第39話:涙
「お前もわかるんだろう。大切な人がいなくなる辛さが。
だからどんな周回があってもお前だけは変わらず戦い続けた。」
紙に書いている表をなぞりながら論文をよむ。
なんでこんなことを調べているのかしら。ずっと、繰り返すたびにやっているのね。
「俺は、ローズマリーが好きだ。だから繰り返した。」
腰に治癒魔法を掛けやっと立ち上がったルースト様はそれこそ今まで見たことのない鋭い眼差しだった。さっきのがまだ軽く思えるほどに。
「お前にとってフェルミナとは何だ。」
「ルースト様、貴方はパーティーに出たことが一度もないのですか?」
そこに言葉を続けようとしたルースト様の口が止まる。
「小さい子供の、世間知らずだからの悪意を、知らないのですか?」
ルースト様はまるで何を言っているのかわからないかのようだ。
最初は赤色の髪の毛だった。その次は緑色の瞳。
嫌がらせは多かった。なのにお父様は取り合ってもくれなかった。
右大臣の娘なんてのもお飾りなんだと思った。
「私にとってはきれいな赤色のかみのけだったんです。
けれど他の子からして見たら。おかしな色だったんですよ。目もそうです。
私の母譲りの素敵な色です。
今では私にそんなことを言う人なんでいません。
立場をきちんと理解していますから。
でも、小さい頃の私からしたら、ねぇ、わかりますよね?」
ルースト様、貴方にとっての心の有所はローズマリー様だったのかもしれない。
それと同じなのだ。小さい私に取って唯一見方でいてくれて、
一緒に話してくれた、唯一の友だちであり大切な人であるのだ。
「小さな私にあなたが何回、周回しても寄り添ってくれたのがフェルミナ様です。
貴方が始めた最初の私が強く今の私の思考に影響してに影響しているんですよ。
今の私は一番最初の私の残滓が集まったいびつな存在です。」
目から温かい何かがこぼれていく。
顎を伝って制服に染み込んでいく涙が今だけは気にならない。
「こんな私でもフェルミナ様は好きでいてくれてると思っていました。
けど、違うのかもしれませんね。」
グイッと目元をこすって涙をなかったことにする。
きっと次の戦いが待っているはずだから。ついさっきに帰ってきているだけ。
口をキリッと結んでいつもの報告の時のような顔を作る。
「それで、私はどうすればいいのですか。」
私は弱い。無駄にしないと誓ったのにすぐまた潰してしまった。
それでも、覚悟を決めて前に進まなくては、ここに終わりはないのだから。




