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【魔法少女#39】爆破決着

「私をここまで追い込んだのは…異界人でもそうはいないぞ」


美しさと上品さを融合させていた女性騎士の鎧は度重なる爆破でほぼ原形を留めていない。


俺の攻撃は確かに入っている…それでもまだ騎士の命には届いていない。全身を血に染めながらも俺を見下ろしている。



このままじゃ…まずい。


俺は重くなる全身に気合いを入れて立ち上がる。


「俺は___絶対に倒れないぞ…この野郎」


「心までも強い…いいぞ!」


ロウが空間を切り取ったかのように距離を詰める。


「貴方のような戦闘者…私の胸に刻み、永久に忘れぬ」


氷を纏う剣が俺に振り下ろされる…その刹那!



後ろから巨大な何かが突進してくる。


「何者だ?」


ロウも超反応、しかし巨大な鉄板を抱えた影がそのまま距離を詰め切っていた。


「玄さんから離れやがれ」


鉄板が振り上げられる…そこにいたのは___


「宗次郎!!」


俺が叫ぶと同時、途轍もない質量がロウを襲う…それは回避不可の超一撃。


「はぁあああ」


ロウが剣で鉄板を受け流し、俺と巨躯の男から距離を取る。


「モアも役立たんな」


ロウの視線のその先、そこにいるのは…


「うちの仲間を傷つけんなら死ぬ、単純だ」


全身を火傷してる鬼人族のヤンキー、鬼島宗次郎。


「無事だったのか!!」


「柊も例の場所に向かいました…何とか無事です」



反対まで飛ばされた氷の剣士、この状況でも表情は常に凍っている。


「いいだろう、鬼人族も貴様もミリアも…私がまとめて斬る」


状況は2対1に変わった。しかし後ろに手術室がある以上ここでの戦闘はやばい。



俺が思考を回していると同時、外からはサイレンの音が響く。


「炎は時期に消えます」


宗次郎がそんな俺を見て声をかけてくれる、やっぱし顔にでてんのか?



ボロボロだが、宗次郎の登場で状況が劇的に変わる。


「モアを超えたか、やはり雑種はこの程度」


「知るか、お前もぶっ潰すだけだコラ」


だが状況は良いとは言えない。


俺と鬼島の後ろの手術室、そこではまさにミリアの治療の真っ最中。


魔女の体は繊細な魔力でできた飴細工のようなもの…しかも人間とは全く別の体の構造らしい。


「諦めるがいい、龍門玄に鬼島宗次郎。ここで粘ったところで人間の医者では魔女を救えない、時計は時計職人でしか修理できないのと同じ。無理なのだ」



氷の魔法騎士の後ろには、白く輝く幾何学の紋様。


「私の経験を深める良き戦闘だった、我が剣はさらなる段階に進めるだろう」



そう…奴の狙いは最初から後ろのミリア。魔法で狙われたらひとたまりもない。


「宗次郎、分かるな?」


「うす」


最小限のやり取りで優先順位を確認する、今やるべきはこいつをどっかにぶっ飛ばす。それしかない。



増援の可能性もあるが…いまはこいつだ!


「魔法陣なんかだすなよ」


俺は奴の眉間を狙い銃弾を放つ。


「もう避ける意味もない」


軌道を読まれたのか、奴の眉間に剣を置き銃弾を弾く。


「俺を忘れんなよ」


宗次郎が一気に間合いを詰めている、全身から血が滴るがこいつ突破力は変わってない。


「鬼人族などどいう低俗な存在が私の前に立つな」


剣、いや奴が“ステッキ“をかざした、宗次郎の下にはすでに白い魔法陣。


その直後だった、息を飲む暇もなく氷結の刃が下から伸びる。


「宗次郎!!!」


俺が認識した時には氷の刃が宗次郎の体を数か所貫いていた。



「鬼人族、脳の溶けた貴様では理解が及ばぬか?戦闘とは心技体全てを磨く者が勝つ崇高な物、頭も回せ貴様に勝ち目などない」



氷が腕や腹、足に突き刺さり動きの止まった宗次郎に向けて銀閃が走る。


「関係…ない」


その声が響いた直後、氷の剣山を飛びぬけ宗次郎が前に出る。


直後宗次郎の腹に高速の一閃。これはまずい!!


「な…肉が厚い」


手ごたえが悪いロウの顔が歪む、その一瞬で宗次郎がロウの肩を掴んだ。


「離せ…触れる事すら罪なのだ」


氷の凄まじい衝突、隕石のような巨大な氷が宗次郎の上に落ちる。



「知るか…よ」



なんと砕けたのは氷、しかもロウの両肩から腕を放していない。


「玄さん!!!!今だ!!俺ごと吹っ飛ばせ!!」


「宗次郎…俺はお前を信じてるぜ!!」



持っている炸裂弾を二個、宗次郎とロウの真下に投げ込んだ。


「おらぁあああ」


「離せ!!下級の生物が!」


宗次郎が睨んでいたのは窓ガラス。



「さぁ吹き飛ぼうか、綺麗な姉ちゃん!!」



刹那、この廊下の大気が震えた、衝撃が走り目の前が赤に染まる。


俺は再び椅子と宗次郎の鉄板を手術室の前に置き衝撃から身とドアを守る。



複数回の爆破によって爆散している廊下はすでに原型を留めていない、床はすぐにでも抜けそうなほど亀裂が入っている。


(頼む…俺は宗次郎のタフネスを信じている)


白煙が晴れつつある廊下、その先の光景に思わず息を飲む。


「なに…何が…起きた?」


俺が見ている景色には、氷の剣士も鬼の喧嘩屋もいない。


開いているのは下の病院の間の路地が見える窓から周辺に空いた巨大な穴。


「宗次郎!!!」


俺はすぐにその穴を覗く…が下には誰もいない?二人はどこに行ったんだ?


俺は飛び降りるように一階の階段を目指して走り出す。

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