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【魔法少女#6】いきなり登場?老婆と夜の学校

ポケットのペンは触れた瞬に体温を持っているみたいだった。


逃げ出したい気持ちを抑えながら、ペンを握る。


それを見ているミリアは面白がるみたいに覗き込んできた。



「ほら、こういうのは流れじゃん、書こうよ」


彼女が強めに俺の胸を叩く、少しだけドッキっとしてしまった。


「流れって…」


彼女は相変わらず軽い、でもそれは無責任な感じはしない。



「守ってくれると、信じて書きます」


「守るし、死なせないし、絶対に助けるよ」


あっさりと言い切る彼女は、俺が求めていた普通から逸脱した、”特別”だ。



俺はメモ帳を開き、真っ白なページにペンを走らせた。



「このペンとメモ帳をくれた老婆に会いたい」



書いた瞬間、空気がいきなり歪みだした。


頭に来るのはガラスをひっかいたかのような不快感。


「…っ!来る!」



路地裏の壁が、揺れるみたい歪み、音が消えた。


世界が一瞬だけ、停止したかのような錯覚。



そして。


「…は?」


目の前に…会いたかった人物がいた。


昨日の老婆が、何の前触れもなく、そこにいた。



「一日遅れの現行犯逮捕ってことか」


ミリアが一歩前に出る。



その老婆は明らかに動揺していた、驚き、そして、なにかに恐怖している。


「なんで…あんたが…どうしてここに」



そういいながら老婆の目線が俺の手元に落ちた。



「あんた…面倒な事を!!」


その刹那、老婆がローブから何かを取り出した。



怒りと焦りを孕む声と同時、黒い箱のような小さな装置を取り出した。


人間の世界では見たこともない。



「え。、それまずいな」


ミリアが反応するよりも早く、それが起動していた!




______________




世界が、一気に切り替わった。


景色が塗りつぶされたその瞬間、俺は見覚えのある空間に立っていた。



そう、俺が通う高校、冥王市立 第三高等学校。通称”冥三”。


その校舎、つまり夜の学校。


「…は?」


理解が一ミリも追いつかない。



「ちょ、まじで?」


急いであたりを確認するが、周りには誰もいない。



「ミリア!!」


さっきまでいた頼りになる、自称魔法少女まで、その姿は消えていた。



一気に心臓が跳ねあがる、こんな非日常がいきなり連続で訪れるなんて。


いくら”異界”と繋がる現代とはいえ…俺は普通のはず。



静まり返った校舎の中、昼とはまた別な不気味さの中、足音が響く。


俺はその音の方に恐る恐る振り返る。



「あんた、昨日の男か」


そこにいたのは、あの老婆だった。


逃げ場がない。



「どうして学校に?ミリアは?」


「分断した、彼女がこの街に、いや、あんたと一緒にいたことには驚いたが」


人としての温度を一切感じない、この老婆は一体何者なんだ?



「その道具、渡してみたが、まさか余計な魔女まで連れてくるとは」



老婆はステッキのようなものを取り出し、ゆっくりと近づいてくる。


「だがまぁ、私を呼んだ代償は払わなければならない」



意味なんて一ミリだって理解してない、でも、本能が理解する。



これは…ますい!


「この呪いの解除の仕方を教えろ」


震えを抑えながら、言葉を絞り出す。


「これを止めたいんだよ!!」



老婆の目が、一瞬だけ細くなる。


「止める…あの”穿界の魔女”の入れ知恵か」



垂れた皮膚の下にある口元が歪む。


「ならば、その代償も払ってもらうぞ」


再び風が吹いた、またしても景色が歪んでいく。



その刹那で、俺は校舎の屋上に立っていた。


「この現代、人間世界と異界がゲートでつながり、人間世界にも異界の魔法が多く流れた」



老婆は空を見上げながら、何かを語る。


この老婆、人間ではなく、異界の種族、”魔女”。



「お前は、何を捨てる?」


ギロリと、心を砕くような鋭い目、もう逃げ場はない。



「俺は!!」




_________同時刻。



完全に光を失った、ゴミが転がる路地。


「…あー、やっちゃた」


ミリアは一人、路地の中で立っていた。



「分断とか普通にやってくんじゃん、やるね」


軽く腕を回す、取り出したのは”異様”に長いステッキ。


「ま、いいか」


口元に、少しだけ笑みが浮かんだ。



「移動魔法で私に挑むなんて、世界最大に大馬鹿野郎なんだよ」



その目は___笑っていなかった。


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