10話 ♯使い魔の正体
防御結界の破壊
ただ、破壊すれば良いのなら
その結界以上の力で攻撃すれば良いのだが
その力が大きければ、結界の中にも被害が出る
これが、戦いであるなら
それで良いのだが
結界の中の存在を助ける為に
結界を壊すとなると
この方法は取れないのだ
または、結界の強度を超える
圧倒的魔力なら結界だけを壊すことも可能ではあるが
魔法を得意とする
純血種のエルフ
それも神天使の加護を受けた勇者である【D】が
その手を焼くほどの結界ともなれば
これを攻撃で壊すことは
どれだけ被害が出るか解らないほどであり
魔力だけなら、神天使を超えるだろうDすら破れない
この結界より圧倒的魔力など
【唯一神】である【全王】、それと並ぶ2人の【王】だけだろう。
結界解除の魔法や
魔法干渉での結界解除や
攻撃での結界破壊が出来ない今
結界を排除する方法は
結界を発動する存在の魔素を削ることになる。
魔素とは、エネルギーでり、燃料である
これが尽きれば、結界を構築する魔法は発動しなくなるのだ
そして、魔素を削る方法は
砂の山に水を掛ける様なものである。
砂の山とは、結界であり
掛ける水が、魔力
砂の山に水を掛けると
当然、砂の山が崩れてくる
それを補おうと砂を追加する
これが、魔素である
魔力を結界に当て続ければ
結界はそれに見合った魔力を消費し、結界は弱まるのだ
だが術者は、それの補強をするため
結界魔法に魔素を注ぎ込む
それを続ければ、魔素は底を付く・・・
逆に言えば
結界に当て続ける魔力も元は魔素である
当て続ければ当然、その魔素は底をつく
先に魔素が無くなるかは
どちらが先と言う話となる。
キュロスが
猫の蓄積魔素量をDに聞いたのは
自分達との魔素量の差を聞きたかったからだ。
結界を壊す事は確定した
だが、結界を壊した後
または、猫の使い魔が魔素の消費を恐れて
結界を解除し、襲ってくる可能性も視野に入れれば
D達は、魔素を使い切る事は出来ない
ある程度余力を残した状況で次を考えなくてはならなかった。
ただ、使い魔だろう存在は
主からの魔力(魔素)提供がなければ
ソレを回復出来ないのが常識である
そして、主あるだろう少女は、それを出来る状況ではない
D達は、通常回復するし
魔力を回復する薬 (ポーション)なども当然あるが
勇者クラス、とくにDの魔力を完全回復させる物は在りはしない
もし有っても伝説級のアイテムであり
国宝を超える存在であろう。
キュロスとDが色々と考えた結果
【持久戦】しか無いと・・・
ただ、キュロスは
「仲間を助ける為なら!」
と元気いっぱいなのに対し、Dは
(召喚されて早々、面倒な事になったわ)・・・と・・。
とりあえず、午前中にDが
その魔力の半分ほどを使い結界を削る
午後にキュロスが
Dと同じく魔力の半分程を使い結界を削る
これで、1日でキュロス1人分以上の魔素が削れる計算であり
さすがのDも、1日か、2日で
使い魔の魔素が底を付くだろう
そもそも、神にもっとも近し種族
【純血種のエルフ】の自分以上の魔素を蓄積する使い魔など
見たことも聞いたことも有りはしない、と
だが、この世界に【ドラゴニーズ】様な規格外な存在が本当に存在したことから
もしもの時の為に、使い魔の蓄積魔素を過剰評価し
それでも、自分の2倍もないだろうと・・・事に挑んだ。
ただ、この世界の常識も
Dが居た世界の常識も
キュロスが渡ってきた異世界の常識も
魔法など存在しない世界に居た、マフの常識も
この少女と、その傍にいる猫には当てはまらない
少女と言う存在そのものがすでに【非常識】であり
その傍にいる猫も非常識であるが
少女に比べれば多少マシである。
Dが、それを徐々に実感してきたのは
結界の破壊を初めて4日目に入った頃だった・・・。
D「どれだけ・・・・蓄積しているっていうの!
この私の・・・倍?
ありえないわ!
あんな使い魔が私より上?
ドラゴニーズに、迫るというの?!」
それは、猫が構築した結界魔法の外で
Dを威嚇し続ける猫に対して
不満が爆発したDの叫び・・・だった。
だが、関係なしに笑うのはキュロス
「ドラゴニーズは凄いね!
どうやっても勝てる気がしないよ!
味方になってくれれば嬉しいけど
敵に回られたら、この国は終わるだろうね。」
「えぇ、彼を怒らせないことね・・・」
「・・・。
Dは、ドラゴニーズの事を
よく知ってるみたいだけど
彼は何者だ?
いや、本当の彼はどんな存在?
クラリスは、彼と同じ世界の出身みたいだけど
一切、口にしないんだよ
その理由も知りたいところだね。」
Dは、結界に魔力を当てながら
数秒無言で通し・・・
「今はマダ、知らなくてもいい事よ。」
「それは、そのうち教えてくれるって事でいいのかな?」
「そうね・・・
その時が来れば
貴方も理解するわ
【ドラゴニーズ】と言う存在が何なのかを・・・」
この日の午後は、キュロスが結界に魔力を当てていく
それを観察していたDは、口元が緩む
それは、猫の使い魔が微かだが縮んだのだ。
この日は、そのまま終わり
塔から離れた所でDは、キュロスに伝える
「明日には終わるわね
ただ、もしもの時のために・・・・」と
そして次の日の午前10時だろうか
第4の塔、儀式の間に
7勇者の内5人が揃うこととなった。
結界の中で、未だに泣き叫ぶ少女
結界を壊すために、今日は2人同時に
結界に魔力を当てる、キュロスとD
猫の使い魔が暴れた時の為に対峙する、クラリス
見守る事しかできないが
少女の言葉を理解し
少女と対話する為の、マフ
Dが簡単な説明をし
最後だろう結界の破壊が始まった。
昨日までは1人の魔力だったが
この日は、2人
それも、後先考えず瞬間的に放出される魔力は
昨日までとは比べ物にならなかった・・・。
結界を構築した猫の使い魔だが
その威力に押されていく
蓄積した魔素は残り少ない
その上、瞬間的に放出出来る魔力も
魔素と共に少なくなっていき
自身を形造る魔素すら無くなろうとしていた。
そう、使い魔だろう猫は
自身を作り出した主の為に
その主の【双子の妹】を守る為に
全ての魔素を魔力を結界につぎ込んでいく。
だが、使い魔の頑張りも虚しく
膨大な魔力を必要とする結界の維持ができず
結界は消え去った。
そこに残ったのは、使い魔だろう【存在】
すでに、自身の姿を構築するだけの魔素もなく
本来の姿である
使い魔として想像された時の
最初の姿と成り果てた・・・。
その姿を見て、4人の勇者達の思いは色々ではあったが
Dは、その怒りを隠しきれなかった!
「ス・・・スライムごときが!!」
そこに存在したのは
直径20cmほどの
琥珀色の、まるで・・饅頭
点と線で、描かれた、目と鼻と口とヒゲ
そして猫の特徴である
三角の両耳、長く細い尻尾があった
それは
この世界や、どの世界でも
最下級の魔物として扱われる
【スライム】に似た存在だった事はたしかである。
明日、日曜・・・・
3話いきます!




