表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/52

【魔法少女#25】最悪の一日

「桜も散っちゃうね」


解放された屋上の小屋の影、燦燦と照らす太陽の下で俺は人生で一番濃かった春を思い出す。


5月中旬の晴天、俺はミリアと紫崎さんと三人で昼ご飯を食べていた。


「揚げパンうますぎない!?いくらでも食べれちゃうよ!」


「まぁ異界には当然ないよな」


元気いっぱいの声をを響かせるのはミリア、制服姿もよく似合う、太陽に照らされた金髪がそよ風で靡く。



「ミリアちゃんも柊さんも仲良しですね」


彼女は依頼人の紫崎瀬奈、友達を学校で作るため全助に依頼してきた。


だがミリアは私が親友になるとか言っていきなり転校するし…


「私は瀬奈ちゃんとも仲いいよ!」



なんなら紫崎さんもその状況を楽しんでいるし、ちゃん呼びで仲良くなっているんですけどね!


「てか、いまだにクラスの連中はうるさいな、いつになったら収まるのやら」


「いや…いきなりミリアちゃんみたいな美女来たら騒ぎになるよ」



個人的にこの展開は頭にあった、ミリアのような滅茶苦茶目立つ生徒が転校してきたとなれば騒ぎになるに決まってる。


昨日のミリアの自己紹介、それのせいで俺とミリアの関係性が皆から邪推されている。


さらに魔女の末裔に異界の美女…連日クラスメイトから別クラスの生徒、さらには上級生まで押しかける始末。



「まぁ人気のない屋上なら昼休みは心穏やかに過ごせるね」


「ミリアちゃんもそんな素直に説明しなくてもいいのに」


けど、この魔女…いや、魔法少女はブレない。


「私は全てを幸せにする魔法少女、無視なんかあり得ないよ」


その時、紫崎さんが口を開く。



「そうだ!ミリアちゃん!放課後クレープ食べに行かない?柊君も」


「いいね!いこいこ!」


「俺も行っていいのかい」


その時、コンクリートで押さえつけられているブルーシートが風に靡く。


ミリアはそれをどこか懐かしむようにそれを見ていた。



でも、俺は今回の依頼はミリアの深い部分に触れれそうな気がしている。


いつも、彼女は笑顔で言動もノリも軽い。そして目だけは笑っていないように見えた。


凄く頼りになるミリアといえ年相応の女の子、ここ数日は学校に着て心の底から楽しんでいるように見える。


彼女はいつも強烈な理想を語り、それを信念として絶対に曲げようとしない。


俺はいつも気になっていた。


ミリアの信念、”皆を必ず助けて幸せにする”。


その”幸せにする”というなかに___ミリア自身は含まれているのだろうか。



________________




「クレープ、うますぎない!?幸せ!!」


冥王市の冥王駅から徒歩数分、小さな噴水のある広場にあるのは最近SNSでもバズっていた移動式のクレープ屋さん。


移動方法はなんと飼いならしたドラゴンに店をつるすというもの、その奇抜さが話題となり今若者、とくに冥王市を拠点にしているため近くの若者は皆ここに集まっている。



俺と紫崎さんはチョコ、ミリアはイチゴのパフェを皆でほおばっていた。


俺達三人が座るベンチの横の広場では、親子や学生、老人で賑わっている。



「これを毎日できるなんて、日本のJK達幸せ過ぎない?楽しすぎて毎日学校に行っちゃうよ」


今日一番のテンションでパフェを味わっている。


(ミリア…やっぱり楽しそうでよかった)


その時、紫崎さんが空を指さしながらつぶやいた。


「なんか、空が暗いね、まだ日は出てるのに、不思議」


「そうだね、太陽は見えるのに、なんかフィルターがかかってるみたい」


俺も空を見上げた、なんだか違和感を感じる景色。



「まーみんな、取り敢えず事務所でゲームしよ!」


ミリアはベンチから立ち上がりクレープのゴミをゴミ箱に投げた。


まるでプロバスケ選手のようなシュートに目を奪われたが___



(なんだ?何か強烈な違和感がある!)



「ミリア、見て!影がない!」


「影?」


俺も、周りのあらゆる物体から影が消えている、違和感の正体はこれか。


その瞬間、後ろの影が”ない”はずの何者かの影がでかくなる、誰か来る?



そして、ミリアの後ろに現れたのは____最悪の人物だった。


「ばいばい、ミリアちゃん」


もう奴は…悪魔ウルはそこにいた。



「さよらな、昔のお友達」


次の刹那、閃光のようなナイフがミリアを切り裂く。


「はぁあああ!」


ミリアはギリギリ前に飛んだが…避け切れていない。


「ミリア!!」


(まずい、今のは深手!)


さらに紫崎さんが叫ぶ!


「ミリアちゃん!!危ない!!」



それはまさに電光石火のようだった。もう一人の女が迫っている。


「ミリア…裏切らなければ、ミラが愛してあげたのに」


その言葉と同時だった、異質なほど巨大な棍棒がミリアの腹を撃ち抜く。


「ぐぅううう」


途轍もない波状攻撃、全部真正面から食らってしまった。


「ミラ…ウル…良くも…やってくれたね」


凄まじいダメージの中、ミリアが取り出したのは相棒のステッキ。


「柊、紫崎さんを連れて逃げて!!」


ここまで切羽詰まった彼女を見るのは始めて…なんなんだこいつら!?


(嘘だろ…あのミリアが?)


今までいろんな場面でミリアを見てきたけど、まともにダメージらしいダメージが入ったのを見たのは始めてだ。



「ウル…影監禁、なかなか使えるじゃん、ミラ、惚れちゃった」


「ここら一体包んだから、もう魔力使いすぎたかな」



現れたこの二人…片方は前回見た悪魔。だがもう一人棍棒女の圧力も尋常じゃない。


この公園がいきなり戦場に変わってしまった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ