第43話
体の主導権を奪われた私は頭の奥深くで沈んでいた。
”何をすればいい?私の体を今までの私から取り返すなら
今、私の体を使って戦っている人格を奥深くに連れてくればいい。脳の指示が相手に取られているなら取り返せばいい!”
突然ユーリの体の動き方が変わった。
自分の頭を攻撃するように手を振り回し、頭を掻き始めた。
「いやだ。はなして。まだあそぶの!」
人格封印
突然頭に浮かんだそれは学園の授業で先生が一番難しいとしていた魔法。
目の前で人格が変わったかのように幼い仕草をするユーリ。
飛んでいったプリントが元の場所に戻ってくる。
「契約により世界を正した精霊たちよ、」
ユーリを名乗る人格は今もユーリの体を攻撃している。
「我の願いに答え、乖離を起こし封印せよ。」
さようなら、幼いユーリ。別れの言葉は驚くほど自然に飛びだしてきた。
「エターナル・シールド」
貴方が、ユーリ!けれどこの体は私のもの!
「いやだ。はなして。まだあそぶの!」
貴方が遊ぶべきフェルミナちゃんは別の次元にいるのよ。
”ごめんね”
「はなして!」
私達は概念の中でつかみ合い投げ飛ばす。
”フェルミナ様!人格封印!”
「いやだ!」
お生憎様、私結構強いのよ?繰り返した分だけ貴方よりも強いの。
”さようなら、私。私が終わらせられなくてごめんなさい”
「エターナル・シールド」
凛としたフェルミナ様の声とともに彼女は消えていった。
「ユーリ?起きてるんでしょう?目を覚まして。」
「あら、バレバレでした?」
「バレバレでした。」
私が戦ったせいで私の体はボロボロ。魔力も殆ど残っていない状況。
それでも、フェルミナ様を見つけてまたこうやって話すことができてとても嬉しい。
「ユーリが隠してたこといっぱいあると思うの。だけど今日は言わなくていいよ。」
「ありがとう。フェルミナ様。」
泥だらけのドレスと髪をたなびかせて走り回ったあの頃を思い出す。
「帰ったらお風呂はいらなくちゃ。」
「制服も洗わなくちゃね。」
背中合わせに座ってつきが登り始めた空を見上げて、
今までの分を取り返すように私たちはルースト様がやって来るまで話した。




