【魔法少女#17】金花探偵事務所を狙う影
私の名前は星都風香。
「練斗、遠慮はいらないわ、全員夢の世界に案内してあげて」
「てめぇら、もう終わりなんだよ」
瀬礼市の街はすれの倉庫、愚連隊のアジトに突入しにきた、金花探偵事務所の探偵。
私の横で燃えるような闘気を纏うのは、金花探偵事務所の用心棒、煉城練斗。
「強盗に窃盗、ましてや婦女暴行…瀬礼市で事件を起こした、壊滅しか未来はないのよ」
私の呟きが合図になったのか、練斗が取り出したのは一振りの刀。相棒の煉獄刀だ。
「楽しかったか?イキって街で悪さすんのは?」
用心棒が途轍もない踏み込みで飛び出した、衝撃で地面が爆ぜる。
「たった数人でなめてんのか??」
「やべぇあの煉城だよ、金花探偵の!!」
私達が乗り込んだことでアジトである倉庫は大パニックに陥っている。
この組織は異界系の愚連隊、鬼人族やゴブリン、もちろん人間も集まっている。
そして今日が集会日、どうやら推理通り全員集合のようだ。
「こっちは20人もいんだぞ!やっちまえ!」
ガタイのいいゴブリンが3名ほど前に出る。
「吹き飛んどけよ!!」
だけどそんなの、うちの用心棒からしてみれば0と一緒。
次の瞬間、赤に輝く刀が紅蓮の弧を描く。
「「ごべべええええ」」
峰打ち、命までは取らないが…爆発したかのような一閃はゴブリンだけでなく、その後ろの仲間達をも吹き飛ばす。
「やべぇえ!まじでやべよ!」
「にげろ!!はやく!」
その衝撃的な光景を見た奴らは、反対の出口を目掛けて一斉に走り出した。
だけど、その行動はもう読んでいる。
「なんなんだよあいつら!」
構成員の一人がドアノブに手をかけた、次の瞬間。
「全員確保!!!!」
元気な女の声が突如響いたと同時。
黄色い巨大な縄が、集まった構成員を一気に絡めとった。
「マジでなんなんだよこいつら!!」
「なんかこれ…ネバネバしてやがる!!」
私は構成員を全て無力化したことを確認し、とある少女に声をかける。
「メリー、お疲れ様」
「風香ちゃん!!!」
元気よく物陰から飛び出してきたのは、我ら探偵事務所の所長、金花メリーだ。
「もう、いつばれるか不安だったんだから!!」
「お疲れ、まぁ普段の依頼よりは活躍したんじゃない?」
「いつもしてるでしょうが!!」
不満をあらわにしながら、トレードマークの黄色いパーカーを勢いよく被ってしまった。
「もう、風香ちゃんなんて知らない!」
パーカーから覗く黄色髪のショートカット、黄色と黄色で目に悪い。
「風香、あんまり所長をいじめないでくれ、すねたらめんどいぜ」
両腕に完全に伸びているゴブリンを抱えながら、練斗がフォローを入れてきた。
「この組織もやっぱり使い捨ての駒、最初からやられる前提で瀬礼市に入れてきたんだろうな」
練斗が赤いジャケットについた汚れを手で軽くほろいながら、今回の”依頼”を振り返る。
「やっぱり、黒月のやつらの仕業と考えるのが妥当…」
どう思う…と二人に声をかけようとした時だった。
「所長!今年一の仕事だったのになにが不満なんですか~」
「もう二人とも嫌い!!」
私がスマホで異界警察に連絡しようとしてる間に、練斗が下に着ている白パーカーを被り、メリーを小ばかにしていた。
「二人ともふざけてないで、後始末するよ」
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その後の現れた警察に事の状況をいろいろ説明し、構成員を搬送してもらった。
「金花探偵事務所の皆さん!協力いただきありがとうございます」
「いえいえ、こっちが勝手にやってることですから」
「風香、そんなことより、倉庫の”あれ”どうする?」
現場の引継ぎを終えた私達は、その場に残された…掃除の面倒なスライムネットの掃除に取り掛かっていた。
「二人共!警察としゃべってないでいいから!落とすの手伝ってよ!!」
冒頭からメリーがいやいや扱っていたものの正体、それは…
「このスライムトラップの汚れ、全然落ちない!!」
どんな異界生物も捕獲する強力なスライムトラップ、威力が強すぎるあまり、そのネバネバは不滅とさえ言われている。
「メリー、多分警察が何とかしてくれるよ」
「最初に行ってよ!!」
今回私達が乗り込んだのは、瀬礼市で犯罪を繰り返す愚連隊。
構成員のほとんどは学生や学校に通っていない有職少年…
「風香、どうやら黒月は瀬礼市と俺達をあからさまに狙い始めてんな…」
警察との引継ぎを終えた練斗、熱くなってきたのか、額にある二本の赤い角からは炎が舞い始めた。
黒月、沙月市にある二つの不良高校の連合愚連隊、勢力は拡大し続けている。
「まぁ彼らの性格を考えれば、この街を手中に収めたいなんて読める話よね」
彼らが目指すのは関東制覇、となれば沙月市の真横に位置する瀬礼市はまず最初に攻略する土地なのだろう。
「まぁでも、たとえどんな悪だくみを考えようと、この私を出し抜くなんて不可能なのよ」
最近は大人しくなったと思っていたのに、どうやら彼らは瀬礼市を諦めていないようだ。
「風香ちゃん!とりあえず依頼は片付いたし!事務所に帰ろ!!」
私が頭を回しているのに、この所長ときたら…
「まぁそうね、とりあえず戻りましょう」
「所長のおごりでピザでもたのもうぜ」
「私が今日一番活躍したのに労う気持ちはないの!!」
この時の私達はまだ知らなかった、この黒月とのにらみ合いのなか、横っ面をたたくかのようにとんでもない事件が起きるなんて…
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どこか、闇に沈む部屋_________
「奴は我らを裏切った、ただでこの組織を抜けられると勘違いされては困る」
部屋の奥、椅子に座り握る闇の王の拳には怒りがにじみ出ている。
「はい、ミラもそう思います」
その前に現れた女、その格好は紫の帯が閃く魔人族特有の衣装、ドレスのような華やかさも持ち合わせている。
しかも、両手には腕を絡ませている異界の美女が二人、エルフと獣人族。目は完全に惚れている。
「わかったよ、今夜沢山愛してあげるから、まだ待って」
同時、暗闇が語りだす。
「ミラ、お前の任務は魔法少女の殺害、身勝手に裏切った代償は命、道理だ」
その言葉を待っていたかのように、女の顔が愉悦に染まる。
「はい、ミラは可愛い女と寝ていちゃつくのと同じくらい、芯がある女を殺すことが趣味なんで」
「それと、奴が現在いるのは日本の東京、冥王市の隣にある瀬礼市の探偵を警戒しろ、そこにはかつて最強と言われた煉液が所属してる」
「へー、あの高名な煉液が探偵、ミラが女の子に振られるくらい信じられないですね」
「お前はいつもふられているだろ」
冗談を言いながらも、ミラという女の空気は完全に変わっていた。
「了解です、裏切り者の魔法少女も、探偵もこのミラがぶち殺してきます」
この女がのちの東京を狂気に染める…




