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【魔法少女#40】悪魔が来る

俺は息を切らせながらも火柱が上がる病院を降り、消防車や救急車をかき分け路地に出る。


「宗次郎!!」


棟の間、そこに出来ていたのはヤンキーが溜まりそうな小さな公園くらいの広場。


エアコンや倉庫のような扉。何らかのゴミなんかが飛散してまさに闇の道。



飛び散る破片をたどり、俺は6階の東棟の下に走る。


そこにあったのは先ほど見慣れた廊下と壁の破片。


(まずい…さすがにいくら宗次郎でも)


爆破の衝撃の煙はここまでも降りてきているが、徐々に煙が晴れる。


身内が死ぬ、しかも俺のせいで…そんなのもうごめんだ。


俺の体も爆発や刀傷で重症、でもそんなの関係あるかよ。


(ロウ…やられてくれよ…もう俺と宗次郎じゃ倒せない)


その瓦礫の山から少し離れた場所、そこに見慣れた金属バットが落ちている。


「宗次郎!!!」


なんとなくの直観、前職からある第六感がここだと言っている。


その瓦礫の山で何かが蠢く。


「玄…さん…」


立ち上がろうと膝を地面に立てていたのは、全身を血に染めた宗次郎。


「大丈夫か!!」


俺は駆け寄り肩を貸す。その全身に伝わる感触が俺の脳に最悪を過らせる。



何とか腹や胸は避けてはいるが、腕や足は氷で穿たれている、さらには全身に広がる火傷に爆傷、破片をいくつか突き刺さっている。


それでもこの男はまだ死なない。


「起爆する寸前で炸裂弾を壁側に蹴って…ついでに魔女と一緒に窓側に飛びました」


その瞬間に爆破の衝撃で二人は外に落下…って6階から落ちても意識あんのかよ…


「玄さん…俺はまだいけます、あいつを」


「まぁとにかく離れるぞ」


その時だった。空を裂く小さな音が響く。


「が…」


俺の肩を何かが貫く、灼熱感が痛みと共に走る。



目の前に落ちるのは氷の礫。さらには何かをつぶやく声。


「まだ…だ」


俺は即座に銃を構え後ろを振り向く。そこにいたの瓦礫の前で横たわる氷の魔法騎士。


この戦闘で奴は数えきれないほどの爆傷を追っている、倒れてもなおその執念は消えていない。


「てめぇ…まだ!」


宗次郎も気合いで立ち上がり臨戦態勢、だが相手の方が重症だ。


俺達が向き合ったその時、ロウの剣が地に落ちる。周りを浮いていた氷が解けるように消失していく。


「私は…ノクスレインの…」


ぽつりと何か言葉を零したそいつは、文字通り冷たくなった。


「やったらしいな」


「玄さん、大丈夫ですか…」


「お前に比べれば問題ない」


肩で急所を外れている、まだ動く。


その刹那、背中から感じるのは悍ましい何かの気配。


直後響いたのは想像し得る上で最悪の声。



「おい、お前ら死ぬ覚悟はできてんだろうな」


冷たい氷を背中に突然入れられたかのような悪寒、猛獣のような気配が俺達の背後から感じる。


「お前ら、きやがったのかよ」


きっと、全てを未来を想定していたとしたら、この未来こそが最悪の未来だったのだろう。


俺はすぐさま銃を奴らに向けなおす。


「ロウもモアも…ミラの大切な女だった。それを傷つける奴は死ぬしかない」


「怖い怖い、悲しいくらいに怒らせちゃったね」


現れたのは悪魔の暗殺者ウルと、憤怒を纏う魔人ミラ。



直後、ウルが手のひらをかざし影の波を起こす。


「あら…ロウ死んじゃったね」


俺達の後ろに回り込んだ影の波が一瞬にして氷の剣士を包み込み闇に沈めた。


「ノクスレインの魔女を人間が殺すなんてすごいね」


仲間の死、それを受けてもウルの表情は微動だにしない、どころか作業のように回収した。


「ミラが…ミラがいないばっかりに!!」


「この爆破の感じだとモアは魔力になって木端微塵かな」


怒りを纏う魔人ミラが重々しい棍棒を振り上げる。


「もういい、皆殺しだ。ミリアもその他人間も全部」


「私よりも悪魔が来ちゃったね、私達が奪う側なのさ」


突如として現れたのはノクスレイン陣営の最高戦力の二人。


「おいおい、ピンチも限度ってもんがあんだろ」


便利屋全助の未来を賭けた、最終局面。


俺は…もう誰も失わない。

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