第13話:秘書さんを仲間に入れたい
私の前をスタスタと歩いていく秘書さんに頑張って追いついて話しかける。
なんか秘書さん歩くの早いな。
財務省の人とか官僚ならみんなそうなのか?
そういえばルースト様の屋敷行ったときもみんな足早かったな。
今度報告行ったときに
「秘書さん、私と大臣さんの会話の時なんであんなにドキドキしてたの?」
大臣さんに恋心があるとか?って続けようと思ったけど、
少し想像して気色悪くてやめた。
この美人秘書さんが、あの狸親父に恋心あったら吐く気がする。
これ結構マジの話だからね!本気で言ってるからね!
どんな事があって美人が狸に惚れるのか聞きたいわ。
理由言える?ジェンダーとかあるけど流石にこれは引く。
「これを、」秘書さんがすっと名刺を差し出してきた。
なぜ私がこの大量の思考をできるほど間を空けたのは謎だけども。
「ここに書いてあるところに今日の夜7:50に来てください。」
うわぁ、デートみたい。
でも私は一途だから。フェルミナ様以外好きにならないから。
だから私は恋愛感情秘書さんに感じてない。
そろそろタメ口はやめたほうがいいかな。
私のいったことを裏切ってはいけないと感じさせなきゃ。
「わかりました。私、貴方のこと気に入りましたよ。」
どっかの貴族のお嬢様風。実際貴族のお嬢様何だけど。
忘れ去られてるかもしれないけど私一応右大臣の娘よ?
今頃学園通ってるお嬢様よ?
ルースト様の計画に携わったりしているせいでスパイしてるけど、
ホントにただのお嬢様よ?
それに最初は学園内だけで、
ローズマリー様とフェルミナ様のフォローに回るって聞いてたのに。
これで断れないような雰囲気になったかな?
事前情報でここにいる人は基本的に平民出身が多い事は知ってるし、
秘書さんも平民出身なことを祈るしかない。
「ここが国税調査部ですね。ありがとうございます。エリザさん?」
っひ、と息を呑むような音がする。
それは美人秘書さん、いやエリザ・ローレンスさんの口からこぼれた悲鳴。
うー。名刺に書いてあったから名前で呼んだんだけどな。
やっぱり急に名前で呼ばれたら怖いか。
が、それもちょうどいい。
私が何かしらの権力を持っている人に見えたら、断れないだろうし。
エリザさんより前に移動して背中を向けた状態で話しかける。
「今日の夜また会いましょうね?」
くるっと振り返って目と目を合わせる。
「エリザさん」
この怯えた青い瞳も他の人から見ればまたきれいなのだろうと心の隅っこで思う。
私はやっぱりフェルミナ様が一番キレイだと思っているけど。
そのまま国税調査部の重くて大きな扉を開く。
やっぱり扉が重いのは無駄だな。不正の証拠掴んだらルースト様に訴えよ。




