第87話 女三人パーティー
(*´ω`*)おぱようございみゃふ!
レナとルカは年頃の少女である。脳筋のレナですらお喋りは好きだ。二人はクートよりも冒険者ギルドに居る事が多い。女の冒険者達と雑談をしたりもする。近所の酒場には行かないがカフェには行く。女性冒険者のコミュニティみたいな物も活用してる。昨日の出来事もすでに耳に入っていると云うか、一部で噂に成っていた。
(クートに誘われて本当なら嬉しいのに―――)
(全っ然っ!嬉しくないっ!)
なので、超個人主義なクートがわざわざ二人を誘った目的は丸解りだ。其の目的とは―――
「⋯其れってクートがリーダーで、受かればDに成る奴だよね」
「そう其れ」
当たりだ。と、云う事は―――
「で、Dランクに成りたいのは」
「其のままCランクにまで上がってプリメリアの後見人に成る為だよ。ああ、プリメリアってのは―――」
クートが隠す事も悪びれる様子も無く語る姿に、女二人はまた顔を見合わせた。
(やっぱり)
(噂は本当なの?)
クートが未成年の貴族令嬢を連れて来た。そして支部長を説得してDランク冒険者として内定を取り付けた。其の御令嬢は魔法士でも有り此の町の領主の娘だと云う。そしてクートがCランク冒険者に成ったら後見人と成り、成人するまで二人で過ごすと云う物だ。成人後に結婚して貴族に成るも良し。実家の太い嫁を貰って冒険者を続けるも良し。二足の草鞋を完備した完璧な計画⋯に、見えなくも無い。
「―――プリメリアは凄いんだ。六属性使いなんだぜ」
(⋯六属性魔法使い⋯あたしの弓なんて、全然霞んじゃう、よね⋯)
(魔法使いなんて私の槍で一突きだろ?そんなに⋯其の子が良いの?貴族令嬢なんかと結婚すんのかよ?)
⋯色々と間違っている。下世話で無責任な目撃者達が面白おかしく広げてるだけで信憑性は低い。しかし事実も有る。クートは初級魔法士と成り、悪食フラッペの弟子と成って、更に違う女を冒険者に仕立て上げたのだ。完全に河岸を変えたとしか思えない。冒険者ギルドと魔法士ギルドは協力関係に有る。レナやルカ達がショックを受けようが知った事ではない。優秀な冒険者兼魔法士は両組織にとって旨味が強い。其れにそんな裏の話なんか実は如何でも良かった。昨日の件を目撃した冒険者達曰く―――
「其のプリメリアって娘」
「そんなに可愛いの?」
「ん?ああ、可愛いよ」
(顔は可愛い。体は⋯ぺったんこだけど)
デリカシーの無いクートの発言に固まる二人。
「ふーーーーん」
「ふーん⋯」
「何だよ?」
腕組みする二人を訝しむクート。
(可愛い⋯かぁ)
(あ、あたしだって、母さんやチビ達が可愛いって、言ってくれる、もん)
クートが上を目指すなら手伝ってやりたい。力に成りたいとは思っていた。しかし、其れが他の女の為だと判れば話が違って来る。昨日の話なのにプリメリアの件は情報過多なぐらい有名だ。クートが魔法士ギルドから連れて来た未成年の貴族令嬢。領主の娘(間違い)。六属性の魔法使い。Gランクの見習いとして仮登録されたが、Dランク相当とされている。二年後に成人した場合、自動でDランク冒険者からスタートする。完全なエリート枠だ。将来的にはAランクも狙える。そしてクートと婚約している(間違い)。
「誘って貰えて嬉しいけど、今回は止めとく」
「うん、あたしも⋯ごめん⋯」
レナとルカが拒否する。其れでクートがショックを受けたり怒ったりする可能性も有った。ワンチャン二人の怒りを感じ取り、貴族令嬢との婚約等破棄してくれるんじゃないかとも期待したが⋯
「そっか。解った」
クートはあっさり納得する。二人が何だか余所余所しい気がしたが余り気にしなかった。断られた理由も気に成らない。
「えっ」
「ちょ―――」
淡白なクートの反応に戸惑う二人、其処に話し掛けて来る女が一人。
「クート、久し振り」
「ハーニャ」
(ハーニャは無しだな)
Dランク冒険者、斥候職ハーニャ。ハーニャの斥候職としての能力は欲しいがランクが合わないので誘えない。
「私達、最近三人で組んでるんだ」
「そうなんだ」
(ならルカは大丈夫か)
ハーニャとメリッサが協議し、ルカのモンスター討伐クエストは解禁された。条件はハーニャのサポートが有る事と前衛職を仲間に加える事。其れでソロで活動していたレナに白羽の矢が立つ。友達と云う程仲良しではないが、クートを巡るライバルとしてお互い知らない仲では無くなっていたからだ。試してみたら思ったより具合は良い。斥候ハーニャが司令塔と成り、弓士ルカが支援攻撃、槍士レナが前衛で有り戦闘の要だ。
(ルカの技術向上と精神面がアンバランスなのは其れかな)
立ち姿や身のこなしから射撃技術は高まってる確信は有る。クエストをこなして場数も踏んでいるのだろう。
(しかし命を奪った気配が薄い。止めはレナか)
実際当たりであった。ルカはスラムの孤児院の家族の為に、兎や鳥や猪を狩るのには慣れてきていた。命を奪う事にも感謝を以て臨んでいる。しかしモンスターを射殺すのは未だ出来ていない。モンスターを倒して魔石を売り払う方が、狩猟で肉を現物で得るよりも実入りは良い筈なのに。ゴブリンの目を射抜くぐらいの腕は有るが、止めを刺すのはレナの槍だ。
(死の匂い、血の匂いが薄い。大丈夫かな?)
何ならルカを連れ歩いてモンスターの殺戮行脚を手伝ってやっても良い。十も殺せば慣れて来る筈だ。だがルカの性格的に無理強いは良くないだろう。ルカしか女を知らない時なら違ったが、今は他の女の味も知っている。クートに付いて来れる女は限られて来る。ルカでは保たないだろう。スキル的にも精神的にもだ。
「成る程ね。バランスは良さそうじゃん。頑張ってね」
クートは当たり障りの無い返しをする。
「そっちもね。貴方がDを目指すなら。私も此の二人をDにする」
「⋯⋯そうか。そうだね。悪くないな」
思わずニヤリと笑う。色々思う所は有るが、ルカの弓やレナの槍は高く評価している。其処にハーニャが加われば更に二人は強く成るだろう。
(条件や環境は良いな)
レナとルカに交互にリーダーをやらせてDランククエストをクリアすれば良いのだ。ハーニャはDランクなので其の時だけパーティーから外れて新規メンバーを入れなければならないが、指導やサポートなら出来る。もたついていたら本当にクートより先にDランクに行ってしまうかも知れない。
「先ずはFだね。頑張って、ルカ」
「う、うん」
クートに微笑まれ顔を赤らめるルカ。
(やっぱり、好き⋯)
未だ女慣れしてなかったクートと初めて同士だったのはルカ只一人だ。其の事が彼女の自信の大元に成っていた。
(*´ω`*)カヤルさん何してるんだろう?多分自分磨きとかかな?




