【魔法少女#16】ノクスレイン一族
俺の名前は柊透。
「鬼島さん…無事でいて…」
白く清潔な手術室の前で仲間の無事を祈る、便利屋全助のメンバー。
「兄貴なら…大丈夫です」
同じ横椅子の隣で祈っているのは、鬼島の舎弟。同じ高校の後輩だとか。
「二人とも!とりま全員運んどいた!」
変身を解いた彼女はパンツスタイルの動きやすい恰好、ミリアが現れた。
あの薄暗い路地、一瞬にして全員をこの病院に移動させた。
彼女の魔法は移動魔法、戦闘にも依頼にも役立つまさに人助けの魔法。
「ミリアの姉貴!皆を救っていただいて感謝です!!」
ショウが土下座する勢いで頭を下げた。けれどそれを見るミリアは苦しそうだ。
「いや、今回は宗次郎のお陰、さらに言えば私の過去のせい」
悪魔少女ウルはやはりかつての仲間であり、組織を裏切ったミリアを狙っている。
そして、もう一人の影が後ろから慌てて飛び出してきた。
「みんな!無事が!」
「おじさん!遅いよ!!」
玄さんは買い出しで事務所を離れていた、汗が浮かぶ、かなり全力で走ってきたのだろう。
「あの集落の皆は無事か?宗次郎も」
「はい、全員命にはかかわらず、意図的に加減されてました」
それを聞いた途端、おじさんの顔が緩む。
「よかった…じゃねーな、よくもやってくれたな」
「おじさん、ごめん、私のせい」
「いや違う、それだけは違う」
おじさんはミリアの頭にポンと手を置く、それはまるで幼き子供を安心させる絶対的な父性。
「セクハラ…とは言わないでおく」
「つか、やっぱ”ノクスレイン”のやつらは諦めてなかったか」
ノクスレイン、初めて聞く単語。
「ノクスレインって?」
俺はそのまま復唱していた。
「あん、お前にいってなかったか?ミリアの一族の名、ノクスレイン一族。魔女だ」
その名が出たとたん、ミリアの顔に影が映る、それがミリアの過去。
「つまり、奴さんたちは本気ってことか、だが__」
おじさんの背中がでかくなったような、そんな錯覚。
「俺の大切な従業員に手ぇ出した、それに冥王市のみんなもよ…」
そして、手術室のランプが消え、扉が開く。
出てきたのは数名の医者。
「玄さん、命には別状はないです、しばらく安静ですが…さすがは鬼人族、すさまじい生命力でした」
「よかった…流石は晋太、信じてたぜ」
おじさんの古い知り合いの医師、この冥王東病院のトップ外科医だという。
「とりあえず、全員助けれてよかった」
「ミリア…」
だが、珍しくミリアの元気がない、やはり今回は自分の過去の罪…その意識が強いのか。
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この東京、冥王市の雑居ビル______
「ミリアのお仲間の鬼人族を潰しましたよ、女王」
「よくやった、が、なんだその恰好は」
魔道具の通信具の先の我らの大将の機嫌は悪そう、いつもこうなんだよ。
「日本の学生が必ず来ている正装、制服ですよ、かわいいですよね」
「任務を遂行するのなら、別に好きにすればいい」
うちらの魔女の長の目的は、ミリア・ノクスレインの殺害。
「そしらの厄介になりそうな組織を諜報部隊に調査させた、資料も送付しよう」
「厄介な組織??」
突如として目の前に炎と共に数枚の紙が落下する。
「まず異界と人間界を繋ぐゲート、それがある街が瀬礼市、その両隣が冥王市と沙月市。この三つの街は異界の影響を色濃く受けている町だ」
長は続けて話す、黒い靄が何が何だかわからないが、聞いている雰囲気でいないとね。
「冥王市には、便利屋の全助が治安を維持している、同じく瀬礼市にも、金花探偵事務所と呼ばれる探偵組織が存在している」
金花探偵事務所…もちろんこの世界に生きるなら、名前は聞いたことがある。
「知っていますよ、メンバーが皆超個性的な高校生、異界案件もよく取り扱う組織だと」
ボスは諜報部隊の情報を共有し始める。
「探偵の星都風香、人間世界では天才的な頭脳をもつ、瀬礼市の未解決事件、それは彼女がほとんど解決した」
「最後に…用心棒の煉城練斗、彼はかつて対異界組織のエース、ドラゴンとスライムの能力をもつ生物兵器、彼が壊滅させた異界の組織が数えきれない」
人間世界…退屈しなさそうな相手しかいないじゃん…これは手ごわそうだ。
「彼らも我々の動きを掴み、邪魔をする可能性がある、注意しろ」
「承知しましたよ、女王」
「あとは、ミラをそちらに送る、裏切り者は必ず始末せよ」
これは…ミリアちゃん、大ピンチだね。




