道具を取りに帰る村人達
ヒルダに見送られながら道具を取りに戻っていった村人達は、約十分が経過したところで最初の村人が帰ってくる。
その後は順番に一人だったり二、三人だったりで戻ってきて、約二十分後には道具を取りに戻った村人達が全員ヒルダの元に帰ってきた。
「……あ、一人目の方が戻ってきましたね」
「いや、お待たせしました、ヒルダ様。これでも急いで帰ってきたのですが……」
「あはは、そんなに恐縮されなくても、物凄く早く帰ってきてくださったと思っていますよ?」
「……そうですか……そう言っていただけると……」
「……あっ、また戻ってこられましたね」
「え? あっ、本当だ」
「……おっ、もう帰ってきてたのか」
「ああ、いつまでもヒルダ様を一人ぼっちにしておく事は出来ないと思ってな」
「ははっ、考える事は一緒か。俺もヒルダ様を一人ぼっちにしておく事は出来ないと思って急いで帰ってきたんだからな」
「そうだったのですか……それはどうも、ありがとうございます」
「はは、いやいや。ヒルダ様が感謝をされる事ではありませんよ」
「その通りです……お、また戻ってきたな」
「おお、今度は二人か」
「……うん? お前達、もう帰ってきてたのか? ずいぶん早いじゃないか?」
「そりゃそうだろ? いつまでもヒルダ様を一人ぼっちにするわけにはいかないからな」
「……む、そうだった……その考えがすっかり頭から抜けていたよ……」
「なんでだよ!? ヒルダ様は村の恩人なのに、どうして頭から抜け落ちるなんて事が……」
「……道具を取りに家に帰ったら、家族が全員俺の帰りを待っていてな、道具を持って帰るってなった時にまたすぐに行くのか、って言われて引き留められてしまってな……」
「ああ……そういう事だったか……」
「ああ……そういうわけだったのです、ヒルダ様。どうかお許しくださいますよう……」
「あははは、許すも許さないも無いですよ。元々私は怒っていないのですからね!」
「ヒ、ヒルダ様……」
「逆に皆さんがしつこく謝ったりしてきた時の方が、しつこい! と言ったりして怒るかもしれません」
「……う……」
「き、気を付けます……」
「そうしてください……とかやっていたらもう結構な人数が戻ってきていますね」
「えっ? ……ああ、確かに、そう言われれば……」
帰ってきた村人達と話し込んでいたヒルダがふと気付いた時には、もうかなりの数の村人達が農作業用の道具を手にして戻ってきていた光景が目に入る。
その事実をヒルダが口にしている間にも村人達は続々と帰ってきて、遂にはすべての村人達がそれぞれの道具を手に帰ってきた。
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