【魔法少女#24】転校生は魔法少女
「異界から日本にやってきました、ミリア・ノクスレインです、今日からよろしくお願いします」
終わりかけの春風が吹くこの教室に、とんでもない竜巻が入ってきた。
黒板の前、担任の横に元気よく立っているのは、そう、自称魔法少女のミリア。
(なんで俺と同じクラスなんだよ…って紫崎さんが同じクラスだからか)
窓側の一番後ろの自席、俺は自分の机で頭を抱えていた。いや、分かったはいたけどさ、こんないきなり?
事情を知らないクラスメイト、特に男子は異界からやってきた美女に大興奮。
「金髪異界美女…」
「美人すぎる」
「スタイル良くね」
なんだろう、気持ちがわかってしまう自分と男という生き物の情けなさを同時に感じている。
そんなことはお構いなしと、ミリアはニコニコしながら前を向いてる。
似合いすぎている制服姿をみると、いつも頼もしかった彼女も年相応の女の子なんだと思う。
「ミリアさんが東京にきてからまだ半年で、不慣れな事もあるが皆仲良くしてやってくれ」
うちの担任は若い男性教員、年上の教師にありがちな異界差別的な雰囲気はない。
「では簡単にミリアさんから自己紹介をお願いしようかな」
担任の教師がいったその言葉でクラスは一気に騒がしくなる。
「えっと、異界のヴェルグレアっていう魔法が使える異界人が多い国出身です、ちなみに自分は魔女の一族です、簡単な魔法ぐらいなら使えます」
騒がしかった男子も静かになり、彼女の話に耳を傾けていた。
俺の通う冥王市立第三高等学校はこの時代には珍しく異界人が少ない。異界の話ともなれば珍しいのだ。
「あと__」
そういいながら彼女がいきなり指をさす。
その方向は__俺?
「そこの柊君と一緒に毎日便利屋で働いてます、みなさんも依頼事があればぜひ来てください、全部助けて幸せにします」
その一言が、静まり返った教室に木霊する。
そして波のように驚きと困惑が広がり、黄色い歓声と野太い嫉妬、それらが混ざり合い竜巻のように、その衝撃は一瞬にして校舎全体に広がってしまった。
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私の名前はウル、魔女の一族に飼われている悪魔。
「また皆で集まれるとは、ミラは嬉しすぎて壊れそうだ」
「ミラ、うるさいから静かにしてくれないか」
私はこのうるさい脳みその中が詰まっていない女を連れ、瀬礼市のゲート港に来ていた。
瀬礼市の港、その真上には巨大な光を放つ”扉”。
それは50年前に現れた世界の亀裂、だが人類とは恐ろしい。半世紀もあれば簡単に制御できるほどの技術力がある。
港の真ん中、そこにあるのはまるで空港のような施設、そしてゲートがある天まで上る階段。
人類は友好的な異界種族や巨人族と協力し、ゲートの治安管理を行っている。
とくにその中でも覚の一族、異界人のなかでも人間に友好的、生物の心を読むことができる。
その監視網を突破するのはどんな異界マフィアでも苦労する、こうして人間世界の治安は保たれている。
けれど、こっちはその技術こと魔法の始祖、少数程度であれば掻い潜れる。
「あの飛行船ぽいな」
「ウルは目が良いな、私は目が良い女もタイプだ」
大型の異空間を移動可能な貨物船、人間と異界人が貿易に使用する生活の必須空路。
「じゃぁ、迎えに行こうか」
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港に着陸した飛行船を確認した私達は人気のない裏道に車を回していた。
「そろそろだね」
「私とのドライブ、デートのスリルは100点」
私が時計に目を移したその時だった。
車の前に紅蓮の幾何学模様がいきなり現れる。
「お待たせしました、ミラ様」
「ミラ様~寂しかったよ~」
紅蓮の魔法陣から現れたのは、赤いドレスのような衣装を身に纏う魔法少女と、冷徹という文字が顔に浮かんでいる騎士。
「ようこそ、人間世界に」
「ウルパイセン~お久~」
「ウル様、お久しぶりです」
そう、この二人こそ、ミラの自称彼女兼嫁候補の戦闘者。
燃え盛る紅蓮を操作する炎の魔法少女、モア。
「ミラ様の為なら、なんでも燃やしちゃうかな~私の恋も燃えてるし」
異界では放火魔という異名が突いている狂気に満ちた魔法少女、戦闘力も高い。
「女王様からの任務、必ずや達成いたします」
この真面目で堅そうな騎士、こいつはロウ、鎧っぽさが残る戦闘服や腰に携えた剣。
魔法と剣を融合した言わば魔法剣士、こいつは正真正銘のノクスレイン一族の血を引く、特別な戦闘者。
二人が乗り込み、車は冥王市に向かって走り出す。
「女王様も悲しいくらい本気なんだね、ミリアちゃんを殺すのに」
こうして、裏切り者を狙う超精鋭が東京にそろった。
「ミリアちゃんが求める幸せは、訪れないかな…」




