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【魔法少女#36】氷の魔法剣士 ロウ

「ノクスレインの誓いを裏切った魔女は死ぬ、これが掟なのだよ」


突如として現れたのは魔法剣士、名をロウというらしい。


「よくわかったな、この病院」


俺の名前は龍門玄、後ろの手術室で生死を彷徨う魔法少女を助ける、便利屋全助のオーナー。


「龍門…貴様はまだ何かを勘違いしている、ノクスレインに背くその重さを」


奴の鞘を離れた剣は、不純な物質が一つもない純白の剣。放つオーラの異質さを肌で感じとる。


(同じノクスレインのミリアとはまた違う、この世に降り立った時点で選ばれた側ってわけか)


眼前に立つ若き女、一言でいうのならば異質そのもの。


「背くだとか重さだとかはよく知らないが、俺は俺の大切な従業員を守る、それだけだ」



再び特殊鉄棒と銃を握りなおし、奴と向かい合う。


鬼島も柊も今はそれぞれの事をきっとやっているはず…なら俺のやるべきことは決まっている。


「ここでお前を止める、立ち去りな嬢ちゃん」


俺に圧を賭けられていても、騎士の魔女は一切動じてない。


「私が選び、奪う側。貴様は権利すらなく奪われる側なのだよ」


騎士の甲冑のどこか魔女の優雅さを取り入れた青を基調とした鎧。


腰から伸びるマントとスカートの中間のような布が動作一つ一つ揺れて美しい。



正中線に剣を構えた奴の立ち姿は正に達人、どうやら相手はマジの剣士っぽいなぁ。


「組織時代によ…幾度となく異界の剣士とは戦ってきたぜ」


俺は拳銃での速射、先制攻撃を仕掛ける。


「なるほど、優秀な戦闘員だ」


ロウはいとも簡単に射線から外れ距離を潰しにかかる。



踏み込みの鋭さは過去一番、まさしく正統派剣士の足捌き。


「俺がそんな単純に終わるわけないだろ」


発砲したと同時、地面に俺はとある物を転がしていた。


「搦め手も秀逸か」


それは視界を奪う閃光弾。あたりが一瞬にして白の光に染まっていく。


「戦闘の経験値が違うんだよ」


俺はさらに拳銃で天井に取り付けてある看板を狙う。



6フロアと書かれたテレビほどの大きさの看板が奴に向かって落ちていく。


「もはや何の意味もない」


閃光の領域を抜け予測していたように看板をも舞うように回避、閃光は手で押さえられたのか。


「剣士と真正面でやり合うバカはいない」


再び俺は奴に向けて鉛玉を飛ばす。殺意の込められた弾丸は眉間と胸に向けて迫る。


「姑息。弱者の策略だ」


再び滑るような足捌きで凶弾を簡単にかわし切る、どんな反射神経してんだよ。


「だが、間合いは俺が先だな」


この隙を作るために頑張ったんだよ、回避で一瞬の隙が生まれた奴の間合いを侵略する。



確実な一撃を決めるべく放った袈裟軌道の鉄棒。


「無駄なのだよ」


だが、まさに紙一重の距離で攻撃の間合いから逃げ出した…


「無駄なわけあるかよ」


俺は再び踏み込み奴との距離を縮めに掛かった、その瞬間!


足がまるで地面と一体化したかのように動かなくなってしまう。


「あ!?なんだこりゃ」


視線を落としたその一瞬、すでに銀を帯びる一閃が眼前に迫っていた。


「戦闘の感性からものが違う」


その一刀は文字通り銀閃!俺は全存在をかけて鉄棒を差し込む。


甲高い音と共に剣を際で弾く。


「まだだ!!」


ここで俺が終わるかよ。


「おっと、落とし物かな」


斬られる前に落としていたのは小型の筒。


それを左の拳銃で速射、乾いた音と同じくして鼠色の煙が当たりを支配。



何かに固定された足を鉄棒で叩き壊し強引に後ろに下がる。


「…冷たい?」


下がり切ったと同時、感じるのは冷たい何か…まるで氷。


「今の一刀、受けきれてはいないな」


煙を切り裂き現れたのは無傷の魔法剣士、剣を構える姿はまるで一枚の絵みたいだ。



胸から滴る血を無視しながら、俺は奴の方を向き合う。


「あんたの魔法は氷、それと剣戟を合わせる魔法剣士なわけね」


重症__ではないが裂かれた胸からは血が流れ続ける。



「私は高名なノクスレインの末柄、だが私が志した道は剣の道。」


まるで近所の散歩に出かけるような、そんな弛緩している体の動き。さらに奴は語り続ける。


「貴様の繰り出す搦め手があまりに優秀で練り上げられているため、揶揄う為に魔法を使った、ただそれだけだ」


「ノクスレインなのに魔法は本命ではないってか」


そんな言葉を受け奴は、今までとは違う。何とも言えないような雰囲気を帯びた。


「生まれはそう、だが私が目指すのは魔法と武器の高度なまでの融合。貴様も心当たりがあるのでは?」


絶対零度の視線を向けられる中、たった一人しかいない思い当たるヤツが頭に広がる。


「その一点に関しては、ミリアは我がノクスレインの辿り着いた極地。彼女こそ本物」


「なんだよ、あんた何でも見下してる感じで俺やミリアの認めるとこは認めてくるよな」


「私情を入れずに客観的に事実を述べているだけだ」



お喋りはここまで、といいながら奴の雰囲気が戻る、殺意を帯びた優秀な剣士。


「いいぜ、久しくこんなピンチは無かったからなぁ」


後ろの手術室の内部がどうなってんのか知らないし、もしかしたらもう元気にならないのかもしれない。


「優秀な人間に免じて少しばかり遊んでやろう、私も剣士。相手が人間であるならば剣一つでどの領域にいるのかを知りたいのだ」


「好きにしろ、俺はただこっから先に行かせないだけだ」


(柊…わかんねーがあいつならきっと何とかしてくれんだろ)


俺は今柊の作戦を信じるしかない、だからこそシンプルだ。


「歴戦の経験値、そして身体に染み付いた努力の証、相手にとって不足はない」


「ノクスレインだろうが関係ねーな、ただ全部を救って幸せにすんだよ」

氷の斬撃…それが龍門玄の強さを引き出す。

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