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【魔法少女#51】乱戦…壮絶な戦場

俺の名前は柊透。


まさに正念場を迎えた戦場を覗きこむ、便利全助の従業員。


鬼島を病院に移動させた後、俺は少し離れた物陰で二人の戦いを見守っていた。


だが、先ほどまでに完全に死の淵にいた魔人ミラが急に復活したのだ。


身に纏うのは命を引き換えに出し絞る最後の力。


「ミラ、あんたがそんな覚悟あるやつだって私忘れてたわ」


ウルはわかっているのだ、もうミラが助からないことに。


ミラの額に伸びるのは魔人族特有の歪んだ角、それが異様な光を発している。


「そうだよね、私達はノクスレインに救われた、だから命を懸けてここにいる」


そう話すウルは、この戦闘でまだそれらしいヒットを貰っていない。


「そんな組織に仇名す魔女、私達が殺す」


次の瞬間だった。おじさんが下がりながら何かを投擲した。


「実はあと一個あったの忘れてたぜ」


初めてまともに見た、これがおじさんの能力。



さらに投擲された鉄の筒が銀の魔法陣に吸い込まれる。


「予測不可、それこそ搦め手を強力にする」


ミリアの魔法、その陣はウル達の頭上に配置されていた。


しかもおじさんはすでに銃を構えている。


「これだけで終わるかよ」


空を裂く鉛玉が直撃!頭上にのある炸裂弾が時間よりも早く爆破した。


ウルは危険領域から抜け出すが、ミラはまともに食らった。


(ミラはもう立っているだけで精一杯だ)


凄まじい爆傷、それでも彼女の心は一切折れていない。


爆破の領域を抜けたウルはすでに二人の間合いを侵略していた。


「さぁミリアちゃん、ここで終わろうか!」


「私のセリフだよ」


ウルとミリア、最高の魔学の施しを受けた極地にいる二人、その剣閃は目では負えない。


「やっぱ穿界の魔女は強いな!!」


両者の武器が火花を散らし交錯する、なんで槍をナイフで防げんだよ…


ウルはわかっているんだ、ミリア相手には近距離戦が有利であり、ここに来て明確な弱点を突いてきたのだ。


だがミリアの槍も最高峰。いくら相性があるにしてもウルが一方的に削られる。


「悪意に満ちた悪魔、正義の魔法で死ねばいい」


「悪い奴だから悪魔なんだよね」


しかしここでウルの腕が突如として闇に溶けた。


「偽り、そして騙すのが悪魔でしょ」


文字通り影となり光学的に不可の刃がミリアの腹を裂く。


「そんな引き出しもあったね、でも槍の間合いだよ」


しかしそんなダメージはお構いなしに強烈な槍の刺突。


「なんかミリアちゃんもっと強くなったよね!!」


「信念なき刃が私を捉えれるとでも?」


ミリアの刺突を消えるようなバックステップで回避したと同時、ウルは拳銃を取り出している。


狙いは出血で鈍い玄さん。


「悲しいね!!全てがさ!」


だがすでに玄さんの前には白き死の門が開く、幾何学の陣が凶弾を取り込む。


「お返ししますよ、女の子同士のプレゼント交換だね」


「着払いで送り返してるだけじゃん!」


ウルはこの意表を突くカウンターすら溶けきるような回避。


その瞬間、悪魔の顔が悪意に染まった。


「移動魔法はミリアちゃんだけじゃないよ」


刹那、玄さんの陰から突如血に塗れた修羅が立っている。


「きさまぁああああぁ」


魔人族の誇りか、空気を爆ぜさせる強烈なスイングが玄さんを襲う。


「移動魔法の使い手にそのクオリティーは舐めすぎ」


コンマ1秒にも満たない瞬間にミラがウルの前に移動していた。


白き門は一瞬にして目の前に現れ消えていく。これが彼女の本気の魔法なのか。


しかし再びミラの姿がどこかに溶けるように消えていった。



影に溶けた、視覚が脳に伝える情報はそれでしかない。


そして2度目となるウルとミリアの正面衝突、両者の武器の切っ先が目で追えないほどの凄まじい連撃。


「ミラはどこに消えた!」


「お楽しみはこれからでしょう」


ウルの戦闘は何度かこの目で見てきた。彼女の引き出しが永遠に空き続けている。


「この組み合わせは悪魔的かな!!」


ウルがミリアの影を強烈に踏みつけた、まずい…動きが封じられる。


「そんなの読み切っているよ」


ミリアの動きが一瞬速度が落ちた程度、ウルの足を移動させている。


「これは読み切れなかったでしょ!!」


その瞬間、ミリアの陰から突如として棍棒を振り上げたミラが現れる。


美しさと気品を纏う紫の衣装は赤に染まり、もはや文字通りの化け物と化している。


「止まれ!!!」


玄さんが遠距離でミラの腹を撃ち抜いた、なのに…


「モテる女は止まらないのだっぁあああああ」


瞬く間に隕石のような一振りが落ちる。


それでもミリアは驚異的な反射で回避。


だがその隙を狙うのは悪魔ウル、強烈な波状攻撃が魔法少女を襲い続ける。


「冥府でも魔女は裏切っちゃだめよ」


「魔女には誇りもっていますから」


紫電一閃の攻撃をミリアは槍で弾く。


金属音の後のわずかな静寂、ミラは振りぬいた棍棒の勢いのままで回転していた。


再びトラック事故のような一閃がミリアを狙う。


ミリアの弱点…複雑な移動魔法の展開を突く超近距離戦…


「ぐぅうううううう」


強烈な一閃がミリアを吹き飛ばす…ますい!!


ミリアが強烈に瓦礫の山に突っ込む、銀の衣装から放たれる光が埋もれていく。



けれど…そこに遠くから突如として乾いた音が鳴り響く。



それは玄さんが警察時代から築き上げた銃撃。


「これは悪魔的だぁああああ」


ウルの腹の中心を2発穿った。あの悪魔に初のダメージ。


ウルは即座に体を翻し弾丸を避け続ける。


「にげんな!!悪魔野郎!」


玄さんは必殺の気を込めた速射を放つ。それはまさに正確無比。


「ミラちゃん、私の盾になって…って意識ないか」


なんとウルがミラの影を踏み強引に盾にしやがった、凶弾が魔人の体を貫く。


「私を撃った罪…償え」


ウルが放った速射、それは速いなんてもんじゃない。


よろけた玄さんの腹を真正面から撃ち抜いてしまった。


「おじさん!!!!!よくも!!!」


玄さんが力なく倒れると同時だった、瓦礫を吹き飛ばしながらミリアが飛び出してくる。


「ウル…もうあなたを幸せに出来ない」


白き幾何学の紋様がウルの全身を包み込む、それはまさに一瞬。


「ここに来たかった!!」


ウルが白き光に包まれ、死の槍に貫かれるその瞬間。


なんと影から瀕死のミラが飛び出してきた。


「美女の為の犠牲、本望でしょ」


そしてミリアの針地獄のような連撃が無常にも魔人の全身を貫きまくる。


全身穴だらけ、これで生きていられる生物は存在しない。


全身を隠すほどの血がミラに雨として降り注ぐ。


ウルが溶けるようなバックステップでミリアとミラから距離を取ろうと踏み込んだその時。


「俺が…ただでやられるかよ」


「悲しいな!!!」


おじさんが倒れながらもウルに向かって引き金を引いていた。


ある意味殺気を極限まで消したり力感のない速射はウルの腹をまともに貫いた。


「おじさん!!!」


ミリアが玄さんに向けて走り出し、ウルが再びのバックステップで距離を稼ぐ。



_________________




あぁ、私の人生はここまでか。


私は精一杯生きただろうか。


明日には死ぬかもしれない殺伐とした世界で、女で戦場に立ち、同性を多く救っていた。


魔王軍によって蹂躙された私達の国は魔女の魔法できっと発展を続けるだろう。


(あぁ、こんな路地が私の最後なのか)


私の人生はいつも戦いばかりだった、愛していた女性達も、心に深い傷を持つ女性もまだ救い切れていないのに。


(もう一度故郷で、家族と…愛するものと一緒に幸せな日常を送りたかった)


神様、もしいるなら、来世は戦争のない平和で何にも怯えない日常をくだ…さぃ。




____________________



ミラが動かなくなった…その命の灯が消えてしまったのか。


「玄さん!!しっかりして!!」


ミリアが白き門を開け、玄さんを運ぼうとする。


「俺は…大丈夫…あとは…信じてる」


銀の光に包まれおじさんはミリアの魔法で運ばれた。


「ミラ、お前のことは私が忘れないよ」


ウルがゆったりミラの死体を超えて歩んできた。


「ウル…私の幸せを邪魔できないよに、お前も幸せにする」


同じ釜の飯を食う、いや、食ってきた少女たちの戦いはついに決着に向かう。


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