52話 はっきり言おう
「今までに、二度も、その呪いを消す機会はあったのに、シューク様は最後までしなかった。私には、それが疑問でした」
「そ、それは……、俺にはあなたの純潔を散らす資格がなかったからだ」
「資格……?」
「そうだ。あなたはクリードを愛している。それなのに、俺があなたの純潔を奪うことはできない」
「あ、あの……、私がクリード様を愛している? どうしてそのような……?」
「あなたは救護室で、クリードが来るたびに嬉しそうな顔で、幸せそうな目をして見つめていた。それに、何かにつけてクリードのことを気にしていただろう?」
「い、いえ、そ、それは……」
確かに、私は初めの頃、クリード様が来るたびに嬉しくて見惚れていたわ。
でも、それは……
「それは、愛ではありません。ファンと言いますか……、例えるなら、若い娘がお芝居の俳優さんを好きになるみたいなものですわ」
「ち、違うのか? 俺はてっきり、あなたはクリードを愛しているのだと思っていた」
シューク様の表情が、陰から陽へと急激に変化した。
「あ、あの……、誤解させてしまったようですが、私はクリード様をそのような思いで見たことはありません」
「そうか、そうだったのか。それなら、俺にもチャンスはあるということだろうか?」
「あの……、それはどういう……?」
「では、この際だから、はっきり言おう。エクレーヌ、俺はあなたを愛している。ずっと前から、あなたのことを愛してやまないのだ。どうか俺の愛を受け入れて欲しい」
シューク様が、私のことを愛している?
クリード様じゃなくて……、私を?
シューク様の想いを知って、私は天にも昇る気持ちになった。
「シューク様、私が愛しているのは……、ガトーさん、つまりシューク様、あなたなのです。私もずっと前からお慕いしておりました」
「あなたは、俺がガトーだと知っていたのか?」
「はい。脇腹のほくろの位置が同じでしたから……」
「そうか……、エクレーヌ、俺たちはお互いに想い合っていたのだな」
「はい。そのようで……」
シューク様は私が言い終わる前に、ガバッと私を抱きしめた。
「ああ、こんなに嬉しいことはない。俺は諦めなければならないと思っていたのに……」
シューク様は抱きしめた腕を緩めて、私のピンクの瞳を真剣に見つめた。
「エクレーヌ、愛している」
シューク様の顔が近づいてきたので、私は目を閉じた。
今日、二回目のキス。
さっきは私からだったけれど、今回はシューク様の舌が私の口腔内に入り込み、まるで意思を持っているかのように蹂躙してくる。
でも、私は嬉しくて仕方がない。
このキスは愛の証だと思うと、さっきまでとは全然違う。
私も彼の舌の動きに合わせて絡め合う。
彼の中に入ったかと思えば、私の中に入って来る。
夢中になって、むさぼり合っていると、だんだん頭の中が白くなってくる……
シューク様は存分に私の口腔内を楽しんだ後、唇を離してまた私をじっと見つめた。
「エクレーヌ、今日、あなたのすべてを俺にくれるか?」
私は彼の、私を渇望する熱を帯びた目を見ていると、抗うことなんてできなかった。
「……はい。私はあなたに、私のすべてを差し上げます」
「ああ、ありがとう……」
シューク様は私のおでこにチュッとキスをした後、私のブラウスに手を掛けた……。




