【魔法少女#5】現場検証と彼女の信念
強面のおじさんであり、便利屋全助のオーナー。龍門 玄。
「ミリア、深追いはすんじゃねーぞ」
「はいはい、わかってるよー」
若干釘を刺された俺達は事務所を出た。夕方の空気は冷え切っていて、今日起きた出来事が嘘みたいに町は普通に動いている。
「で、どこにいくんですか?」
隣を歩く美女、ミリアに聞く、さっきまで室内にいたせいか、外用の恰好に着替えた彼女は少し印象が違って見えた。動きやすそうなジャケットにパンツスタイルで、髪も軽く結んでいる。
それがどこかボーイッシュで、それでいて妙に目を引く。
「とりま、柊がその老婆にあったっていう路地に行って、ソッコーとっ捕まえる」
とても軽い調子で返答してきた。
「え??」
予想外の返答に動揺してしまう。
「というか、依頼しといてなんですけど、このペンを使わなければ何も起きないので、その老婆を捕まえる必要あるんですか?」
言いながら、自分でもその言葉に縋っているのがわかる。これ以上、何かを起こさなければいい。
それだけで済むなら、それでいいじゃないか。
ミリアは少しだけ振り返って、こっちを見る。
「それ、本気でいってるの?」
「え?」
言葉が詰まる、優し気な声の中に、冷たさがある。
「魔道具っていくつか種類があって。スイッチ型とか、契約型とか、あと…悪魔の力を使ったりとか」
ミリアが歩きながら指を折る。
「魔法少女としてのカンが、今回のタイプは呪いを解除できるタイプだと思う」
「魔法少女…?」
核心に迫る彼女は、とても頼りがいのある感じだ。
「死んでる人とか、怪我もなんとかなるんですか? 」
「安心して、私が全部助けるから」
言いきる姿勢、だが、どこか自身に満ち溢れている。
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そうこう話している間に、俺達はあの日の路地につく。
あの日、特別を貰った場所。
だけど。
「まぁ、何もないよね~」
彼女の言う通り、路地には何もない。
俺は最初この路地こそ、なにか不思議な力で生み出された物だと思っていた。
けれど…見るからにただの薄暗い路地。
「やっぱり、そんな簡単に現場にはいないですよ」
「まぁそんなことだろうとは思っていたよ、この手の奴は用が済んだら消えるからね」
まるで知っていたかのように、この余裕はどこから?
よく考えたら、探すってなにを?手がかりもなにもないじゃん…
あるのはこの謎のペンとメモ帳、でもどうしようもない。
俺が視線をペンに移した瞬間だった。
「あ…でもいけるか」
ミリアがポン、と手を叩いた。
「え?」
「会えるじゃん」
いつもの軽い声、でも今回は違う。
「そのペン使えば」
一瞬、理解が追いつかなかった。
「は??」
「簡単な話、その人に会うって書けば会えんじゃん」
あまりにも簡単に言う。
「いやいやいや」
思わず声がでかくなる、この人は何を言っているんだ?
「事務所での話聞いてました?不幸が起きるんですよ?」
「やろうよ、できるから」
「は?」
「だってほかに方法ないじゃん」
さらりと言う彼女、この人は一体何なんだ?
「大丈夫、不幸が起きても私がいる、この私が全部は助けて幸せにするから」
彼女の信念、それがぶれることは無いようだ。
でも、なんでだろう、出会ってまだすぐなのに、彼女の言葉には妙な説得力がある。
「でも…」
俺の脳内に浮かぶのはあの光景、俺の身勝手で誰かを不幸にした。
それでも、俺はこの彼女を信じれるような気がした。




