【魔法少女#13】鬼の喧嘩屋VS悪魔の殺戮者
日の光の通らない薄暗い路地。
強さが未知数な謎の少女と鬼島が相対する。
「喧嘩自慢の鬼さん、それじゃ私には勝てないよ」
「知るかよ、よくも皆をやってくれたな」
殺意と覇気に満ちあふれた猛者同士の戦闘が始まる。
「さっき、ミリアがどうこう言ってたな、ここを襲ったのも俺らを呼ぶためか」
詳しくは分らないが、きっと鬼島にとってこの場所は大切な場所なのか。
「あー、まぁそうだね、同郷の幼馴染、まぁ今は殺さなきゃだけど」
謎の少女は相変わらず言葉が軽く、目が笑っていない。
「私の名前はウル、悪魔だよ、覚えてね」
笑顔なのに、ぞっとする寒気、こいつはヤバい。
「俺の仲間をやったやつと話す気なんざねーよ」
もう鬼島は金属バットを構えている。迫力がとんでもない。
「やっと骨のある奴がきたのね」
(筋肉が分厚い、ほかの鬼人族とは違うわけね)
次の刹那、鬼島が地面を砕くほどの踏み込みで飛び出す。
「もう、お前と話すことは無い」
「筋肉族、頭も筋肉なのかい?」
悪魔ウルはすでに拳銃から凶弾を放っている。
その速射は次元が違う、鬼島の肩を抉る。
「こんなもん、意味ないな」
「どれだけ突進してきても殺せるよ」
「知るか、お前を潰すだけだよ」
さらなる銃弾をかわし、ウルを射程に捉えた。
「ぶっ潰れとけ」
振りかぶるのは相棒のバット、威圧感が半端じゃない。
「おっと、これは悲しいくらいの全力だ」
その威力は空気は爆ぜさせるほどのスイング。
「オラァ!!」
「やんじゃん、なかなかだ」
だがその一撃を紙一重で回避、その威圧さえもろともしてない。
「その威力、とても悪魔的だぁ」
「避けんなよ、悪魔野郎が」
鬼島がさらに踏み込み振りかぶる、その動きは洗礼されている。
その時、ウルの雰囲気が変わる、薄笑いすら消えた無表情。
「まぁ、力自慢なんて意味ないけど」
「そうかい、吹き飛んでくれ」
その途轍もない、連続スイングをさらにウルは掻い潜る。
「力自慢は振り終わりがきついよね」
すでにウルの手から鉄火が散っている。
その速射は速いとかそんな次元ではなかった。
「今どきは銃で撃たれた方がいいらしいよ」
「クソがよ」
今度は鬼島も際で体を捻る、しかしかすった部位からは血が噴き出る。
「じゃ、私も斬り合ってみようかな」
「こいよ、クソ悪魔」
回避の一瞬の隙、その間にウルは眼前に迫っていた、こいつ…速い。
「十分な気合とパワーだけど、結局は喧嘩自慢ね」
ウルの紫の刃ががっつりと鬼島の胸を斬る、これはやられた。
「この程度で俺を捉えたつもりか?怪我ですらねーな」
鬼島のジャケットは正面から裂けている、シャツからも血が垂れている。
「なるほど、悲しいくらいの精神力があるタイプね」
ウルの目はもはや凍っている、それは相手を餌と認識している捕食者の目。
「ここで一つ、そこの男の子と鬼人族に良いお知らせ」
目は凍ったまま、軽い言葉で何かを言い始めた。
「実はね、さっき痛めつけた異界人は殺してません、みんな半殺しです~」
「なんだとこの野郎」
半殺し…簡単に言うが、ここにいる異界人もまた戦闘力が無いわけじゃない、こんなJKで…?
さらにウルはさらりと話しかけてくる。
「みんな殺しちゃったら、ミリアちゃん怒って私じゃ殺せなくなっちゃうからさ、あとギリで生きてたら救助で人でも取られちゃうもんね」
文字通り、悪魔のような所業、このかわいらしいJKがやったとは思えない。
「それに…ミリアちゃんも強いけど、私もミリアちゃんぐらい強いから…あんたぐらいの相手だと、ただの残虐ショーと変わらないね」
「お前がどうしようが関係ない、仲間に手出した、だから潰す」
鬼島の覇気も増していくばかり、この鬼島もとんでもない戦闘者。
「まぁどれだけ力が強くても無意味かを教えてあげるよ」
ウルによる再びの速射、行動に境目がないほど。
「どうだかな」
鬼島はバットを前に突撃、急所狙いの数発はバットで弾く。
血煙を上げながらもバットを振り上げる。
「近距離なら、俺だよ」
どれだけ削られても鬼島の迫力は一切衰えない。
「なら正面から戦ってみるかな」
そこからはまさに暴風のような近距離のぶつかり合い。
両者の武器が火花を闇の路地で散らし合う。
「ヤバいねこの迫力!!かわいらしい腕が折れそう」
「なめんなよこの野郎」
ウルは紫の歪なナイフで鬼島のバットを受けて止めている、一体どこにそんな力があるんだ!?
「あら?接近すれば私に勝てる…そんなこと考えちゃった?」
「ぶっ潰すだけだよ」
(ナイフもクソ速いのかよ)
一方的に切り裂かれているのは鬼島、全身が赤く染まっていく…
「もう、おしまいにしよ、飽きちゃった」
ウルは流れるようにナイフを腹に突き立てる。それはまさに閃光のよう。
「悲しいね、私と戦わなければよかっただけなのに」
必殺の凶刃が迫る中、鬼島が叫ぶ、それは気合を入れる声量。
「待ってたぜ!!!それを!!」
次の瞬間!ウルのナイフが深くまで刺さらず止まる。
「腹筋が分厚いとかの次元じゃない、悪魔的だ」
そう、なんと鬼島は純粋な腹筋で刃を止めたのだ。
「やっと捉えたぜ」
天から落ちるのは、気合の入った最大のスイング。
「吹き飛べ、この悪魔!」
「おっと!!」
バットは完全にウルの頭を撃ち抜いた、この戦闘で初のヒット。
「あぁぁ」
頭から出血、ウルの体が膝をつく。
「お前は一族を見下した、だからだよ」
が、ダメージは鬼島の方が甚大、どれほど斬られたかわかんないほど。
その時、膝をつくウルの空気が、完全に変わった。
まるであたり一帯の気温が下がったと錯覚するほど。
「やんじゃん、ひさびさにもらったよ、ミリアちゃんの仲間は一味違う」
「おい、今降参すんならただ縛って警察だが、どうする」
ウルの周囲から、闇のオーラが噴き出す。
「もいいや、悲しいぐらいに殺してミリアちゃんも殺そ」
見つめられてしまうと動けない、それぐらいの恐怖を感じるほど。




