第18話:日常へ
学寮に帰るのは簡単よね。だって、この敷地内にあるんだもの。
今回は別の家経由で帰らなくていいし、徒歩距離だし。
エリザさんは適当に巻いて到着っと。
私も人間だし疲れましたわ。
明日の学校は休んでしまいましょうかね、いや!
フェルミナ様に会うことが一番の休息!ここはなんとしてでも学園に行かなくては!
けれども国税調査部の皆様には申し訳ないですわ。
だってやっとやってきた待望の新人が翌日にいなかったことになっているなんて。
ただでさえ仕事量が多いのに、
引き継がせたはずの仕事をもう一度やらないといけないのだから。
こんな大変なところに配属した大臣も悪いけど、
一日で潜入を終わらせてしまった私も良くないでどね。
だけども一日でこんな大掛かりな潜入が終わるのは快感ですわぁ!
早く帰って寝ましょう!
あぁ、フェルミナ様に明日会えるのが楽しみで楽しみで仕方ないわ!
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
何なのよあいつ!
私これでもAランクの暗殺者なのよ。
確かに真正面から戦ったのが敗因なのはわかるけど、
あの暴力的な強さなに?
花形魔力魔法をあんなに連発してくるなんて聞いてないわよ!
花形魔力魔法は強いけど魔力の消費が激しいんだから数回で終わると思ってたのに!
『勝ったか?』
耳に飛んでくる電子音が耳障り。
でもこの仕事をすると決めたときからもう諦めている。
「負けました。転移魔法も完璧で追えません。」
『そうか、なら今回の契約は終了だ。こちらに帰れ。』
普段ならそうしていただろう。
でも今回は違う。あいつの強さを私のものにするために
”ねぇ、私と一緒に皇太子側につきません?”
耳にはまだあの声がこびりついている。私に寝返れとささやきかけるあの声が。
”私は待っているわよ。連絡してちょうだいね?”
待っている。その言葉をどれだけ待ち望んだことか。
自分を磨き上げる機会。絶対に逃すわけには行かない。
「私はその命令を破棄いたします。それでは。二度と会うことはないでしょう。」
耳の中に飛び組んでくる音がふえる。焦ってしまったようだ。
耳から魔石を外して破壊する。
私が不快感を感じていた音は完全に聞こえなくなった。
あいつの魔力は強大だから辿ろうと思えばすぐに辿れるだろう。
今から私は自由。
今まで私が稼いできたお金で遊ぶこともできる。
あの人ともう一度会うまでのしばらくは、
今までの埋め合わせを含めてたくさん遊ぼう。
だってもう私は自由なんだから。




