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【魔法少女#38】ノクスレインという血筋

「幾重にも巡らせる搦め手は正に予測不能、弱き者の戦力だが実に面白い」


「頭しか使えない人間様に出来ることはただ一つ、一歩一歩確実な努力だろ」


俺は昔から強かったが、それは人間世界の基準。


異界調査の部隊に所属になってから俺は世界の広さを知った。


同時に人間の無力も…家族を簡単に異界の侵略者に殺される虚しさも。


「俺はこれからもミリアと柊と宗次郎と冥王市の幸せを守る、全部救ってくれる魔女がいっからさぁ」


と、やつに言い放った終わりに別棟から突如爆発音が響く。


その方向を見るロウは、どこか軽蔑ともいえる表情。


「モア、ノクスレインの血を引き継がぬ魔女はやはり弱い、所詮は弾避け程度に設計された雑種か」


爆破の方向を向いてロウは仲間を蔑んでいる…


宗次郎と柊。あいつらは無事か…?


いや、あいつらならきっと大丈夫なはずだ。


「貴様は優秀、きっと人類の中では幾つかの才を以って生まれた…そうだろう」


「いきなりなんだ?」


剣も構えぬまま奴は俺に不思議な問いを投げる。


「過去の情報も見た、優秀だから新設された部隊へと選ばれ、かつそんな環境でも努力は怠らない、人格も完成されている」


「まじでどうした?意味わかんねーこと言うなよ」


その時、唯一笑わない目が、何かを楽しむように垂れ下がる。



「貴様や私のように多くを以て生まれ、さらには不断の鍛錬を積み幾百の修羅場を超えてきた者達もいれば、才も努力する心意気さえもない、与えられた挑戦権を簡単に一回で放棄する無知で愚かな者もいる」



「……」


何が言いたいのかすらもつかめていない。でもそれは奴が胸に抱えている何かの信念なのか?



ロウが剣で刺したのは爆発で発火を続ける別棟。


「単純だ、私は好きなのだよ。自身の与えられた環境と才能。それらを生かすために身を削る努力ができる者が」


さらに氷の騎士は爆破の方向を一瞥する。


「そして同じく、軽蔑している。才も鍛錬も信念さえもない者がいつも…与えられたチャンスを無駄にする」


「大切な仲間じゃないのかよ」


「仲間?雑種など…私の足元さえ見えていない」


思い返せばそうだ。こいつは最初から心の深いところではミリアも、そして俺の事も認めてはいるのだろう。


「お前の話なんざ、知ったことかよ」


俺は再び拳銃を放つ、乾いた音が廊下に木霊する。


「決着と行こう、裏切り者の末路はいつも同じ」


腹をハスらせながらも鋭い踏み込みで距離を縮める。もう銃は当たらないのか。



奴が放つのは強烈過ぎる横薙ぎ、銀の線が命を絶ちに来る。


「さらばだ、貴様の事は忘れないだろう」


「舐めんなよ!」


ここから熾烈な鉄棒と銀の剣による嵐のような斬り合い。


お互いの獲物が血肉を削りながら交錯する。


奴の剣技はまさに至高の領域、棒術と剣をかじった程度では抑えられない。


(くそ…一歩的に削られる)


このままやられるのは俺らしくない。


「もらっとけよ、おじさんからの贈り物」


「同じ事、搦め手も読み切ればただの隙を晒す行為」


俺が放り投げたのは鉄の筒、この戦闘では幾つもの投げた搦め手。


「この距離で爆破すれば貴様もタダで済まない、フェイクだ」


ロウは騎士のローブを靡かせ剣の間合いに俺を捉える。


爆破…?ただでは済まない?



上等だよ。



「読み切ったのは俺の方だな!!」


俺は今日一番の速射!だが発射角度が上!


「褒めざる負えないな」


奴は浅く俺に剣戟を食らわせたと同時。氷の膜を張る。



次の瞬間、悍ましい火力が廊下を包み込む。


「がぁあああ」


俺は再び手術室のドアにめり込む…まだ医者や看護師は出てきてない。


つまり彼らも最善を尽くしている。なら…


「俺…も…頑張…」


炸裂弾が起爆する寸前、先ほど盾に使った椅子を掴み衝撃を防いだ。


それでもかなりの重症、全身は爆傷に包まれ、切り傷は数えられないほどだ。


全身の力を振り絞り、血を噴き出しながら立ち上がった___その直後。



聞きたくもない声が響いちまう。



「異界にすらもいなかったぞ…ここまでのレベルは。龍門玄…数々の修羅場をくぐったその経験を乗せた戦略。褒め称えよう」


一番聞きたくない声が俺の耳に入っちまう。


(やっぱ…ノクスレインは甘くねーか)


粉塵が舞う廊下、ガラスや何かの破片が飛び交うその中で、氷の騎士ロウは立っている。


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