【魔法少女#1】普通という呪い
俺は普通の人生を送ってきた。
なにもない、そう、普通。
自分がこんなに卑下していることに、皆はきっと不思議に思っているだろう。
俺は毎日毎日、この呪いを恨みながら生活している。
この家から学校に向かう道中、その中でも多くの人が人生という物語を読み進めている。
この世界は、50年前、ファンタジーの世界に出てくる、異世界と繋がった。
東京の海に浮かぶその”ゲート”から、通称”異界人”との交流で世界は発展続けている。
街中には、エルフやスライムが溢れ、異世界の文化や職業、生物が多く人間世界と融合していった。
そう、この世界も”特殊”であり、”特別なのだ”。
人は皆、特別を持っている人が多い。
運が悪い人、運がいい人、勉強ができる人、勉強ができない人。
その上下の振れ幅によって、人々の人生は彩られていく。
けど、それが振れ幅の無い一定だったらどうだろうか?
常に変化の無い真っ白な画面を見ているのと同じで、退屈。
あーあ。なにか突然、特別な何かになるか、刺激溢れる日常が欲しい。
長ったらしく話したけど、つまりは俺の人生は常に彩の無い、真っ白な画面を見ている。
高校二年生の一学期も中盤、クラスの雰囲気は悪くはない、俺自身もクラスにそれなりに溶け込んでいる。
そう、特段悩んでいるわけでもないが、楽しめているわけでもないのだ。
「俺の人生、死ぬまでこうなのかな」
悲しくも、ある意味で甘えている呟きは、春の喧騒に飲まれていった。
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学校が終わり、特に何もない俺はすぐ帰路についていた。
部活動は中学の時にテニス部に入っていたが、特に情熱も才能もないので高校では入っていない。
徒歩通学の俺にとって、春という季節はとても見晴らしがよく、同時に人生のライフステージが変わる時期。
俺以外の人間が何かに向かって努力していたり、失敗していたりすると思うと胸が重くなる。
そして、いつも通りの道を歩いていた時だった。
「なんだ…この裏路地」
家の近くの住宅街。その中で普段は目に入ることは無かった裏道を見つけた。
興味本位が勝ったのか、変化を求めたのかは分からないが、気づけば俺はその道に足を進めていた。
薄暗く、春の夕焼けすらも遮る闇の中。
歩いてみたは良いものの、その道は何もない、ゴミや古びた粗大ごみが放置されているだけ。
こんな裏路地があったとは、この一年では見つけることができなかった。
「なんにもないか…」
当然、俺は何を考えていたのやら…と思いながらも解いた道に戻ろうとした、その時。
「あんた、退屈そうだね」
「うわ!!」
気配も何もなく、振り返った瞬間に突如誰かが立っていた。
ボロボロのローブを羽織り、片方の手で杖を持っている。
声と背格好から…年配の女性か?
驚いてよろけている俺を置いて、その老婆は問いかける。
「あんた、退屈を吹き飛ばすことができるなら、特別になれるなら、なりたいかい?」
「特別…」
「普通じゃない、刺激溢れる特別さ」
老婆が渡してきたのは、数枚のメモ帳とペン。文具屋では見たこともない古そうな文具。
「願いを書くだけ…本当にそれだけだから」
「これ…なにに?」
手渡された道具から顔を上げると、薄暗い路地にはすでに自分しか立っていなかった。




