第83話 プリメリア準下級魔法士
(*´ω`*)冒険者ギルドと魔法士ギルドは同じ町に有りますが、走るよりバス使えば?みたいな距離ですね。
魔法士ギルドへ戻ろうとするクートに支部長が話し掛ける。
「馬車使わんのか?」
「馬車」
クートがキョトンとしてから思い至る。プリメリアは貴族令嬢だ。クートに抱えられるよりも馬車の方が良かったのだろうか。
「ごめんプリム。じゃぁ帰りは馬車を」
「此のままで」
「でも」
「此のままで」
「解った」
プリメリアはクートにお姫様抱っこされた状態で支部長を睨む。愛する男に抱っこされて移動する。どんな高級馬車に揺られるよりも贅沢な一時である。
「悪かった。余計な事言った」
支部長が手を上げて降参のポーズを取る。そんな支部長と別れ一路魔法士ギルドへ。受付にて事の次第を伝えると、受付カウンターの男性から暫く待つ様に言われる。喫茶室でお茶をしてると呼ばれ、とある一室へ通された。
「やぁクート初級魔法士。息災かね?」
中に居たのはあの柔和な試験官だった。クートがプリメリアの事を話し、プリメリアもDランク冒険者内定の書類を見せる。柔和な試験官が困った顔をする。
「解りました。向こうの特例に此方の特例を重ねますがね。逆輸入ですか。此のままプリム初級魔法士を盗られるよりかは良い」
デスクから何かの書類を取り出す。
「今の彼女は魔法科分校生でしかない」
柔和な顔だが目付きは鋭い。視線に射抜かれクートの肌がチリチリと粟立つ。
「だが」
直ぐに其の鋭い気配は消えた。
「もしもの時は冒険者ギルドだけでなく、魔法士ギルドも彼女の身元を保証しましょう。クート初級魔法士と同じく、実技試験免除で下級魔法士仮合格としますか」
サラサラと書類に書き込んで行く。
「冒険者ギルドの様なGランクは無いですが⋯」
ピタリと筆の動きが止まる。
「うーん。しかし此れは⋯いえ、やはり冒険者ギルドに抑えられるのも癪ですからねぇ⋯」
悩む様に顎を撫でる。
「良いでしょう。支部長権限でプリメリア初級魔法士を準下級魔法士とします」
(―――!支部長だったのか)
昇級試験の時の自己紹介を必死に思い出す。名前は確か―――
(ウォン。ウォン支部長か)
ウォンは柔和な笑みを浮かべ話を続ける。
「ちなみにクート初級魔法士も書類上は準下級魔法士ですよ」
「準なんて有るんだ?」
「魔法士は昇級手続きがややこしいのでね。少しそう云った物が有るんですよ。我々は才能よりも人柄、人格面を重視します。魔法の才が有る者は悪気無く災厄の種をばら撒く事が有りますからね。其の点、プリメリア初級魔法士は良い変化をしました。以前の貴女ならいくら才能が有ろうとも下級への道は開かれていない」
太鼓判を押されたプリメリア本人が少し戸惑う。
「あの⋯私の魔法見なくても大丈夫ですか?」
プリメリアがおずおずと訊ねる。思えばクートと出会う前は自分の実力を認めさせ様と躍起に成っていた。今は其のチャンスではある。すっかり忘れていた。理由はきっと―――
(クート様に愛されてるから)
誰かに愛され認められ満たされた。だから今の自分は苛々もしてなければ、不安定でもない。そんな彼女を見てウォン支部長が笑みを深める。
「魔力の流れを見れば解ります。以前よりも安定している。五属性ではやはりバランスが悪い。此れからも六属性をバランス良く鍛えなさい。回り道かも知れませんが其れが一番の近道ですよ」
「解りました」
此れでもしもプリメリアが家を放逐されても大丈夫な根回しは済んだ。プリメリアが魔法科分校を卒業するか家を飛び出した直後、彼女はDランク冒険者兼初級魔法士と成る。
(Dランクに成るにはまたなんかやるって言ってたな)
しかし、其れも幾つかの手続きをスキップ出来るだけなので、簡易的だが実技試験や筆記試験が必須と成る。だが六属性を操り、Dランク冒険者としても活動出来る初級魔法士等、冒険者ギルドと魔法士ギルドにとっては美味しい。優遇はされるだろう。
(俺には解らないけど貴族、元貴族のコミュニティは有るらしいしね)
冒険者にも魔法士にも、貴族や元貴族達の互助会の様な物が有る。今のプリメリアが彼等と同じ立場とは言えないが、家の柵を抜ける為に冒険者や魔法士と成った貴族達の助け合いの集まりらしい。
(詮索はしないけどね)
普段言う様な事でも無い為に皆言わないが、元貴族、若しくは家とは関係断絶状態の貴族の冒険者は其れなりに居ると聞く。
「折角です。筆記試験も此のまま受けてしまいましょう」
「いきなりですね」
「いきなりはそっちですよ?私も中々に無理を通すのです。少しは頑張って見せて下さい」
クートとプリメリアはほぼ抜き打ちで下級魔法士昇級試験を受ける事と成る。
(⋯⋯⋯此処、クート様に教えた所だ)
(⋯⋯⋯⋯此処はプリムに教わった所だな)
三十分程で終わり、其の場で採点をされる。
「プリメリア初級魔法士は問題有りません。クート初級魔法士はまた日を改めて」
「ですよねぇ~」
「クート様」
「あは、また勉強教えてよ」
「はいっ!」
「プリメリア初級魔法士は魔法科分校を卒業と同時に下級魔法士へ昇級とします。二人共、此れからも励みなさい」
笑顔のウォンに見送られ、二人は魔法士ギルドを後にした。
「下級魔法士にも成らなきゃだけど、先ずはCランク⋯に成る為にDランク冒険者に成らないとな」
「クート様⋯」
プリメリアがクートの服を、切な気な表情でクイクイと引っ張る。もう我慢出来ないのだろう。
「此処で良い?」
「はい⋯」
クートはプリメリアを連れて魔法士ギルドの真正面の綺麗なホテルに入る。其処はかなりの高級宿で、別の町からやって来た貴族や魔法士ギルドの幹部が宿泊する様な宿である。そんな場所を連れ込み宿にするクート。
「シャワーだ。湯船まであるっ!」
「うふふ、洗って差し上げますわ」
魔道具に魔石がセットされており、蛇口を捻れば熱々のお湯が出た。石鹸で泡だらけに成りながら二人でお風呂に入る。風呂場やベッドで三回戦程してから、今度は二人でゆったりまったりと湯船に浸かる。そして最後にシャワーを浴びながらふと思い出す。
(シャワー⋯シャロンに会ってないな)
シャワー初体験をさせてくれた踊り子の事を思い出す。
「痛っ」
「ふーふぉふぁふぁ?ふぃふぁふふぉんふぁふぉふぉふぉふぁんふぁふぇふぁふぃふぁふぇ?」
「ごめんなさい」
上目遣いで睨んで来るプリメリアに謝る。いくらクートが強くなろうとも、急所を抑えられていたら逆らえない。
「ふんっ⋯」
(女の勘、怖ぇ)
軽く甘噛みされつつちょっと強めにニギニギされ、タマヒュンするクートであった。
(*´ω`*)プリムは最初はもっと我儘全開の女の子の予定だったんですけど、理解有る正妻面をしてチョコンと居座ってますわ。個人的見解だと良き妻、賢い母に成る為の教育をうん百年続けて来たのが貴族ですからね。本妻と側室をキチンと分けてくれれば他に女作っても許してくれる。自分が正妻ならば




