【魔法少女#41】普通を変えた者
俺の名前は柊透、病院を抜け出し救急隊員を押しのけとある場所に向かう、便利屋全助の従業員。
「くそ…爆発が起きた、鬼島は無事なのか?」
鬼島は俺の事を、俺の作戦を信じて逃がしてくれた。
なら俺も鬼島の事を信じるっきゃない。
消火活動や救急車、そして大量の警察、おそらくさっきの火災で全員呼ばれたんだろう。
俺はそれをかき分け群衆を抜ける。
その時、思いもよらない声がかかる。
「まって、柊君!」
その声は後ろから、俺は反射的に振り返る。
「紫崎さん!動けるようになったの?」
「まだ痛いけど、銃がかすっただけで自分で歩いて避難したよ」
紫崎瀬奈、まさに数日前に俺達全助に依頼してきた同じ高校のクラスメイト。
彼女の依頼…それは心の通う友が欲しいという願い。
それを受けてミリアは学校に無理矢理転校、楽しい時間を過ごしていたが、そんな時にノクスレインの連中が現れた。
紫崎さんはあの悪魔ウルからの凶弾を受けている。
「柊君、きっとなんかやらなきゃなんでしょ?私もミリアちゃんを助けたい。だから協力させて!」
彼女の目は真っ直ぐで輝いていた。きっと俺が何を言っても無駄だろう。
「わかった、今すぐに探したいものがある、それがある場所に今から向かう」
「任せて!場所ってどこなの?」
「あぁ、それは____」
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放課後、いや、夜の学校とは何故ノスタルジーに溢れているのだろうか。
「透君?なんでいきなり学校なの?」
「ここにあるんだよ、一発逆転のチャンスが」
俺と紫崎さんは学校の校舎に忍び込んでいた。
「俺とミリアが出会った時の事、紫崎さんは知らないよね」
「うん…どうして便利屋なんかにはいったの?」
「彼女が俺を普通から特別にしてくれたからだよ」
階段を上り、3階の手すりに手をかけたところで、俺は少し前の普通を思い出していた。
あの事の俺は、自信の日常をただつまらない退屈な日々だと思っていた。
人生に変化はなく、それでいて自分で変化を取り入れたり何かに挑戦したり。
何もしない。つまり負けも勝ちもない。成功を失敗も幸せも不幸もない。
そんなの、なんの変化もない普通に決まってる。
なのに当時の俺はどこかこの世界やクラスメイトのせいにしていた。
ただ俺が何もしていないだけなのに。
そして俺は一つの過ちを犯した。
自信の退屈という理不尽な謎のモヤモヤで無関係なクラスメイトを傷つけ、不幸にした。
そんな俺の普通をも受け入れて、さらには俺をも幸せにして特別にするって…今考えると無茶苦茶だよ。
でもそんな無茶で理想しか語らない、背伸びした自信家の彼女を今度は俺が__
必ず助けて幸せにする。
「ミリアは俺を助けてくれた、だから今度は俺がミリアを助ける」
「魔女の体は今の人類の魔法学と医学では救えないんじゃないの?なんか手立てはあるの?」
4階の手すりを寄せるように掴み俺達は最後の階段を上りきる。
「あぁそうさ、でもたった一つだけ手段がある」
俺はドアノブを開け、そこから広がる闇を見据えた。
俺しか知らない隠し場所。そこに最後の最後。全ての常識をひっくり返す俺とミリアを引き寄せた運命の糸。
「木箱?」
紫崎さんが俺の後を突きながらコンクリートと青いブルーシートで隠された木箱をのぞき込む。
「これこそ、常識を全部ひっくり返す___最後の手段」




