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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
1章 勇者召喚の儀式
14/50

13話 圧倒的非常識

本日投稿3話目

 



 ドラゴニーズの腕が

少女が胸に抱える、こはくに伸びていく。


だがドラゴニーズの手が少女に届く前に

ピタリと動きを止めた

いや、止められた・・・

ドラゴニーズの伸ばされた右手

その小指を握りしめたのは

鈴の左手

ただ、それだけで

ドラゴニーズの動きを止めた!


 ドラゴニーズは

有り得ない事態に戸惑いながら

上半身に力を入れ直し

その動きを止めた右手にさらに力を込める!


だが、動きもしない・・・。


これには、キュロスもDもクラリスも絶句であった。


鈴は、この大男が、こはくくんを殴ったのだと・・・


鈴「ねぇ、マフ君

 もしかして、この人が、こはくくんを殴ったの?」


マ「な・・・殴ったって言うか

 振り払ったって言うか・・・・。」


鈴「オッケーー! わかった!」


鈴はドラゴニーズの小指を押し出すように手放した

いきなり力が開放された事で

ドラゴニーズは後ろによろめいて行くが

足を踏ん張り直し

その鬼の様な形相が、幼き少女に向けられた。


 鈴は右手で抱えていた、こはくくんを取り出した

そこには、元の猫の姿の使い魔が存在した。


鈴「こはくくん、少しは回復した?」


こはくは、鈴の手の平に行儀よく座り

とても嬉しそうに

「にゃぁ~~~」と鳴くのだった。

その姿に、鈴も笑顔になっていく。


鈴「よし

 あの人をボコボコにしよっか!

 ああ言う人は、一回ボロボロになって

 弱い人間の立場を分からないと

 何回も同じ事を繰り返すからね!

 まったく【お兄ちゃん】みたいに

 痛い目を見ればいいんだ!!」


その言葉に、こはくは

残念そうな声で

「にゃぁ・・・」と一回鳴いた。


ソレに鈴にもクスクスと


「まぁ、お兄ちゃんは

 ボロボロになっても懲りないけどね!

 まぁ、あの人を【変態】と比べたら

 かわいそうだよね~~~。」


可愛く首を横に倒し、子猫に話しかける姿は

この場には相応しくない光景ではあるが

なぜか、心和む光景ではあった。


だが、それは、ドラゴニーズの怒りに拍車を掛ける。


「我をバカにした態度・・・

 もう容赦はしない

 その使い魔ごと消し飛べ!」


だが、気にすることもない鈴とこはく


こ「にぁ~~なぁ~~にゃぁ~~~。」


鈴「そう?

 あの人には1回しか

 叩かれてないから

 ボロボロにするのは可哀想だって?

 なら、1回だけ仕返しする?」


こ「にゃ!」


鈴「こはくくんは、やさしいね~~~

 よーーし、わかった

 こはくくん、や~~~ておしまい!!」


鈴は、こはくを両手の掌にのせ

ドラゴニーズに向けて、軽く飛ばした

そして、こはくも

「にゃぁ~~」と鳴きながら、宙を飛び

ドラゴニーズに向かっていく。


 理解不能・・・


その実力が有るからこそ

キュロスと、クラリスと、Dは

目の前で何が起こっているのか理解出来ない

それとは別に

鈴の言葉を理解でき

弱いマフだからこそ、理解できていた・・・はずだった。


 ドラゴニーズは

人型で、多少出力が制限されると言っても

強者の自覚が有る

そもそも、人型でも、神天使を凌ぐ力があるのだ

その自分に向かって飛んでくるのが

先程までその存在さえ危うかった、使い魔

多少、魔素を回復し

魔物(猫)の姿を取り戻したところで

我に傷1つ付ける事など出来ない!と・・・


つい今しがた、パワーで鈴に負けた事など頭にもなく・・・


無防備に受けて立った。



 ドラゴニーズに向かって飛んでいく、こはく

普通に目で追える速さ

そこに、多少の魔力は感じるだろうが

ドラゴニーズに比べると微々たる・・・・


ドラゴニーズの懐に入る瞬間

こはくの右前足が前に伸びる!


鈴は右手を高々とあげ嬉しそうに

「こはくくん、ぱーーーーんち!」と叫んだ

こはくの猫の右前足に

数え切れないほどの、強化、ブースト魔法が掛かり

その右前足の前に、数種の多重魔法が展開する

勢いの増した、こはくの右前足が

綺麗にドラゴニーズの、みぞおちにヒットし

ドラゴニーズは、初めて味わう激痛に悲鳴を上げながら

まだ残っていた塔の壁を壊し吹き飛んでいった。


 こはくに駆け寄る鈴

「こはくくん、つよ~~~~いぃ!

 かっこいいーーーーーー!」と

上機嫌で、こはくを抱き抱えようと手を伸ばすが

それを、当たり前の様に避ける、こはく


鈴「くそ、やっぱり逃げられた・・・。」


そんな鈴を笑うかの様に

こはくは「にゃ!」と鳴くのだった。

鈴も鈴で、こはくを見つめながら笑顔で


「まぁ、いいや

 何時ものことだしね~~~。

 え~~~と

 そういえば、確か勇者召喚だとか・・?

 あ、マフ君、マフ君」


鈴は、マフに駆け寄り

「マフ君、勇者召喚って何?」と

可愛らしく聞くのだった。


 置き去りにされた

日本語が理解できない、キュロス達は蚊帳の外である。


 それ以前に

こはくくんの仕返しが終わった後のドラゴニーズなんて

鈴の記憶からすでに忘れられていた。


 そして、マフに

その可愛らしい顔を

グイグイ近づけて「なに?なに?」と

聞いてくる鈴に対して

惚れるなと言うのも無理である。


ただ、マフは何よりも気になっていた事があった


ただ、他人との距離感の壊れた鈴が迫って来る中

マフは、顔を真っ赤にしながら


「り・・鈴さん

 それよりも」


鈴「まって!

 どう見ても私が年下でしょ

 【さん】はやめて!」


 これだけは・・・否定したい鈴

精神年齢・・・いや、その意識が過ごした時間ではなく

見た目で呼んでと!

さらに、顔を近づけていく


マ「え?

 えっと・・あの・・・鈴ちゃん?」


それを聞いた鈴は

いったん体を引いて

嬉しそうに右手をあげて

「はーーーい!」と返事をするのだった。


 やっと、天国から解放されたマフは・・・

残念でもあったが、あのままだと、本当に天国にいってしまうかもと・・

少しだけ後ろ髪をひかれながら

(た・・・たすかった・・・。)と・・・

聞きたかった事をきくのだった。


マ「あの・・・鈴ちゃん

 体は大丈夫、疲れてない?」


鈴は首を傾げ

「ん? なんで、元気いっぱいだよ?」


マフの言葉に、キュロスが近寄ってくる


「マフ、彼女は、なんて言ってるんだい?

 それと、僕達の事を紹介してもらえないかい?

 言葉が通じないのが、これほど不便だったとは

 ちょっと反省しないとね。」


マ「鈴ちゃん

 先に皆を紹介するね

 この人が・・・・


Dや、クラリスが、まともに反応出来ない今

マフは、軽く紹介を終わらせ

そして、少女の名前が【鈴】だと、キュロスや神官達に伝える」


キュロスは鈴の名前を聞くと

そのイケメンを最大に輝かせ!


「そうか【リーン】か

 私の祖国では【リーン】とは

 【優しい鈴の音】と言う意味があるんだよ

 君にぴったりな、名前だね!」


 ただ、その言葉は、マフが日本語で鈴に伝えるのだが

なぜか、歯の浮きそうなキュロスの言葉を

マフが顔を赤くして伝える事となった。


ただ、鈴にとっては、キュロス?イケメン?

なにそれ?【お兄ちゃん】より、カッコイイの?である。


 そして、キュロスが再度

鈴の体調を気遣い問いかけるが

帰ってきた言葉は先ほどと同じく


「元気いっぱいだよ~~。」であった。


そして、マフが代表して口にした


「鈴ちゃんは、10日以上・・・

 たぶん15日くらい、ずっと寝ることなく

 ここで泣いていたんだ・・・

 だから、本当に鈴ちゃんの体が心配で

 少しでも、体調が悪かったらすぐいってね?」


 鈴は、何を言ってるの?と

少し首を傾げ


「ん?

 たった15日でしょ?

 ざっと計算しても、360時間程度

 【お兄ちゃん】の・・・・アレに比べれば・・・

 ただ、泣くだけの15日って

 ハハ・・・

 それはもう天国だよ・・・・」


 何を思い出したのか・・・

鈴の瞳から光が・・・

その顔から笑みが・・・

消えていく・・・。


マ「え?

 お・・・お兄ちゃんて?」


 それを聞いた鈴

一瞬にして、その影が降りた瞳に火が灯り

その顔が嬉しそうに華やかに咲きほこっていく


鈴「私のお兄ちゃん!

 お兄ちゃんって言っても

 双子の兄なんだけどね

 お兄ちゃんは、すごいんだよ!

 なんでもできて、すごく強くて!

 あ、でもお母さんの方が

 お兄ちゃんより強いんだけどね~~

 でもね、でもね

 ほんとにすごいんだよ!

 家事も洗濯もできるし

 掃除なんて、業者に頼むより綺麗なんだよ!

 お兄ちゃんが綺麗にした、キッチンなんて

 もう、使うのが悪いみたいでね

 でも、綺麗にしてくれたんだから

 美味しいご飯でお礼したいでしょ

 だからね、いっぱい美味しいの作るの!

 もう、お兄ちゃんが

 「これウメーー」って言ってくれるだけで

 「キャーーーーー」って感じでね

 いっぱいいっぱい頭撫でてくれるの!

 すごいでしょ!

 ちがった、お兄ちゃんはすごいの!

 でね、でね」


 その勢いに

日本語が理解出来ないキュロスが、マフを肘でつつく・・。


マ「ちょ・・・ちょっと待って鈴ちゃん」


鈴「あ・・・・

 ごめんね

 でもね、お兄ちゃんは本当に・・・

 凄いの・・・。」


それは、嬉しそうにも


この場に・・この世界に兄が居ない事を理解した

悲しい言葉だった。



*****


 後にキュロスや、D達は

マフから

鈴が口にした


「たった15日でしょ?

 ざっと計算しても360時間程度・・・

 【お兄ちゃん】の・・・【アレ】に比べれば・・・

 ただ、泣くだけの15日って

 それはもう天国だよ・・・・」


の意味すら理解出来ない

非常識にも程がある言葉を聞き

頭を悩ませるのだった。


 

次は火曜?

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