【魔法少女#53】決着、ノクスレインとの戦い(1)
私の名前はミリア・ノクスレイン。
「私は…お前をここで超える」
「ミリアちゃん!!悪魔的な最後だね!」
夕焼けが戦場を照らす痛々しい病院の路地。
あの一族が生み出した最高の戦闘者同士が向かい合う。もう退路はない。
「ミラの一撃、やっぱし重いよね。私の作戦勝ちかな」
そう、私はこの病院の瓦礫の山に強烈な打撃を貰って突っ込んだ。
そのダメージは腹に深く刻まれた、けれど、この程度で引くなんてない。
ウルの口角は裂かれたように上がっている、手は震え血がぽたりと垂れ続けているのに。
「ここからはノクスレインは関係ない、悪魔ウルとしてミリアちゃんに勝つよ!」
ウルは小細工なしにスタートを切る、歪なナイフと共に。
「言ってるでしょ、昔の私はもういない」
ウルが望んでいる近距離戦、上等だよ。
次の瞬間、私の槍と彼女のナイフが途轍もない手数でお互いを削り合う。
私の槍は移動魔法がなくとも変幻自在、薙ぎ、突きがウルの制服を赤に染めていく。
「もう影は踏まないの?死んじゃうよ」
「いつからそんなに強くなったのさ!」
けれど、私は知っているんだ。
この悪魔の近距離に関するセンスが究極的であることに。
「もう覚えたよ、槍のリズム」
私達の身長ほどある長尺の槍、それを簡単に掻い潜る。たった短いナイフ一本で。
(私が強くなっても、ウルが弱くなっているわけじゃないよね)
そこから一気に私も血に塗れる、ウルの望んでいた展開。
「ミリアちゃん、やっぱり病み上がりかな?キレがない」
ウルは皮一枚の回避で私に刃を届かせる、やはり押される展開か。
でもね。
私は変わったんだ、あの頃から…あの心に色がなく、自分も、誰かの幸せも知らないあの頃から。
(透、みんな、私を助けてくれてありがとう…これで)
私も私を救うことができるよ。
悪魔のナイフを石突で弾いた直後、私は槍の間合いから一気にナイフの間合いに飛び込む。
当然、奴の目は私を捉えて逃がさない。
「どうしたの?自殺行為かな?」
長尺使いが懐を許す、それは近距離において緊急事態。
正に文字通りの紫電一閃、紫のナイフが私の命脈を絶ちに来る。
(ここだ!!)
悪魔の凶刃が私の命を切り裂く、その瞬間。
私の足元、白銀の光が周囲を照らす。
「魔法少女は成長するんだよ」
急激に私の体がウルの目の前から消える…いや。
「な…どこに?」
「捉えたよ、やっと!!」
空を切る凶刃、その振り終わりの悪魔の後ろに、もう私は”移動してる”。
即座に全身を駆動した捻転のエネルギーを槍に込めて突きを飛ばす。
「捉えさせないよ、その槍は!」
流石天才、急激に切り返し槍を防ぎにかかる。
けどね…ここまで読めたらさ、”あらかじめ”予測できるんだよね。
「読み切ったよ、最後まで」
ウルの目の前に一瞬で現れた銀の円、それが槍を溶け込むように吸い込んだ。
その死の白き門が開いたのは、ウルの斜め上、完全な死角。
「はぁあああああああああ」
彼女はとっさに体を捻るも、肩から斜めに左上半身を盛大に貫いた。
「私がただでやられない」
死んだ左腕で握っていたのは銃、ここに来て今日一番の速射!
もはや視認できない、私の腹を削り血が溢れる。
同時にウルの左肩から糸が切れたかのように力が抜けた、拳銃が地に落ちる。
ローファーを地面に突き立てるように強引に下がり、距離を置いた。
「なんで?自分を移動させれない魔法だったじゃん、それがミリアちゃんの弱点じゃないの?」
ウルは当然困惑、私だって今の今までできなかったよ。
「私の”普通”は特別に変わったんだよ、いつまでもあの頃と一緒にしないで」
両者すでに満身創痍、長引けば共倒れだろう。
(さっきの弾丸とミラの一撃、ますい…傷が深いなぁ)
とは言えウルもさっきの一撃は致命になる深手、そして彼女の強力な早撃ちも封じた。
「悲しいな、こんなに頑張っても、ミリアちゃんは死なないなんて」
ウルにとってこの任務の失敗は死、私が生きていること事態がすでに劣勢。
「もう決めよう、昔からどっちが強いかを良く競ってたじゃん」
ウルは他種族部門の若き天才、魔女部門の同じ天才として当時からウルとは比べられていた。
そして思想も立場も今は反対。でも、ここで決着にしなきゃ物語は幸せにできない。




