第31話:話、聞いてました?
「おい、ユーリいるか。」
ついに来ましたわね、腹黒狸王子が。
「ここにいますわ。で、作戦はどうなっているのかしら。」
「勝手に捕まっておいて何を言っている。とりあえず今は帰国することが優先だ。」
おうおう。この状況を理解していながら不法入国に対する罰を恐れているわね。
とりあえずという言葉がそれを物語っていますわね。
「帰るためにはまず私に付けられてる追跡装置を外さなければいけませんわね。」
「そうかぁ。どうせ無理に破壊するとボスが出てくるんだろう。」
ようやく諦めまして?もうさっさと行きましょうよ。
「お前って本当にわかりやすいよな。」
「それほどではありませんわ。」
「褒めてないぞ。」
それぐらいわかりますわよ!
無言で追跡装置を探し始めるルースト様を横目にゆったりと魔力探知を広げる。
それこそ一斉拡大するとバレてしまいますし。
魔力探知によると魔力反応が多い部屋は私達が今いるところのすぐ近くですわね。
追跡装置を見つけることができないと悟ったルースト様が魔力探知を始めるまで
あと数分あたりというところでしょうかね。
私の予想は外れそれから30分ほど経った頃やっとルースト様が話し始めた。
一体どれだけ追跡装置が気になっていたのかしら。
ちなみに追跡装置は私の靴下の裏に魔法陣で付けられていますわ。
たぶん通常の人には気づくことができないレベルで。
「斜め上の部屋に特攻を仕掛ければすぐに帰れるんじゃないか。」
「そうですわ。けれど相手は歴戦の魔法使い。
簡単に勝つことはできません。
そこで戦闘時は私は戦闘補助に回るのでルースト様は攻撃を担当してください。」
私にはこの行動が心配で取っているのか、今までの繰り返しで身についてしまったのかわからない。
だからルースト様に死なれると困るという打算で動いているのかもしれませんが。
「そうだな。俺の補助魔法は脆いからな。」
そんな私の葛藤もつゆ知らず明後日の方向に向かって話を進めていく。
「魔法陣に魔力が吸われてしまっていますので多少魔力を回復させたいところですの。特攻をカマシに行くのは明日あたりでお願いしたいですわ。」
少し考えて腹黒狸王子は言った。
そう、自身の保守に走る王子はこう言ったのだ。
「長くても一時間で終わらせてくれよ。
明日になったら王子、令嬢失踪事件になる可能性があるからな。」
「あのルースト様?私の話、聞いてましたの?」
特攻をして負けたいという意思が強い王子様の下についてしまいましたわね。




