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【魔法少女#29】助けるという傲慢

俺の名前は柊透、物陰で仲間が戦いに敗れたのを見る、便利屋全助の従業員。


普段の銀に輝く美しい魔法少女、それは闇に染まり不幸せを願った。



しかし相手はあのウルとミラ、2対1は絶望的、最後の最後でミリアは負けてしまった。



俺達が隠れるトイレの反対、そこでミリアは血にまみれ意識を失っている。


魔人ウルの圧倒的なフルスイングを受け、肉体は限界に達してしまった。



それを見た戦闘者二人が歩み寄る。


「あのミリアちゃんもここまでか、悲しいね」


「美しい女も殺さなければならない」


魔人ミラに至ってはミリアの槍に穿たれている、それなのに当たり前のように立っている。



歩きながらウルが俺達に声をかける、それはこの状況をあざ笑うかのように。


「ミリアちゃんのお仲間さん、これはこれはそろいもそろって幸せそうだ」



その声を聴いた俺は本能的にミリアの前に飛び出す。


「まて、待ってくれ!!ミリアが何したって言うんだ!!」


「柊君!!」


飛び出した俺を心配するかのように紫崎さんが叫ぶ。



「汚らしい男がミラの前に立つな、失せろ」


紫の華々しい戦闘服に身を包むミラは露骨に態度が変わる、圧力がヤバい。



「ミリアの仲良し少年、そいつは私達を裏切った、使命も放棄してね、死ぬしかないんだよ」



嘲笑っているように見えたウルの表情は、よく見れば無。


温度をまるで感じない、でも、目だけ笑わずに軽い感じ、ミリアによく似ている。



「お前達の事情なんか知らないけどな、少なくともミリアが殺される奴なんかじゃない!!」


俺はまだ彼女の事は詳しく知らない、いきなり出会っていきなり仲間になって、まだ日は浅い。


それでも____


「なんだ、君、全然ミリアちゃんの事知らないじゃん」


俺の思考を遮るように、ウルが言葉を被せる。



「あぁ、知らない、でも知ってることもある」


「ミリアちゃんがどんな魔女かも知らない癖に、よく守れるね」



そう、あんな軽くて適当なノリで生きてるような女の事なんて知らないよ。


でも、俺は、俺にとっては彼女特別なんだよ。



「教えてあげるよ、ミリアちゃんはね、無関係の命を沢山奪ってきた、正真正銘の魔女なんだよ」


「命…」


さらにウルは自身のナイフを胸に当てなぞり、虚しさが乗る視線を地に付すミリアに向ける。



「ミリアちゃんと一緒にいたら気づかない?彼女は全部幸せにするとか言って、実は自分さえ幸せに出来ない欠陥魔女だって」


「気づく?」


俺はその一言が胸に引っかかる。


「だってさ、お笑いだよね。誰かを助ける魔法は、唯一自分を助けれないなんて」


その時、ウルの目が初めて笑いを見せた気がした。


「移動魔法の使い手なのに、自分は移動できないんだからさ」


彼女から発せられた声が空気に乗った瞬間、どこか自分の心が納得していた。


思い返せばそうだ。何かに駆け付けるときや、誰かを移動させる際、彼女だけは別に__飛んで移動していた。


全部を助けて全部を幸せに。そんな信念を掲げる魔女は、自分の事だけは救えないのだ。


「ミリアは…」



俺の言葉にもならない呟きと同時、突如としてカキンっと金属のはじける音が響く。


「悪魔的な仕掛けだね」


「なにが…」



その礫は俺達の足元に転がっていた、筒状の機械が光を放っている。


次の瞬間、予測不可能な閃光が俺達のあたりを激しく照らす。



「これは…聖なる光!!」


ミラがウルの前で棍棒を縦にし光をとっさに遮る。


よくわかんないけど、これはチャンスだ!



「紫崎さん!!走って!!!」


俺は後ろのミリアを抱えて影に飛び込んだ、血の量がヤバい。



俺がミリアを抱えたと同時、大柄な影が光から現れる。


「柊!ミリアは無事か!!」


「おじさん!!来てくれたの!」


それはオーナーである玄さん、これは一体!?



「この光は人間には問題ない!悪魔と魔人が怯む隙に逃げんぞ!」


柄シャツの中から取り出したのは同じく筒状の機械。



「あーミリアちゃんの上司か、そういえば前職はめんどいことしてたもんね」


バックステップで二人は範囲から抜け出していた、動きが相変わらず素早い。



「お前ら頭上げんな!!!」


おじさんの声が広場に響いたその刹那!


「さよらな、ミリアちゃんとそのお仲間達」


ウルの照準がすでに俺達に合っている、こいつの銃だけは特別な域だ。



「撃たせるかよ、この悪魔がよ」


おじさんはすでに筒を転がしている。



「意味ないよ、大体この辺だ」


暴力的な光でウルの皮膚がただれる中、一切ブレずに照準を合わせている。



次の瞬間、乾いた鉛玉が俺達の肉を削る。


「きゃ!!!」


「紫崎さん!!」


俺の後ろを走っていた紫崎さんの悲鳴、足からとめどなく血が流れる。



「おじさん、ミリアを!!」


「おう!」


俺はそのまま倒れる紫崎さんを受け止めそのまま加速する、止まれば一撃で撃たれる!



「この魔道具は悪魔と魔人の力を抑制する、あの悪魔の力はもう付いてない、広場を離れる!!」



無我夢中で紫崎さんを背負う走ると、突然テレビの番組を変えたかのように、景色が歪む。



同時に響くのはサイレンの音と誰のかもわからない悲鳴。


(ウルの弾丸…)



俺の足が止まったの見ておじさんが叫ぶ。



「死にたいのか!!走れ!!」


ミリアをお姫様抱っこしながら俺に蹴りを入れ前に飛ばす。


痛みが遅れてやってきた、肩に灼熱感。


ウルの射撃が俺の肩を掠める。



「止まれば死ぬぞ!!」


「はい!!」


俺はなにもわからないまま、ひたすらにおじさんの後ろを追いかけ続けた。




_________________




「あーあ、ミリアちゃん逃がしちゃった」


厄介な光のせいで私の影も広場から消えちゃった、あの男、やっぱ元異界調査員は伊達じゃないね。



「ウル、野次馬が増えた、引くぞ」


こいつ、お腹をがっつり刺されてもまだ動けるんだ、魔人族はタフだね。



広場にはいつの間にか救急車や警察、消防者までもが出動している、銃声や怪我人を出しすぎちゃったかな。


「まぁミリアちゃんだいぶ削れたし、いっか、あとはなんとでもなる」


「まずはロウ達にただいまのハグだな、そうすれば傷は治る」


さて、ミリアちゃんのお気に入りの少年はこっからどうするのかな…興味はないけど。

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