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【魔法少女#37】磨かれた剣戟

「魔法ではなく剣で俺に立ち向かうってか?それで俺に負けたら意味ねーだろ」


「私と同じ強さにいるとでも?」


魔法剣士のロウ、構える立ち姿からは一切の隙が無い…まさに至高の剣士なのだろう。


対する俺は鉄棒と拳銃。どちらも前職で磨かれたテクニック。



____________________




俺はかつてただの警察官だった、ちょっとだけ異界科学に詳しいな。


なんで科学職採用で応募しなかってかって?それは純粋に警察官に憧れていたから。


そんな思いで若かりし社会人の青春ってやつを過ごし続けていた。


気づけば同僚と結婚、目に入れても痛くない可愛い娘も生まれた。



そんな時だった。


【警察の内部組織で、異界の国の邦人を守り、異界を調査する部隊を設立する】


当時、政府が新設した対異界組織、フィールド。


人間の体に異界の生物を封印し、強力な戦闘者を作りだし、人間世界の侵略を企てる異界の組織や国を幾度となく制圧していた。


そこで警察内部でも異界対策の組織を立ち上げたいと…なんと俺はその立ち上げメンバーに入っちまった。まぁ警察のころから優秀だったし。


警察の方の目的は魔法の調査と異界生物、魔女の生態の調査だった。


が…ある日の夜。それは組織が立ち上がりゲートの行き来が増えだしたころ。


俺の人生を変える最悪が起きる。


家のドアを開け、いつものように二人が出迎えてくる…はずだった。


目の前の光景を焼くのは灼熱の業火。


俺と家族の未来を乗せたゆりかごは、殺意を燃料に燃える火柱に飲み込まれていた。



その目に入ってくる情報は、とてもじゃないが俺の脳では処理できない。


血の海に染まる妻子…家の壁に残された謎の幾何学模様。


そこに…最悪のメッセージが残されていた。


【これ以上魔女にかかわるな】


愛する妻子から啜り上げられた大量の血。それを使って何者かが書いた。それだけしかわからなかった。


そこからを記憶があいまいだ。


警察を辞め、人生になにも希望が持てずにふらふらしていた時。


空から突如として降って来た____あの”魔法少女が”。



_________________



「俺は…あいつとは違って弱いさ。弱けりゃ何も救えないし、あいつみたいに全部助けるなんて無理な話だ」



俺に出来ることはたった一つでシンプル。あの日、全てを失った日に出来なかった事。


「目の前の大切な奴を幸せにして助ける、そんくらいなら俺にもできる」


次の瞬間、俺は奴に向けて速射、剣相手にはこれしかない。


「読める、一手として弱い」


迫りくる凶弾を難なくかわす、いくら撃っても当たる気がしない。



だがおじさん舐めんなよ、これだけで終わるか。


「これ、プレゼントだ!」


投擲したのは鉄の筒、この戦闘で奴が見慣れている搦め手。


「ならば手術室まで弾く、無能な一手だ」


宙に舞う鉄を弾き返すためにロウが前に出る。踏み込みがまるで電光石火。


「ここで安易に爆破物なんか使うかよ」


どんな優秀な戦闘者でも行動を読めればこっちのもんなんだよ。俺は引き金を力強く引く。


「食らっとけよ」


「なるほど…」


凶弾がロウの脇腹を掠める、しかし甲冑と氷の鎧がそれを弾く。


鉄の筒はフェイク、狙いは再び懐を侵略すること!


「ならば飛沫と散るがいい」


振り上げられた剣の所作は、命のやり取りの現場の中でも上品さがある。



磨き上げられた銀の一閃、その速度も軌道も最高峰。


「剣相手はこれしかない」


鉄棒で奴の銀閃を真正面から受け止める、華奢な腕からは考えられない威力の袈裟。


「この距離に来たかった」



俺は懐から三度鉄の筒を落とす。


「やはり搦め手に関しては巧だ」


ロウは剣を引いてバックステップ、さりげなく落としたのに気付く速度が速い。



鉄の筒から噴き出すのは鼠色の白煙、手術室を繋ぐ廊下が一気に煙に飲まれる。


「あぁ、戦闘に関しての経験値が違いすぎんだよ」


俺は煙の中這いつくばっての速射、これこそ予想外。



狙いは下半身、乾いた銃声と共に響くのは弾丸が何かに打ち込まれた甲高い音。



同時、白煙から白い騎士が氷を纏い飛び出してくる。


「狙いは読める、貴様が一流だからだ」


下半身には氷の分厚い甲冑、弾が肉を穿ってない。



さらに、ロウがその氷を爆ぜさせる。


「ノクスレインの魔法は美しいのだ」


奴の体から突如として放たれるのは複数の氷刃の散弾。


「剣だけじゃないのかよ!!」


俺は廊下の横の長いすを盾にして氷刃を防ぐ。だが威力が高すぎて勢いまでは防げない。


「時期に皆地獄出会える」


床を凍らせて滑るように急接近、剣士の足さばきと合わせるともう止められない。


その刹那、無慈悲な斬撃が俺の胸を通過する。



痛みが遅れてやってくるほどの斬撃、ここ最近で一番深い…血が口から逆流する。


けどな…斬られるぐらい想定してんだよ。


「いくら優秀な剣士でも!攻撃の終わりは隙あんだろ」


俺は全力で鉄棒を走らせる。


「この程度、見えている」


氷の騎士は空気を氷結させ一瞬にして盾を展開、剣だけでなく魔法も磨かれている。


この魔法の展開の速度…ミリアと似ている。


「貴様…認めよう!優秀だと」


天から落ちる鉄棒の先をロウは捉えている。爆弾を先端に引っ付けておいたんだよ。


「さぁはじけ飛ぼうぜ!!」


しかしロウは体を立て直し、すでに剣が翻っている。燕返しか!!


「ここは剣士の領域、策は破られている」



俺が気づいたのは、奴の剣が上に振り上がった後だった。


美しすぎる剣戟が一瞬にして鉄棒の先端を切り取っていた。



だがな…



「これも読んでんだよ!」


俺は下がりながら拳銃に引き金を掛ける、狙いは宙に舞う切り取られた先端。


「見事だ、龍門玄」



次の瞬間、俺達二人の間から紅蓮の衝撃が空間を埋め尽くす。



爆風で体を持ってかれる!俺は手術室のドアまで吹き飛ばされる。


「がぁああ」


相当な爆傷、ここまでズタズタなのは久々だよ。


「やはり、搦め手に関してではなく…戦闘の総合的な能力では、認めざる負えないな」


この廊下を激しく損壊させた爆傷、その中心部にいたはずの女が白煙を切り裂き前に出る。



甲冑は所々破損し、服装も焦げ肉体からも血が流れているが…俺より軽傷だ。


「私は剣を求めた魔法使い、だが…いいぞ。久しく魔法を使っても一歩的ではない…」


体に纏う氷、ミリアと同じく攻防で隙が無い。


だがな…それでも俺は引けないんだよ。

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