ドラゴニーズ)を使う、素人(中の人)と
最弱の美少女(鈴)キャラ(超必は式神 (こはく))を使う、プロ(中の人)
そんな2人が、100戦しようと
素人がプロに勝てることは、有り得ないと・・。
マフは、別に緊張感も無く
怖そうな、お兄さん(ドラゴニーズ)の前に進み出て
さっき鈴が言った言葉を復唱する。
「ドラゴニーズさん(ドラちゃん!)
そっちに出入り口あるでしょ!
なんで、そっちから入ってこないの!
どれだけ、お腹が減ってるのか知らないけど
壁を壊すことは無いでしょ!
そんな事するなら、ご飯作ってあげないよ!
あ!、さっき皆から、聞いたけど
私達が居た塔の上の方を壊したんだって!
下に居た神官さん達が、いっぱい怪我したんだからね!
後で謝ってもらうからね!
って言ってました。」
ほぼ完璧に覚えていた、マフ
数百、千をも超える
フルダイブ式のゲームをしてきたマフにとって
好きなキャラや、ネット回線の向こう友人達との会話や
ゲームに関する知識や資料を覚える事は、当然であり
マフの【ゲーム脳】は
物を覚える行為【記憶】に特化していた
いや、この【ゲーム脳】こそが
【勇者マフ】の唯一無二の【力】とも言える
だからこそ、今聞いた
鈴の言葉を復唱するなんて
出来て、当然であり
今まで、鈴の口にした事ばは全部覚えているし
その不可思議な行動すら覚えている
そんな、ゲームで培った観察眼と共に
全てを記憶するマフだからこそ
たどり着いた、疑問があったが
今は、それどころではない。
マフの復唱した言葉に
ドラゴニーズが、マフに対して
「バカにしているのかぁぁぁぁ!!!」と
怒ったからだ
マ「だ・・・だから
言ったのは、鈴ちゃんだって!」
と言い返す
怖いもの知らずなマフ。
鈴「そう
私だって、怒る時は怒るんだからね!」
ただ、キュロス達にしてみれば
聞き取れない、異世界の言葉を発して
可愛らしく、ぷんぷん!
と怒られても怖くないし
この場が、ほんわか和んで
いささか武器を持つ力が抜けるというもの・・・。
だが!
もし・・
もしも・・・
この、ドラゴニーズが・・・・
鈴が何度も口にする
世界一すごい
双子の兄であったなら
きっと・・・・
土下座して
床に頭をこすりつけ
泣き叫びながら
寛大な慈悲を願っていただろう。
そして、近所に住む
幼馴染の兄妹は
自分達に怒りの余波が届く前に
全力で逃げ出していただろう。
だが、ドラゴニーズは
そんな鈴の言葉と態度にさらに怒りを燃やす!
「我を侮辱するとは
もう許さぬぞ!」
もう、言葉ではない
おおいなる雄叫びである!
そして、ドラゴニースの掌で
膨れ上がる魔力の塊!
キュロス達は、緩んだ気持ちを立て直し
鈴とマフを守るために
2人の前に出ようと
だが、何よりも先に
ドラゴニーズの足元で
「ニャァァーーーー!!!!!!!!!」と
ドラゴニーズを威嚇する、鳴き声が上がった!
そこに視線を落とす、ドラゴニーズ
「また、お前か!
いい気になるな!
完全武装のこの姿になった我に
物理も魔法も通じると思うな!
もはや、お前には興味がない
消え失せろ!」
言葉と同時に
圧縮された、ドラゴニーズの魔力の塊が
こはくに向けて撃ち出された!
それは、以前
キュロスと、クラリスに向けて放たれた攻撃より
数倍は強い魔力を有していた。
軽くこの食堂を含む
神殿騎士団の宿舎が消滅するどの魔力!
神天使の加護がある
キュロス達、勇者でも無事では済まされない程の
魔力の塊に
キュロス達に出来る事など・・・・在りはしない。
ただ、キュロス達の目に
その瞳に映るのは
【非常識】な少女の姿
圧倒的な存在と
ソレが放った強力な魔力を前にして
両手を腰に当て
ドラゴニーズを可愛く睨む
その姿は
まるで
「だから、なに?」とも取れる
可愛らしくも
威風堂々とした姿だった。




