【魔法少女#35】吹き飛ばすだけ
俺の名前は鬼島宗次郎、グレて喧嘩三昧だった俺を救ってくれた便利屋に恩を返す、鬼人族。
「結局はガキの火遊びの延長戦、俺に意味はない」
辺りを焦がすのは高温の魔力、相手はノクスレインの魔女。
「モアの炎で全部焼く~そうすればミラ様も喜びからね~」
柊は逃がした、玄さんに話していた雰囲気からするに、なんかあいつにも作戦がある。
アイツのことはまだよくわかってない、でもミリアが見込んだ奴だ。
「俺はただお前をぶちのめす、だたそんだけだ」
俺は全てを賭けて飛び出す、こいつにはもう何もさせない。
「直線的なのは~意味ない~」
魔女がステッキを振り上げると同時、複数の赤い陣から火炎が濁流のように迫る。
炎の波、回避はもう無理なのはわかってんだよ。だからよ…
「こんなもんぶっちぎるだけだよ」
灼熱が俺を燃やす、火に包まれる体を無視して強引に踏み込み距離を潰しきる。
「ミリアはやらせねーよ」
「ヤバいね~」
俺の相棒のバットが唸る、雷のような一振り。
「痛いのや!」
炎のカーテンを超えて炎の魔女の体を豪快に打ち抜く、全身の力がバットに伝わっていく。
「きゃっぁぁぁ」
紅蓮のドレスが奴自身の血で赤に染まる。でも俺もヤバい!
「そこは読んでんだよ!!」
俺は奴を振り払ったと同時、物陰に向かって一直線に飛び出す。
「ここにあんだろ!!」
そこにあるのはさっきまで柊が持ってた消火器、それに向かってフルスイング!
金属音が木霊したと同時、衝撃と白煙が俺の身を包む。
一気に噴き出した消火薬剤が燃える体を消化していく。
「モアの炎~そんなに簡単に消さないでよ」
火の魔女モアも一発でかなりのダメ―ジのようだ、腹からは血が流れ顔色も悪い。
「どうした、腹のどっかの骨でも折れたか」
「ミラ様からのキスで全部完治する」
とは言った物の、俺の体もそれなりにダメージを負っている。
前回衝突した悪魔の戦闘者、ウル。
奴との傷もまだ完治はしていない、さらにはこいつの炎。火傷がだんだんと体を覆っていく。
だがまだ動ける。ならよ…こいつはここで俺が必ず潰す。
「私の一族は力も才もない落ちこぼれ魔女の一家だった…それを拾ってくれたミラ様やノクスレイン一族の為に…役立つから」
奴の軽い空気感がいつの間に責任を負う者に変わっている。
きっと奴なりに何らかの覚悟なり美学なりあんだろう。
「同じだよ、お前も俺も同じ。だからここでお前らにミリアを殺させる訳にはいかないんだよ」
正面で奴を見据えながら、握るバットに力を籠める。
「ミラ様…私が必ず…お役に立ちます」
モアはそういいながらステッキを回転させ陣を呼ぶ。
それはさっきも放った虎型の火炎、あたりの炎を吸収して途轍もない威力になる。
「死ね、ノクスレインの為!ミラ様の為に!」
紅蓮の虎が業火を纏い突撃!だがな…俺ももう学んだんだよ、あんたらの攻撃に回避は難しいってな。
「知るか、意味なくぶち破る」
俺は紅蓮の虎の口に真正面から突っ切っていく!上着や髪、全身が焦がされていく。
「止まれよ!!!モアの炎で死んでよ!」
モアの顔…ほらよ、やっと奴さんの顔色が焦りに染まったぜ。
「俺の…俺達の特別を奪うんじゃねーよ」
必殺の決意を乗せた金属バットの一撃がモアの脳天を正確に打ち抜く!
「いやぁああああああ」
凄まじい衝撃と共に魔女モアが壁に打ち付けられる。
「痛って、クソ強いな…魔女連中はよ」
俺は思わず片膝をつく、まずい…体の炎を消すで手立てがない…
万事休すか、そう心でつぶやいたその瞬間、目の前から突如大量の水が押し寄せる。
「なんだ!」
その水が俺や周りの火炎を一気に消化させていく…これは消防車!?
窓の外、そこには大量の赤灯を光らせ独特のサイレンの音を響かせる消防やパトカーが現場に到着していた。
「間に合ったのか…」
6階の炎が消えていく中、壁際で力尽きている魔女の体に異変が起きていた。
「死ぬの…や…」
彼女の体がまる砂のように溶けて消えかけていた。
「なんだ…そりゃ」
体の節々から魔力の粒子が漏れ出し、肉体が崩壊へと向かっていく。
だがおかしい、魔女が死ぬとき、体が粒子に変わるなんて聞いたことない。
その俺の直感の答えを示すかのように、魔女モアが不気味な笑みを浮かべる。
「お前も…道ずれにしてやる!!」
「こりゃあやっべぇ!!」
俺が反対方向に飛び出したと同時だった。
周囲を白く染めるような凄まじい衝撃が全身を叩きつける。
「こりゃ…やられたぜ」
柊、あとは頼んだぜ_____ミリアが信じたお前なら…




