【魔法少女#11】便利屋 全助
俺の名前は柊透。
冥王市の高校に通う高校二年生。
「いいか、全助は甘くはないぞ」
「は、はい、頑張ります」
冥王市で活動する便利屋 全助で気合を入れてもらっている。
目の前のソファーでたばこを吹かすのが、ここのオーナー、龍門 玄。
柄シャツにサングラスと威圧感のある恰好、カタギであるか怪しい感じだ。
「いいか、まずこの事務所は、ただの便利屋じゃない、依頼人も加害者も全部助ける
、例え相手が異界一のモンスターであってもだ」
「異界人とのかかわりはあまりないですが、が、がんばります」
この世界は50年前、突如世界の数か所に現れた異界への扉、”ゲート”によって人間世界と異界が繋がった。
それによりかつて科学が発展する前、人間と共存していた空想生物が多く現代に溶け込んでいる。
世界に7か所、そのうちの一つがこの東京にある。
冥王市の横、瀬礼市と呼ばれる港町、世界と世界を繋ぐ街。その街の影響でここら一体は異界の影響を多く受けている。
街を歩けば野良のスライム、亜人族や鬼人族が人間と共に生活している。
「んじゃまぁ、よろしく頼むぞ、この間の依頼分まず働いてもらう」
「よろしくお願いします」
いままでは普通の高校生だった俺が、いきなり便利屋?冷静に考えて大丈夫か?
特技とかもないし、頭もいいわけじゃない、運動神経も悪め…
うん、俺、書類整理とか掃除とかでもいいかも…
俺とおじさんが話し終わるとともに、事務所のドアの音が響く。
「おじさんただいま!!」
金髪を靡かせる、異界の美女、ミリア。
「玄さん、俺も戻りました」
ミリアの後ろから、聞いたことのない男の声がする。
「おー宗次郎、戻ったか」
「うす」
現れたのはやたら体格のいい無骨な男。
羽織るジャケットがまだにヤンキーのような見た目、さらに額には特徴的な二本の角。
「そうだった、柊にも紹介しとくね、こいつは鬼島宗次郎、全助のメンバーでめっちゃ喧嘩強い」
ミリアが大男をぐいぐい押してくる。
「ど、どうも、柊透です、よろしく」
「よろしく」
まさに無骨、だが、放つオーラは正に漢という感じだ。
「宗次郎は鬼人族、だからこの事務所では人間なのは俺とお前だけだぜ」
おじさんがたばこを吹かしながら俺の肩に手を置く。
「まあぁ、喧嘩ならミリアの方がつえーけどな」
「ケンカ?二人は喧嘩したんですか?」
俺の純粋な疑問に鬼島は堪える。
「まぁ、結局は決着つかずだがな」
「いやいや、私に盛大にボコられてこの事務所まで来たよね?」
ミリアは笑いながら面と向かって言い返す、相変わらず怖いもの知らずだ。
そのとき、おじさんがパンと手を叩く。
「まぁとにかく、これで全員集合なわけだ、ちな宗次郎はお前さんの一つ上、高校は沙月市のほうのやつに通ってる」
沙月市、冥王市の横、瀬礼市のさらに横にある町、治安はこの二つより悪いことで有名だ。
「んじゃま!これから全員で悩む人、異界関係の面倒事!ガンガン首突っ込んで全員救っていくよ!!」
ミリアの掲げる信念、俺は今それを再確認できた。
「なんか、いいなぁ」
俺の呟きが届いたのか、ミリアがグイっと寄ってくる。
「今日からもう、普通はおしまい!さぁ私の最強魔法少女伝説を特等席で見れるよ!!」
「あぁ、ありがと」
なんだろう、いまなら何でもできる気がする、人生で一度も感じで来なかった感覚。
そうか、これが”特別”なのか。
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それは、どこか闇に沈む世界。
「がぁあああああ」
ボロボロのローブを纏う老婆が、王座の下で闇の刃で切り裂かれていた。
「潜入調査の任務も果たせず、偶然とはいえ裏切り者すら始末できない、お前は不要だ」
「お、お許し…がぁ」
跡形もない、それは闇の王座に座る何かの怒りが乗り移ったかのよう。
「ウル…こい」
「お呼びですか?女王様」
呼び出されたのは、二本の小さな青い角を生やす、少女。
「そこの婆からの情報、ミリア…一族の裏切り者は地球の東京にいると」
その高さはどこまで続くのか、見上げてもみ切れないほどの巨大な闇の何かが蠢いている。
「ミリアが…それは悲しいですね」
「今までは目撃情報も少なく、活発では無かった、だが…われわれ魔女とぶつかり、邪魔をするのであれば、本格的に殺すしかない」
そう、この闇こそ、魔女組織の長、通称”女王様”。
「それはさらに悲しいですね、昔からおかしな人でしたが…それはダメですね」
「奴を育て、魔法の技術と知識を授けたのは大義ある目的の為、魔法を我々が取り戻すその大義を果たさないのなら、奴には死んでもらう」
蠢く闇が、まるで荒れた海のように乱れる。その迫力は何にも例えることができない。
「ウル、ミリアを殺せ、奴の仲間も全て地獄に送れ、徹底的にな」
「了解です、悪魔的にぐちゃぐちゃにしてきます」
この悪魔ウルの登場によって、ここから東京が闇に沈むなんて、まだ誰も知らなかった。




