第32話:帝国からの逃亡
なんやかんやありつつ、なんとか魔力を回復させて突撃の機会を伺っているところ。
「すまん。もうローズマリーが足りないんだ!」
ついにしびれを切らしたルースト様が壁を壊して斜め下の早に飛び込んでいった。
「ルースト様!」
いけない!追撃が来る!
『鳳仙花、包め!』
ダス!ダス!ダス!
補助魔法によって衝突が防がれた魔力弾が霧になって消えていく。
「おや、面白い来客ですね。」
まぁバレますよね。それはそうですわね。
「俺はとにかく早く帰りたいんだ!とっとと死ね!」
あれほど面と向かって戦うのはやめろといったのに!
『照らせ、光よ!向日葵!』
『絶えず燃えよ、ブローク』
私の補助魔法に合わせてルースト様が魔法を放っていく。
それでもやはり状況は好転しない。むしろ悪い方向へ進んでいく。
「ユーリですか。やはり抜け出していたんですね。ルエに任せるのではなかった。」
『緑』
だめだ、やはり魔法威力半減の結界が張られている。
詠唱しないとだめなやつね。だいたい理解はしたわ!
『結べ、薫れ、貝殻草!』
対象をシキロルに設定。弾かれる可能性はあれど少しの可能性にかけるわ!
傷を体内時計を進めることによって直す荒業。
多少でも擦り傷があればちょっとした痛みになるはず。
「ユーリ!花火を!」
指示が多い王子様ですわねぇっ!
「わかってますわよ!」
けれどここまでチクチクダメージを与えられたのはいいところなのでしょうけど。
『桜散り散り花吹雪、今宵の華は闇夜に咲く。』
『花びら花火、着火!』
追跡魔法靴下の裏にある。どうすれば逃げれるかって?
靴下を投げ捨てて帰ればいいのよ。
最初からそうすればよかったのだけれどルエさんのためにならないもの。
「帰りますわよ。」
移動魔法陣発動。
「なんか、あっさり帰れてしまったんだがそれでいいのか?」
「別にいいのではないでしょうか。
だってこれルエさんがすべて仕込んだのですから。
ルースト様は最初から騙されて滑稽でしたね。
ルエさんは自分の国の利益のためにしか動いていません。
私たちは見事に利用されたのですよ。」
私だって最初はそれなりに騙されはしましたけれど、ね。
多分シキロルが私たちの攻撃で弱っているところで、
軍隊をつかい捕まえようとでも思っているのでしょうね。
「今後一番の敵は帝国です。ルースト様も気をつけてくださいね?」
今回は利用されただけですんだけれど、
今後王国ごと攻めてくる可能性もありますから。
「今後気をつけるよ。」繰り返さないためにな。
去り際ぼそっと言ったルースト様の言葉に私は安堵した。




