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【魔法少女#47】私も今日までがプロローグ

なんで、あの日の事を思い出していたんだ?


闇に沈む意識の中、薄暗いどこかを私は漂っていた。


どうしてこんな闇にただよっているの?


どうして魔法が使えないの?


使えたとしてもどうせ、私を”移動”させられないのだから、意味はないか。


そう思いながら私はその流れに身を任せた。


なんだ、なにかは説明できない、それなのにどこかに行かなくてはならない気がする。


こんなことしている場合じゃないと、頭ではなく体がそう焦っているのだ。



その時だった。その闇がどこか一点に集まり、私が漂っていた空間消え去った。


次に見えたのは私が育った魔女の城の屋上。


ここからの景色は絶景であり、よく同世代の魔女とこの景色を見たものだ。


魔女が暮らす国、ヴェルグレアを一望する思い出深い場所。


そんな思考を断ち切るかのように、集まった闇が私を狙い魔弾を飛ばしてくる。


「はぁああああ」


何故かステッキも出ない、魔法を使えない私は全力で飛び避けるしかない。


「裏切り者が、ノクスレインから逃れられると思ったのか」


その闇は…私達の女王そのもの。闇に蠢く触手のような何かが私を指す。


「私は全てを幸せにする…その為に!」


一斉に向かってくる闇の攻撃を地面を転がりながらも避ける。


避けたはずなのに、全身から溶けるような痛みが走る。


「なんで…私は!」


「魔女の誇りと技術を取り戻す」


闇の塊は一瞬にして綺麗な魔女に変わっていた。


闇のロープを纏うその女は、老いているのか若いのか、年齢を感じれない不思議な女性。



その女が手をかざしたと同時、全身を押しつぶすような衝撃で地に押し付けられる。


動けない…潰される。


「諦めろ、そして抗うな、ノクスレインの思想に従えば、全て手に入る」


全て…手に?


そんなわけない。


「ふざけないで…なにが全部手にはいるよ」


私は潰されそうな体を気合で起こし声をだす。


「ノクスレインを抜け出さなければ消されていた、そして私にとって大切な者が今ある、戻ったら手から零れる…」


その回答を聞いた闇の女王はステッキを上に掲げた。


「無念だ、貴様にノクスレインの血が入っているはずなのだが」


掲げたステッキに纏う魔力、分かる。私はここで終わるのだ。


「何も…幸せにすることができなかった」


「さらばだ、来世でもノクスレインの繁栄を祈れ」


そうだよ、私なんでただの組織の駒。


組織が組織の為に作った戦闘兵器と同じ、強力な力を持った兵士なのだ。


なのに奪って当然の役割の私が、いきなり罪悪感を感じる方が変だったのだ。


全て諦め、ゆっくりと目を閉じる。


闇が私を冥府へと誘う…はずだった。



私の目の前に立つのは、特に特徴のない、それでいてどこか自信なさげな男子。


夜風に着崩れた学ランが揺れる。


「ミリアが言っただろ!全てを必ず幸せにするって、俺を特別にするって!」


全部がハッピーエンド、それが私の信念。


でも…もういいんだよ、私は所詮過去の罪の罪悪感から逃れたかっただけ。


でも、なんだ…この男は、私の何を知っているんだ。


「私は…助けてもらうような女じゃない!」


「関係ない!少なくとも俺はミリアにそれでも救われた!」



夜空に星が浮かぶ光の無い屋上、その屋上で私は…この男に助けられたのか?


全ては私の罪なのに。



夜空に浮かぶのは禍禍しいオーラを纏うローブを羽織る魔女。


「貴様か、ミリアを唆し使命を心から除いた癌は」


禍禍しいオーラを持つ謎の魔女を前に、男は槍を取り出して振り向く。


「ミリアがどうとか関係ないよ__」


その男の笑顔は、この世界で誰よりも普通。でも…誰かを信じていて、希望に満ちいていた。


「ミリアが、全部助けて幸せにする、ハッピーエンドが信条なんじゃないのか!!」


この物語の最後は、きっと誰も救うことは出来ない。



はずだった。



体が急に軽くなった、魔力が無限に体から湧いてくるようだ。


男子から槍をもらい受けた、手に生えていたかのようによく馴染む。


「そうだ、私は全てを救うんだ、例え不可能でも、綺麗事でも」


反対の手で男子の手を握る、握った手から不思議と力が溢れてくる。


「行こうミリア、俺達の特別に」


闇に閉じ込められていた私が、この世界から飛び出したような気がした。


「一緒に行こうよ、私が__」


男子が私の手を強く握り返してきた。


「俺と一緒に、全部救ってを幸せにしよう」


私の目の前に広がっていた闇は女王と共に消え、世界が色鮮やかに輝いた。


「ミリアはミリアの事を救えないなら、意味ないんだ、全部じゃなきゃ」


彩られていく世界で、男は手を放さない。


「誰もミリアを救わないなら、俺が救う、俺がミリアの特別になって、そして幸せにする!!」


私は幸せにならなければいけない。


そういう祈りをしていたのかもしれない。


でも、今日は違う。


”特別”な人から、私の幸せを祝われたのだ。

次回…魔女との戦いも遂に最終局面

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