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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第74話 Dランクモンスターオーガ

(*´ω`*)プリメリアは人望無いです。顔可愛いだけで我儘で性格悪いですし。

 今まで攻撃魔法も使わず、只付いて来ただけだった者達が叫びながら逃げ出した。特に吐きそうになってた少女が脅威の脚力を発揮している。下手をするとクートより早いかも知れない。多分無意識で感知魔法の精度を上げ、歪な洞窟の中を灯りも無しで転ばずに全力疾走しているのだろう。普通に速い。あっという間に視界から消えた。


(おお、身体能力が高くなくても洞窟内の駆けっこなら感知系スキルのが強いかもな。⋯⋯⋯ん?あぁ成る程。そう云う事ね)


 顔色の悪い連中は多分感知魔法の適性が高かった筈。大人しかったのはオーガの魔力を無意識に感じて怯えていたのだろう。同じく感知系のクートがオーガに気付かなかったのは単純に脅威じゃないからだ。Dランクモンスターではもう余りワクワクもしない。だがオーガ自体は初見である。少しは楽しめそうで安心だ。


「さぁて、どう料理すっかな?」


 今回のメインディッシュだ。じっくり味わいたい。


「ひっ⋯嫌ぁっ!?」


 バタンと倒れてしまうプリメリア。気絶はしていない様だが、腰が抜けたらしい。パニックになって魔力制御が乱れる。光源で有る光球が明滅し、オーガの姿を更に不気味に恐ろしく浮かび上がらせる。


「オー⋯ガ」

「嘘、だろ?」


 火魔法と水魔法の使い手の少年二人は勇敢にも此の場に残っている。大した物だと思った。主であるプリメリア御嬢様を見捨てられないのだろうか?


(あ、違う)


 足がガクガク震えている。ダッシュで逃げ出した連中と違い攻撃魔法を連発していた二人は、魔力だけでなく体力も消耗していたのだ。単純に余力が残っていないのだろう。


「ひうっ!ひううっ!?た、たしゅけ、たしゅけて⋯」


 プリメリアがガタガタ震えながら小声で助けを求めている。オーガに捕まっても犯される事は無いかも知れない。だが生きたまま四肢をもがれて喰われるだろう。貴族令嬢の躍り食いである。


「成る程。集中力が切れたら魔法も使えないのかぁ。其れもそうかぁ」


 クートは少し期待していた。火魔法と水魔法の攻撃魔法使い。其れに五属性を操るプリメリアが居る。上手く連携すればオーガも倒せた筈だ。ヤバくなったらクートも手助けするつもりだった。此の四人なら確実に倒せただろう。だが無理らしい。三人共誰も魔法を使おうとしない。恐怖と混乱で魔力を練れなくなり、魔術式を脳内に構築出来ないのだろう。


(魔道具が必要なのは此の為でも有るか)


 攻撃専用の魔道具は魔力を流せば機動する物も有ると聞く。パニックに成りながら攻撃魔法を撃たれるのも怖いが、此の場合は有効だろう。引き金を引けば魔法が撃てるのだから。

 

「オオオォォォォガァァァァァァァァァッ!」

「うわあああああああああああっ!?」


 オーガの威嚇の雄叫びを聴いて、少年二人がバタバタと逃げ出す。プリメリア御嬢様は放置である。オーガは腰の抜けたプリメリアを無視し、逃げ出した少年達を追いかける。活きが良い方が好みらしい。真っ先に逃げ出した連中と違い、あの二人は直ぐに追いつかれ食い殺されるだろう。


「おっと。其れは不味いかな?」

「オガッ!?」


 オーガの足首がザックリ斬れる。だが浅い。


「切断は無理か」


 クートが仕掛けた鋼糸だ。隣を通り過ぎる時に瞬間的に引っ掛けてみたが効果は薄かった様だ。


「オガァァァァァァァァァァァァッ!」


 オーガが怒りの咆哮を上げる。攻撃目標を此方に変えたらしい。あの盆暗貴族達等如何でも良いが、死なれると後が面倒臭いので助かる。


「さぁ行こうか」

「きゃぁっ!?な、なにをっ!?―――」


 クートはプリメリアをお姫様抱っこで抱き上げ、ダンジョンの奥へと向かって走る。オーガは苛立たしげに足を踏み鳴らしている。絡まった鋼糸を外そうとしてるらしい。取れたら間違い無く此方に来る。ダンジョンの奥は行き止まりの袋小路。普通に考えれば自殺行為だ。


「なっ!なんでこっちにくるにょっ!?逃げっ!にげるならあっちでちょっ!」


 パニックに陥ったプリメリアが噛み噛みでクートを責める。理解出来ない。クートが何かしてオーガの気を引いたのは解った。其れで取り巻き達を助けたのも解った。解らないのは一緒に逃げないで奥へと進んだ事だ。そして自分を巻き込んだ事だ。解らない。理解出来ない。プリメリアはオーガ以上にクートに恐怖する。其処でハッと気付く。


(ま、まさか―――)


 クートはプリメリア達が罠に嵌めたと思ったのかも知れない。雑魚モンスターしか出ないダンジョンに誘き寄せ、オーガに喰わせる予定だったのだと勘違いしたのだ。そして其の報復としてプリメリアを置き去りにするつもりなのだ。オーガに襲われたとなれば不可抗力として免責に成るかも知れない。其れに―――


(あの契約書―――)


 言われるままにクートに書かされた契約書が有る。もしもクートが此のままプリメリアをダンジョンの奥に置き去りにしても死亡は自己責任。契約書は連名だ。敢えて取り巻きを助けたのも辻褄が合う。プリメリアが死んだ場合、責任を負わされるのはあの貴族の子女達だ。クートは巻き込まれた部外者に成る。


「ちっ!ちぎゃうにょっ!わたちしらにゃいっ!オーガがでるにゃんてしらにゃいっ!」


 恐怖で歯の根が合わないが必死に訴える。


「うん?そうだろうね」


 プリメリア達の態度や反応を見ればイレギュラーな事態なのは解る。


(定期的に冒険者にダンジョンモンスターを駆除させてたと言ってたな?其れが甘かったか、殺り過ぎたかの二択かな?)


 冷静に分析するクート。ダンジョンに其処まで詳しい訳ではない。彼とて魔法士ギルド管理下ダンジョンに一回潜っただけだ。しかし其の経験から考察出来る。ゴブリンやマーダーバットを狩り過ぎた所為でダンジョンボスとしてあのオーガが生まれた可能性。若しくは其の逆、駆除が甘くて魔力が凝り固まり、大粒の魔石が発生し其れを核にしてオーガが生まれたのかも知れない。


(まぁどっちでもいっか)

「さ、着いたよ」

「うええ、うぇぇぇぇん」


 プリメリアが泣き出す。此のダンジョンには何度も潜っている。光球はすでに雲散霧消し真っ暗闇だが此処が何処かは解る。ダンジョンの終点で行き止まりだ。もう逃げ場は無い。自分は助からないのだと悟る。


「なぁプリメリア。助かりたいか?」

「たたたたたしゅけてぇっ!おにぇがいっ!にゃんでもしゅるかりゃぁっ!」


 プリメリアがクートに縋り付く。ゴブリンをあっさり片付けたのだ。もしかしたらオーガにも勝てるのかも知れない。いやきっと勝てるのだ。だから此れは作戦なのだろう。半分現実逃避しつつクートに縋り付く。彼女の中では、自分が魔法でオーガを倒すイメージ等欠片も湧いていない。魔法はイメージが肝だ。パラメーター的に、ステータスで見た場合プリメリアなら十分にオーガを倒せる。風の刃を研ぎ澄ませて放てば首を一撃で落とせただろう。だがこんな精神状態では微風も起こせない。戦う前から心が折れていた。

(*´ω`*)逃げ出した時点で取り巻き達の人生は終わりましたー。

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