11話 失敗と幸運
今日、あと2話分投稿予定
キュロス・クラリス・マフ・D
4人の勇者の目の前で
猫だろう使い魔の存在が
魔素を消費し、元の姿である、とある形に変化した。
勇者キュロスは
(スライムの亜種?
スライムに目や鼻、耳があるのは初めて見たが
この少女は、テイマー(魔物使い)に近い能力があるのか?)
勇者クラリスは
(スライム?
まぁいい、何にせ
力を失った魔物なんて
人差し指でつぶせる)
勇者マフは
(すごい!
スライムだよ、スライム
やっぱり、ファンタジーはスライムだよね!
それも、スライム最強説!
あの子すごいな~~~
魔物使い? 使い魔って言ってたから式神使い?
どっちにしろ
あのスライムを、抱きしめてみたい!
あの子が気がついたらお願いしてみようかな~~)
など、驚きはしたようだが
冷静さを失うほどではない
いや、マフは少し思考が飛んではいたが・・・。
ただ、勇者Dは頭の血管が切れるほど
平常心をうしなっていた。
エルフと言う種族は
得てして気位が高い種族である。
【Dが居た世界】の、エルフ族の言い伝えでは
俗に言う、ドワーフなど亜人と呼ばれる種族は
エルフが拝める【神】である【王】が
エルフを作り出す為に
試作段階の不良品として作り出した存在。
そして、人族とは
人族が拝める【神】である【王】が
エルフを真似て作り出した模造品である。
それら全ては【不完全にして歪】【下等な生物】
それが、エルフと言う種族が
エルフ以外の種族に対する認識である
だからこそ、エルフは
自分達の種族が、もっとも神に近い種族と疑わない。
そして、エルフは
【魔力】や【知識】こそが【力】を持つ種族でもある。
知恵すらない魔物など下等生物以下
それも魔物の中で最下級とも言われる
【スライム】など、視界に入るだけで
知能が落ちると言われる
汚らわしい存在・・・。
そんな、存在が
エルフの中でも最上位に君臨する
純血種のエルフである【D】をも凌ぐ
魔力と魔素量を有していた
これは、Dにとって、あってはならない事
これほどの侮辱を受けたのは
長寿であるエルフ族の、その長い人生の中で
初めての事だった。
その怒りが言葉になって
「ス・・・スライムごときが!!」と
スライム?に、なってもDを威嚇する、使い魔
その勢いは先程までの比でなく
弱々しく感じる
だが、Dの怒りは収まらない
その右手に、この塔すら吹き飛ぶほどの魔力が凝縮されていく。
これは! マズイ! と
キュロスがDを止めに入るより先に
第4の塔儀式の間
その・・・広間から上
塔の上層部が吹き飛んだ。
だがDの魔力は、まだその手の内にある
そして、吹き飛んだ塔の上層部だった所に姿を現したのは
【ドラゴニーズ】だった。
その圧倒的な魔力に睨まれたDは
怯えるように、一歩二歩と後退し
その手に凝縮されていた魔力は、力なく拡散していき
最後にはその場に、ペタリと尻をつくのだった。
空中を浮遊するように
ゆっくりと降りてきた、ドラゴニーズに
キュロスが
「ドラゴニーズ
何故? ここに君が?」
キュロスの結界に閉じ込められていたドラゴニーズだが
そんな物は、気休めでしかなく
その気になれば、いつでも出てこれる事は
結界を張った、キュロスが一番解っていたことでもある
そして、10と数日間、動くことのなかったドラゴニーズが
何故、ココにと、その疑問を聞いたのだった。
「たしか・・・キュロスだったか?
我の用事は、ソレよ」
ドラゴニーズが指さしたのは
スライム?な使い魔だった。
キ「アレに?」
ド「あぁ
さすがに、暇なんでな
ソレを我の部下にと思うてな
なにせ、この世界で2番目に強いのだからな!」
この世界で1番は自分だと
王たる風格で周りを威圧し
ソレは、お前達より強いと公言し
自身の主張を無理やり押し通そうとする
ドラゴニーズ
その圧倒的な威圧は、キョロスですら、圧倒され
口を開くことが許されない。
どうにか、立っている事が出来たのは、キュロスだけ
クラリスも、その圧力に
膝を折り床に手を付く
Dはすでに、床に伏せ
マフは、驚いてソファーだろう椅子に体を投げ出し転がっていた・・・。
ただ、そんな中
使い魔だろう存在は
ドラゴニーズが何者で有ろうと関係なく
主の双子の妹を守る為
力の限り、目の前の存在を威嚇する!
そして・・・
キュロスや、クラリスと、Dは、その目を疑う・・・
いや、その耳を疑った
この、ドラゴニーズの威圧の中
第4の塔の勇者である幼き少女は・・・
相変わらず、泣き叫び続けていたのだった。
そう、この場に召喚され
すでに16日もたったにも関わらず
一切の疲れを見せず、一切泣き止むことなく
ドラゴニーズの威圧など目も呉れず
ただ、ただ・・全力で泣き続けていた。
さすがに泣き声が、五月蝿いのか
嫌な顔をする、ドラゴニーズだが
「五月蝿いが、まあいい
コレを貰っていくぞ。」と
スライムだろう使い魔に手を伸ばす。
魔素を失った使い魔に出来ることは
その体を使って体当たりしかなく。
伸ばされてきた手に
勢いよくジャンプし、体当たりをかました!
だが、勇者クラリスですら傷1つ付けられない相手に
魔素を失った使い魔の攻撃など、髪の毛一本の攻撃力も無く
それを不快に思った、ドコゴニーズは
その使い魔を手で振り払ったのだった!
この世界最強の強者とも言える絶対なる存在
王たる資格を持つドラゴニーズ
それに牙をむく事は【死罪】に匹敵する
それが、振り払っただけで済むなら
それは寛大な処分・・・だったはず。
そして、結果だけ言えば
その行動は、ドラゴニーズ人生最大の【失敗】
いや、使い魔が、それで消滅しなかった事が
ドラゴニーズ人生最高の【幸運】だったかもしれない・・・。
とうとう、7人の勇者の中で
もっとも非常識な少女が
泣き止んだ。




