第29話:時渡りの預言者
ひま、ですわ。
かれこれ意識が戻ってから数時間は経過しているのよ?
魔法で暇つぶしができない以上暇としか言い表せないわ。
にしてもこんな暗い場所にいるとおばけが出てきそうで怖いわね。
「ユーリさん、起きてますよね?」
うわぁああああ!でた!おばけ出ましたわ!
ほんとに出ましたわ!ってルエさんだったのね。ふぅ、少し取り乱しすぎたわ。
「先程からずっと魔法使おうとしてますよね?
魔法式が揺れて維持できなくなるのでやめてください。」
だって暇なんですもの。なんか娯楽がほしいですわ。
「口の拘束器具は取ってあげます。なので魔法は使わないでほしいのですが。」
話した通り口についていたゴツい器具をルエさんは外してくれた。
「嫌ですわ!だって暇なんですもの!動物とか作らせてくださいまし!」
「そんなことしたら貴方逃げるじゃないですか。断固として拒否します。」
あらぁ。魔力を使うだけなら魔法じゃないしいいのかしら。
「あ、魔力で遊ぶのもなしです。それ要は衝撃波ですからね。」
「これを見てもそう言えるのかしら?」
魔力は構成次第でどんなものにでもなる超現象。それなら生物の模写体も作れる。
これを使えばフェルミナ様だって呼ぶことができるわ!
今私が作ったのはデフォルメされた犬型の魔力球。
自分で言うのもあれだけど結構かわいいのよ。
「...可愛いですね。これ一体のみの召喚なら許可します。」
いやいや。これで絆されてだめでしょう。
けれどもある程度の権力がルエさんに集まっていることはこれでわかりましたし、
少しの自由は確保できたので良しといたしましょう。
(ユーリさん、聞こえていますか?)
幻聴?ではないようね。多分テレパシーのようなものでしょう。
(聞こえていますわ。)
(シキロルとは接触しましたね。
あの人は自分の功績が皇族に取られたと思っていますが、真実は違います。
この魔法は実際に皇族が発見したものです。
魔法の安全が確認されるまで皇族は発表することができません。
なので実験結果を木簡に書いて保管していたものをシキロルが見つけたのです。
本人は掘り出し物だと思っているようですが、めちゃくちゃ現代のものです。)
なるほど。納得の勘違い野郎なのね。
(どうして木簡なんかで保存していたのかしら?
木簡を使っている国は今は片手で数えられるほどしかありませんわ。)
ルエさんはテレパシーを使っているのに私が出した犬を何食わぬ顔で撫でている。
(他国にバレないためです。普通他の国のスパイは書類から探します。
なのでバレるまでの時間稼ぎができます。)
なるほど。ありえなくはないわね。
(私も皇族です。時渡りの魔法が使えます。
その中で一番最善を尽くしてくれたユーリさんに最後の時渡りを捧げます。)
(それでは)
時渡り魔法、ね。




