【魔法少女#48】最終決戦、覚醒のミリア
ノクスレイン一族と便利屋全助との闘いもついに最終局面。
「ミリア…目覚めたのか!?」
「玄さん!」
その時、従業員の柊の声が戦場に響く。
ミリアの白い魔法陣から依頼人の紫崎さんと爆破でボロボロになった病院の瓦礫まみれの戦場に降り立つ。
「無事だったか!というか本当にうまくいったのかよ」
俺達の目の前に浮遊し、神々しい魔力を放つのは、先の戦いで敗れ瀕死の状態だった我らがミリア。
人間界の魔学がノクスレインの魔女が治せない、その隙を狙っての襲撃。
柊が握るのは一つの黒いペン。だが二つに綺麗に折れている。
「使ったと同時に壊れちゃいました」
「そのペンは…まさか成功したのか?」
闇より黒い漆黒のペン、一見普通のペンだが、これこそ俺達と柊を繋げた魔道具。
「はい、何とか」
後ろにいる依頼人の紫崎さんが持っているのは小さな木箱。
おそらくそこに隠していたのか…そんな魔道具をしまうのにセキュリティーが杜撰すぎんだろ。
だがこのペンは何でもありのペンじゃない、それこそ柊が俺達の事務所に来た理由。
「だがよ、そのペンの力を受けた奴にその幸福分の不幸が行くんじゃねーのかよ」
俺の心配をよそに、柊はミリアを見つめている。
「大丈夫、ミリアがきっと何とかしてくれます」
何の根拠もない自身、でも今だけはそれを不思議と信じれた。
目の前の光景をまだ受け入れていないのか、悪魔ウルの表情は崩れている。
「やっぱミリアちゃんはこうじゃなきゃ!」
ここまでウルと何度か全助のメンバーとで戦ってきた。
だがウルにダメージらしいダメージを一度だって与えられていない。
「私が全部幸せにするだけ」
会話が若干噛み合っていない、けれどこの感じこそ、我らの魔法少女。
その時だった、直後空から巨大な隕石が降ってくる。
「これが、ミリアに対しての不幸?」
ペンでミリアを復活させた代償、やはりここでか。
「どうしよう!このままじゃみんな死んじゃうよ!」
依頼人の叫び、このままじゃまずい、特に宗次郎に関してはもう虫の息。
「柊、宗次郎を運ぶぞ」
俺が血にまみれた宗次郎の肩を掴んだ瞬間。
「げ…さん」
消え入りそうなか細い声が俺の耳に入る。
「ミリア…お前なら…」
「宗次郎、私なら大丈夫」
ミリアが即座に魔法陣を展開し、瀕死の宗次郎と紫崎さんと柊を移動させる。
「透、あとは私に任せて」
「ミリアこそ、信じてる」
そう言い残し、三人を安全な場所に移動させた。
(宗次郎のダメージがヤバい、間に合うか?)
ミリアの移動魔法は全てを助ける魔法、そして___
「私は、私自身も必ず幸せにするから」
銀に輝く魔法少女は一直線に飛び上り、隕石に向かっていった。
まるで一本の銀の線が空から引かれたかのように。
もはや米粒ほどしか見えないミリアと、空を埋めつくす巨大な隕石。
「ミリア…」
俺の呟きが漏れたその刹那、その隕石を包み込むほどの巨大な魔法陣が世界を覆う。
その大きさは街よりもデカい、空を見上げても見切れるほどだ。
「さぁ、決着をつけよう、ウル」
一瞬にしてどこかに消えた代償というなの巨大な不幸は、銀の光に飲み込まれ世界の彼方に”移動”していった。
「ミリアちゃん…私だって負けられないんだけどな」
ウルの纏う空気が明らかに変わった。
辺りの空気が一気に冷えたと錯覚するほどの殺気、これが異界の本物の悪魔。
優雅に、そして揺らめくよう銀の光が地に舞い降りた。
「私は、幸せに生きる、そしてウルも幸せにするよ」
「いままで散々殺してきたくせに、都合のいいこと言ってんなよ…」
紫のオーラを纏う二本の青い角を生やした制服姿の悪魔。
たいして華やかな銀のドレスを纏う魔法少女。
産まれも育ちも同じ、しかし互いの信念がこの爆破でボロボロになった病院の裏路地でぶつかり合う。
次回、悪魔vs魔法少女




