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【魔法少女#28】信念の敗北

俺の名前は柊透。


「紫崎さん、絶対に影から出たらだめだからね」


「は、はい、でも撃たれた人たちが…」


突如始まった戦闘から身を隠す便利屋全助の従業員。


隠れた…といってトイレの陰にいるが、実際はミリアの能力。


…あのミリアがボロボロなほど追い込まれている、しかも戦闘に巻き込まれて数人が重症、周りの人間が慌てて救護している。死んではいなさそうだ…



それよりも、俺としてはあのミリアの空気が完全に変わってしまったことに驚いている。


ミリアの信念は全てを助けて全てを幸せにする…その考えとは真逆。


普段は美しい白銀の魔法少女は、憎悪に染まった闇を纏っている。



「死ねよ、不幸せになって」


ミリアは吹き飛んだように前に出る、踏み込みの力が全然違う。


「速すぎね!!ミリアちゃん!!」



ミリアの狙いはウル、一気に槍の射程に捉える。


小細工なしの正面衝突、両者の間で火花が盛大に散り合う。


「もうお前になにも感じない、助ける価値もない」


「助けるとか、自分が助けられるという傲慢でしかない」


一方的…移動魔法を使わずしての純粋な刺突、ウルが削られていく。



「久々に楽しいよ!!ミリアちゃん!!!」


ウルも致命は避けてつつ防御、スペックが違う。


「悲しいんでしょ、なら死ねばいいじゃん」


「魔法無しでこれか!!悪魔的だ!!」


ウルの脇腹をミリアの槍が穿つ、これがミリアの全力!?



「ミラを忘れるな!!」


すでに魔人ミラが規格外なスイング!!圧力がヤバい!!


「見えてるよ」


すでにミリアは回避しながら槍を構えている。カウンターの刺突が走る。



「さよなら、お前は幸せになるなよ」


「がぁああああ」


その刺突は完璧に魔人ミラの腹のど真ん中を貫いた!


その一撃は完全なる深手、槍が体を貫通している。



「ぐがぁ…この程度は覚悟していた、ミリアを倒すんだからな!!」



なんと…槍が腹を貫いたまま、奴が巨大な棍棒を振り上げる。


槍が奴の体に食いついて抜けない!まずい!!


「オラぁあああ!!」


「ぎゃぁあああ」


強烈過ぎる鉄の横薙ぎがミリアの頭を強烈に打ち抜いた!!


勢いで槍が抜け、そのまま俺達が身を隠すトイレの壁に激突する。


「まだだぁあ…幸せを…奪ってやる」



敵意と殺意に飲まれたミリアが、ゆっくりと立ち上がる。その姿はウルよりも”悪魔”のように見えた。



_____________




「殺してやる…絶対に」


体を貫く鈍痛が、私をさらなる闇に引きずり込む、もう全てどうでもいい…この二人を殺してやる。


そんな私を憐れむようにウルは笑う。


「ミリアちゃん、今誰も助けないもんね、なら…」


ウルが手にかけたのは拳銃、しかも照準は私じゃない。



「ミリアちゃんの大切なボーイ&ガールちゃん、隠れて無駄だよ」


ウルが消えるようなサイドステップで私を無視してトイレを回り込む。



狙いは…二人!?


そう感じた時、どす黒い物に覆われた心が一瞬無になる。



(私は…あの日…全てを助けて幸せにって…誓ったのに)


自分の信念を殺し、凶悪な殺意に飲み込まれていた。


(悪い魔女はやめて!皆を助ける魔法少女になる!!)


そうだった、なのに私は…


「ミリア!!危ない!!!」


柊の切羽詰まった声が響き渡る、そんなに飛び出したら危ないよ。


「やっぱり、ミリアちゃんは仲間に弱い」


逡巡していたその刹那の隙、ウルはそれを最初から狙っていた。


「さぁ終わりだよ」


乾いた殺意の弾が私を撃ち抜く、灼熱感が腕と腹に走る。


(際で急所は…)


それでも私のダメージは深い、もう動けないくなる。



「この腹の傷、生涯忘れない」


もう後ろに、ミラが迫っていた。



抵抗する力すら残っていない、目の前にはすでに巨大な鉄。


「大好きだったよ、顔が」


規格外の打撃を無抵抗のまま腹に受けてしまった…


「ぐがああああああ」


弾丸ライナーのように再びトイレの壁に衝突する、今度はトイレが受けきれずに倒壊してしまった。


「おじさん…ごめん…誓いを…」


もう指一本、動かす力は残ってない、ごめんみんな、私のせいで…


瓦礫に体が


「ミリア!!!!」


柊の声だけが私の耳に届き、そして意識が途切れてしまった。


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