第34話:新人よりも大切な人がいるでしょうが。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
なんでですの!フェルミナ様!
私なんか悪いことでもしましたか?
そんな、フェルミナ様が学校をやめるなんて私がなにかしたとしか考えられない!
いや、もしかしたらいじめられていたのかも!
そいつのことを滅多滅多のバッキバキにしてパンにすればきっと戻ってくるはず。
「おーおーやってんなァ。」
「うるさいですわ、カイ!貴方なにか情報を持っているんでしょうね!」
ふてぶてしく後ろから歩いてきた少年、カイをキッと睨みつける。
彼は私が個人的に育てているスパイ。
実力だけならきっと私よりも強いでしょう。
魔力も含めたトータルなら話は別ですけれど。
「お嬢が拾ってきた奴がさ、結構良かったから報告に来たんだけどな?
なんかこっち来たらすげーブチギレてんの。びびったわァ。」
ケラケラ笑いながら話す話題ではないでしょうに。
「私がいない間に何をしていたかと思えば新人教育?
面白いこと言うわね。私がここを離れる間は、
《《必ず》》フェルミナ様を見守れという命令を出していたはずよね?」
なにか会った時用の保険としてカイをここに置いていたのに。
「もー、お嬢こえーよ。死ぬ気で新人教育した俺を褒めてくれてもいいだぜ?」
「そう。あの子私に教えてもらえると思っていたのね。」
「お嬢も意地悪だよなァ。おう、喋ってたら思い出したわ。
フェルミナの嬢のことなんだが、お嬢に隠し事されてるのが辛いからだと思うぜ。
なんか自分が弱いことを暗に示されている気がして怖いんだと思う。」
そう、あのフェルミナ様が。
カイは嘘はつかないから本当なのだろうけど簡単には信じられないわ。
「ありがとう。礼を言うわ。」
「無表情のそれは感謝ではないと思う。」
うるさいわね。思考の邪魔よ。
「そーそ。ところでさァ、やっぱりあいつ魔法がうまくてな、お嬢の言う通り詠唱を短くするやつをさきに教えたんだよ。そしたらすぐに覚えちゃってさ。魔力属性も水と炎の2種類を持ってるんだ。お嬢みたいな人から見たら普通だろうけど俺等から見たら最強だぜ?暗殺術も最初から持ってる技術と組み合わせて放ってくるしもう強いんだよォ。それでな、それでな、・・・・・・・・・がすごくな・・・・・・・・」
そんなカイの言葉をBGMに私の思考は加速していく。
「あ、おばちゃん!何すんだよ!」
「女子寮に男入れたら減給されんだ!わかったらとっとと帰りな!」
「へいへい、わかったよ。お嬢、俺帰るから。バイバーイ。」
「わかりましたわ!カ、イ..?」
私が意識を取り戻した頃にはもう周りに誰もいなかった。




