第41話:彼女の集合体
後ろから何かが来ている、そう気づいたのはかなり早い段階だった。
「あれは、ユーリ?」
私が知っている中のユーリは飛行魔法は使えなかったはずなのに。
魔力を直接ぶつけて戦うなんてことはしなかったはずなのに。
「嬢ちゃん、逃げろ!何かが飛んできてるんだ!馬車から離れろ!」
一緒に乗っていたおじさんに引っ張られ私が離れた瞬間そこに魔力の塊が落下した。
「ヒュッ」
そこには大きなクレーターができてもともとあったものは残っていない。
ここは国境の近くでここまで来るのに2日もかかったのに。
気づくのが早すぎる。今のユーリから逃げることは不可能に近い。
「ふぇるみなちゃんだ。ほんとだ。こうげきしちゃだめだね。
おうじさまはどこにいったんだろう。としょかんにいるのかもよ。そうだね。」
やけに幼い声で話していたユーリはもう一度浮き上がり移動しようとした。
その時私はユーリに違和感を覚えた。
ユーリが魔力を抑えていない。魔力が明らかに大きく膨れ上がっている。
「ユーリどこにいくの?」
”どこにいくの?”は拘束魔法の短縮詠唱、ユーリ足は私の魔法に絡め取られた。
「ふぇるみなちゃんがこうげきしてきたらたたかっていいの?わかんない。いいんじゃない?でもおうじさまつかまえにいかないと。またくりかえされちゃうのやー。」
「ユーリ?あなた一人じゃないの?」
手を顎に置いてユーリがきょとんとする。その仕草はまるで子供の頃のようだった。
「みぃんなゆーりだよ。わたしゆーりだから。」
ゾッとした。彼女の体の中にはたくさんのユーリが入っているという。
でも傷つけてはいけない。だってこれは私の知ってるユーリの体だから。
「スノー・ジェルサード」
「ふぇるみなちゃん縺、縺九∪縺√∴縺溘=」
なんていったのかもわからない、理解できない言語で呪文を唱えていた。
「fふぇフ縺オ縺�k縺ソ縺ェ縺。繧�=繧�縺、縺九∪縺√∴縺溘=」
”つかまえた”だ!ユーリを名乗る人格はずっと捕まえたと言っている。
「私は捕まらないよ!エターナル・シールド」
封印できないかもしれないと思った。それでも時間を稼げることを願う。
白い光が集約してユーリの体を捕まえ、固定する。
彼女は光の中で身をよじり少し経ったあと諦めたように動かなくなった。
「貴方はほんとにユーリなの?私がしってるユーリではないの。」
封印されたユーリの口は動くことはない。
静かに開かれた虚空を見つめる瞳を見つめることしか、私にはできないのだ。




