【魔法少女#20】破壊の女神
俺の名前は煉城練斗。
「ここまでぶっ壊されて負けられるかよ」
「壊されるほど軟弱な建物が悪い」
いきなり事務所をぶっ飛ばしてきた魔人と激突する金花探偵事務所の用心棒。
魔女組織に所属している戦闘者、魔人ミラ。強い、規格外のパワーもそうだが戦闘カンも鋭い。
さきほどの一撃、奴の棍棒をまともに食らっちまった。
(肋骨が何本か折れてるがまだ動ける)
煉獄刀で受け止めて威力は多少は抑えられたが、次こそヤバいかもしれない。
組織時代ぶりの難敵、攻略の糸口はまだ見えない。
「てか、さっきも聞いたがよ、なんで俺らを狙う?勢力拡大の際に邪魔になるからか?」
ミラが棍棒を構えながら不適に笑う。
「理由?そんなことが気になるのか?強ければミラはモテる、女とイチャイチャできる。それだけ」
なんだと…この野郎。
「本命は裏切り者の始末、煉液、お前はミラにとってついでの作業なんだよ」
地面が砕けるほどの踏み込み、もはや重機かよ。
「”ついで”で俺の大切な居場所を破壊するなよ」
(さっきで解った、棍棒は受けたらヤバイ)
俺のバックステップも究極、奴から距離をとる。
大気を爆ぜさせながら振り下ろされるのは奴の棍棒。
「ぺらぺらになれ」
だが俺は避ける、もう大体分かってんだよ。
「俺みたいな分厚い男はそうそういないぜ」
俺は飛び跳ねながら煉獄の斬撃波を飛ばす。
「煉液、お前はバカなのか?無駄だよ」
奴に向かう俺の炎は、まるで蚊を弾くように消されてしまう。
俺が学習しない…?そんなわけないだろうよ。
「さぁ、今度こそ俺が競り勝つ」
今度は前に弾丸のように飛び出す、スライムの伸縮性と龍のパワー。合わせりゃ爆発力は誰にも負けない。
「最高だ!!ミラはこれを求めていた!!」
奴が望むのは常に小細工なしの正面衝突、だが、近接ではこっちも負けられない。
放つのは煉獄による斬撃、棍棒を振らせない。
「いいね、ミラも煉液もやっと本番だ」
(速度もパワーも上がった、煉液の本質はスロースターター?)
ミラからは再び血煙が上がる。
「このまま細切れになれよ」
「この程度の傷なんて、可愛い娘とお風呂に入れば!!!」
俺の斬撃を無視して奴の鉄塊が振り上げられる。
隕石のような威力、だがな、もう見えてんだよ。
「もう食らうかよ」
「なら、当たるまでだなぁ!!」
空を切った棍棒がそのまま回り続ける。
ミラも飛び上がり、振りぬいた棍棒の勢いのまま横に一回転!
なんと、回転しながら棍棒が再び迫る、まさに予想外!
「ミラの力は無限大」
回転の威力も乗って棍棒はさらに加速。
相手の回避を逆手による一回転。
「吹き飛んどけ!!!」
「くそがよ!!」
強烈な圧力が腹部を盛大に貫く。威力がとんでもない。
事、近接戦闘に置いて魔人族の強さは人知を超えている。
「ごふぁ…」
際で刀を入れて自らで回転して威力を弱めたが…重症だ。
魔人族のミラ、通り名はそう、破壊の女神。
「今回もミラの攻撃、かなりいいのが入ったなぁ…元最強さん」
強い…生きるか死ぬかレベルは久々だぜ。
「さぁ、ミラは強い、それだけであとは女の子がいれば!!」
まさに砲弾のようにこちらに飛び出してくる、圧力が半端じゃない。
「何が女だこの野郎…俺も美女二人を守らなきゃいけないんだよ!」
俺が受けても止まらないほどの威力、その力は異質。
「煉液の覚悟ぐらいにペラペラにしてやる」
「俺に似たような攻撃が通じるかよ」
一発目は回避できる、だがここからの追撃が困難だ。
「煉液、さっきの斬撃の爆発力、ミラもマネできる」
次の瞬間!互いの武器が途轍もない手数で交錯する。
「おいおいそのパワーと手数は反則だろ!」
手数が俺に並びやがった、しかも威力はミラの方が上!
だが、言っただろ?もうわかったと。
暴風のような棍棒を掻い潜り、奴を逆袈裟に切り上げた。
「ここは煉液に分があるか!!」
「暴力レズ女、もう終わりだよ」
ここで俺は刀を翻す、燕返しだ。
煉獄を纏った斬撃が奴目掛けて振り下ろされる。
「マジで強いじゃん!!煉液!!」
愉悦に染まる顔、奴の目はしっかりと刀を捉えている。
「けど、ミラには通じないかな」
振り下ろされる刀を前に、ミラが伸ばしたのは…なんと左腕!
俺は奴を捉えた、そう確信していたが。
「なにしてんだ??」
避けるも棍棒で弾くでもない、片手を突き出している。
「捕まえた!!!」
なんと、俺の刃を片手一本で止めて見せたのだ。
一撃重視の攻撃、つまり、受けられれば隙ができてしまう。
「煉液、ミラの土俵に乗った時点で、負けていたんだよ」
もう眼前に迫るのは空気を爆ぜさせる棍棒!
その必殺の棍棒を…俺は避け切れなかったんだ。
「クソが!!!!」
全身を砕くほどの衝撃は凄まじく、火柱が上がり崩壊している金花探偵事務所の外壁に一直線に激突。
思い出が詰まる瓦礫の山の中で、俺は力なく倒れてしまう。
「今日は記念日、人間界の女の子を数人味見してみるか、ミラを待っているからね」
技術でも能力でもない、清々しいほど理不尽で圧倒的。純粋な力。
近距離戦闘の才、それが魔人族の特徴。
この戦闘で三度もまともに棍棒を食らっちまった…普通なら死ぬどころか骨すらないだろう。
「魔人ミラ、いいぜ、こうなったらとことん行くしかないな」
この数回吹き飛ばされた程度でな…金花探偵事務所の用心棒が寝るかよ。
その様子を見たミラの雰囲気が変わる。
(溢れる闘気が変わった…?あくまでも今までは用心棒ってことかな)
俺の中の煉獄龍が、俺の怒りを爆発させる。
「この瀬礼市と金花探偵事務所はよ…クソみたいな日々を変えてくれた…代えようない宝物だらけなんだよ…それを邪魔すんなら、例え神でも消し去るだけだ」
いつもなら封印を乗り越えて煉獄龍が思考を奪いに来るがな…もう俺は俺だ。
そしてこの戦いは決着に向かう…




