ヒルダの道具と村人達の喧嘩
村人達の中の何人かがヒルダに持ってきた道具を手渡してくる。
そうして村人達はヒルダに、作業を始めていこう、と声を掛けてくる。
「これで、全員が戻ってこられましたかね?」
「……そうですね、これで全員ですね」
「そういうわけですから……はい、ヒルダ様! これで作業を始めていってくださいね!」
「……へ?」
「あっ、ずるいぞ! 僕が渡そうと思っていたのに!」
「馬鹿、俺だー!」
「……え? え? え?」
「ははは、ヒルダ様、我々の中の何人かはヒルダ様に使っていただこうと思って、予備の道具を持ってきた者がいるのですよ」
「……ああ、そういう事だったのですか……突然皆さんが私に道具を差し出してきてくれるものですから、何事かと思いましたよ……」
「ははは……申し訳ありませんでした、ヒルダ様……あそこで揉めている奴らの分まで、我々一同が謝っておきます」
村人達の説明を聞いて、ようやく事態を把握したヒルダに、説明してきた村人を中心にした何人かが丁寧に深く頭を下げて謝罪をしてくる。
そんな村人達の謝罪を受けたヒルダは、喧嘩を続けている村人達をなんともいえない表情で眺めていく。
そうしてヒルダは自分に説明をしてくれた村人に喧嘩をしている村人達の仲裁を頼んだ後、他の村人達に農作業を始めていこうと声を掛けていった。
「……そうですか……」
「はい」
「……わかりました。その謝罪を受け入れます」
「おお、そうですか、ヒルダ様!」
「はい。そこでと言いますか、そのかわりと言いますか、あそこで喧嘩している方達の仲裁をしてはもらえないでしょうか……?」
「……そうですな……」
「……わかりました。我々としましても、むやみに怪我人を出したくありませんからな。お引き受けいたします」
「よろしくお願いします。それではそれ以外の皆さんは、私と一緒に農作業を始めていきましょう……これで良いのですよね?」
「ええ、それでよろしいです。それではヒルダ様、行きましょう」
「はい、お願いします」
「はい。それからあなた達は、喧嘩の仲裁、頼みましたよ?」
「おう、任せておけい」
「ええ、任せました。じゃあ、また後で」
「おう」
「それじゃあ他の皆は作業を始めていこう」
「おおー!」
リーダー格の発言に元気良く応じていった村人達が、それぞれの持ち場に移動し始める。
その様子を見ていたヒルダが、自分はどうしようか? と考え始めたところに、リーダー格の村人が声を掛けていく。
「……私は……どう……」
「ヒルダ様」
「あっ? は、はい、なんでしょうか?」
「ヒルダ様はこちらへ。我々と一緒に農作業をしていきましょう」
「あ、わかりました」
リーダー格の男の言葉に従い、ヒルダは移動を始めていった。
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