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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第88話 仲間を集めよう!

(*´ω`*)ぴぎゃー

「女に現を抜かしてたら私のが先にDに成っちゃうよ」

「レナには負けねーよ」


 日頃丁寧口調で壁の有るクートだが、レナに対しては気安く、男友達の様に接する。


(へへっ、こう云うのも特別な関係って奴なんだよね?)


 其の事はレナの特別意識を擽って優越感を与えていた。


「ハーニャ」

「な、何?」


 クートに見詰められ動揺するハーニャ。


「二人を頼むよ。ハーニャだけが頼りなんだ」

「い、言われるまでも無いわよ」


 クートに頼りにされている事に喜んでしまうハーニャ。有耶無耶に成ったが一度は結婚話まで出たのだ。其の希望を胸に、昔小耳に挟んだ東方の格言を思い出す。


(年上の女房は金のブーツを履いてでも探せっ⋯て云うもんね。クートみたいに放っとけない奴には姉さん女房が良いよね。うん―――)


 とても良い格言で有る。クートとは十は離れている。クートが囲ったらしき貴族令嬢は未成年。ハーニャとは十五くらい離れているだろう。其の貴族令嬢がハーニャと同い年に成った頃、自分は四十路過ぎである。考えたくも無い話だ。だからとても良い格言だ。最終的に男は年上の女を選ぶ筈。ハーニャはそう信じる事にした。


「えへへ」

「ふふん」

「うふふ」

「?」

(?⋯なんで三人共変な笑い方してんだろう?)


 クートと関わりの有る女三人のパーティーは、三者三様其々にチョロかった。


「それじゃ」

「うん」

「またね」

「気を付けて」


 其処で三人と別れるクート。三人は此れからルカの為のクエストに出るらしい。ルカに能動的にモンスターを仕留めさせるそうだ。徐々にだが命を奪う事に慣らして行くのだろう。


(杞憂だったかな。ルカはルカのペースで成長すれば良いか)


 Eランク昇格の為にはEランククエストをFランク同士のパーティーでクリアする必要が有る。一時的にレナやハーニャ無しで戦う事に成る。其の為の修行だろう。


「俺もEランクかFランクの冒険者探さないとな」


 ソロでサクサクランクアップ出来ないのは非常に面倒である。しかし此れも仕方無い事だ。以前は個人の能力さえ有れば簡単に上に上がれた。其の結果、腕っ節は強いが協調性皆無の超個人主義冒険者が大量生産されたのだ。なので現在は、協調性やリーダーシップを持つ者を育てる方針に転換した。ソロでのランクアップは余程の例外でも無い限り認められないだろう。


「女は甘い物好きだよな」


 酒好きの女も居るが、酒場かカフェだと大体カフェへ行く。ルカ達もカフェに行ってしまったので、クートは酒場へ向かう。ルカ達は多分カフェでクエスト内容や作戦の確認をするのだろう。冒険者ギルドに酒場が有れば其処で済ませていた筈だ。


(あんまり来ないよね、此の店。酒にも酔わなくなって来たから足が更に遠退くな)


 冒険者御用達の酒場である。中に入れば此の町のベテラン冒険者パーティーや、クート達の同期の新人冒険者達も居る。クートは他人と余り関わりが無いが、新人っぽい連中に当たりを付けて話し掛ける事にする。あのレナですらまだEなのだ。EランクかFランクなのは間違い無いだろう。


(先ずは仲間集めだな)


 そしてクートは一人の女に目を付けた。


「ねぇ、俺と組まない」

「ぴえっ!?」


 名乗りもせずに突然話し掛けるクート。悪気は特に無い。大人しそうな女だった。弱そうである。クートと同い年か少し上に見える。もしかしたら同期でなく先輩かも知れない。オドオドする女冒険者にクートが詰め寄る。


「なぁ、俺と組んでDランククエストに挑まないか?なぁに、アンタは何もしなくて良い。俺が全部上手く殺るからさぁ」

「ぴえぇぇ〜!?」


 涙目で狼狽える女冒険者に顔を近付け、クートが囁く。そんな時だ。


「お、おいっ!止めろよっ!?」


 男の冒険者が現れ其の女冒険者を庇う。クートより年上に見える。女の同期とかかも知れない。


「誰君?」

「お、俺は⋯⋯俺はコイツの―――」


 大人しそうな女が目を輝かせる。しかし⋯


「パーティーメンバーだぞ?」


 男の其の発言を聞いて、女が落胆して舌打ちまでするのを、クートは見逃さなかった。


「じゃぁ君も一緒に組んでよ。Dランククエストだよ」


 此れで頭数は揃うので問題無い。クートにとっては。


「お前なぁ」


 クートのズレた発言に呆れて溜め息を吐き出し、男冒険者が話し出す。


「お前、クートだよな?俺等の一個下の有名人」

「有名なの?」


 やはり二人は先輩だった。其れより有名とはどう云う事だろう?ソロでモンスターを狩りまくってる事だろうか?戦闘職でもないのに強い奴が居るとか―――


「女っ誑しって事でな。後昨日の件」

「⋯ああ、そう云う」


 有名なのは違う理由だったのでガッカリするクート。


「お前が受けようとしてるDランクに上がる為のクエストはな。リーダーシップを測る為の物だ」

「うん」


 其れは知っている。


「だからつまり、長年パーティー組んで信頼関係築かないと無理なんだよ」

「成る程?」


 筋が通って無くも無い。しかし矛盾してる。長年と云うなら彼等も一年ぐらいしか組んでいない。


(いや、此の女の反応⋯。冒険者に成る前からの付き合いが有る⋯幼馴染とかか?)

「リーダー気質じゃない奴も、本来のリーダーのサポートを受けながらリーダーの仕事を学ぶんだ。結果的にリーダーに向かないと悟る奴も、本当はリーダーに向いてると自覚する奴も居る。パーティー内のポジションをシャッフルしてお互いの仕事への理解度を高める為のクエストなんだよ」

「ふーん?」


 言ってる事は解らなくも無いが、何だかピンと来ない。


(誰がリーダーでもモンスター殺せば終わりなんでしょ?)


 Dランククエストには確かにチームワークが必須な物も有る。だがクートは討伐クエストを狙う予定だ。頭数さえ揃えれば自分一人で何とかするつもりだった。其れにそう云う話ならプリメリアは当て嵌まらない。確かに彼女が本当に特別なのが解る。やはり少し妬ける。


「解った」


 クートはあっさり引き下がる。無駄な事はしない。此の二人を無理矢理仲間にしても、言う事を聞いてくれないならクエストが失敗する可能性が高いからだ。クートが身を引いた事で二人の先輩冒険者がホッとする。女癖の悪さも気には成るが、一番は其の冒険スタイルだ。


「ふぅ⋯ヤバい奴に目を付けられかけたぜ」

「意気地無し」

「な、何でだよ!?」


 冒険者全員が血に飢えた獣な訳ではない。護衛クエストならば依頼人が野盗やモンスターに襲われない様に段取りを立てる。ダンジョンに潜る時も撤退を第一に考えて行動する。失敗は恥ではない。生きて帰れば何度でもやり直せるのだから。


「単騎でモンスターを狩り続けてるなんて異常だよ。スキルは食材鑑定って話だけど⋯」

 

 酒場の隅の方へ向かうクートの背を見送りながら呟く。


「殺したモンスターでも食ってるんじゃないか?あの悪食フラッペの弟子らしいし」

「まさかぁ。モンスターの肉なんて食べたら死んじゃうよ」  


 二人は食事の続きをする。危ない奴には関わらない方が良いのだ。

(*´ω`*)『年上の女房は金のブーツを履いてでも探せ』を格言と表現したのは誤用じゃないですよぉ。

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